【兵庫県】日本で一番低い中央分水界-石生の水分れ

【兵庫県】日本で一番低い中央分水界-石生の水分れ

兵庫県内各地を飛び回ってる営業から「割と有名な分水界が丹波市にあるよ」と聞いてさっそく行ってみたら、そこは日本一の分水界なのでした。
それが石生の水分れ。

分水界とはなんぞや

分水嶺は聞いたことがあっても分水界とはあまり聞かない言葉です。そもそも分水界とはなんぞやというところをウイキペディアから引いてみます。

分水界(ぶんすいかい、英語: drainage divide)とは、異なる水系の境界線を指す地理用語で、山岳においては稜線と分水界が一致していることが多い。分水嶺(ぶんすいれい)とも呼ばれる。古くは水分(みくまり)とも呼称した。山岳だけでなく平地にも点在している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E6%B0%B4%E7%95%8C

水系を分かつ小さな分水嶺はどこにでもあります。山を歩いていると稜線が市町村境界になっているのをよく見るでしょう? あれは分水嶺による古の水利権が現代に引き継がれた結果だと思うんです。

一方、大きな分水嶺。

中央分水嶺(出典を後述)
中央分水嶺(出典を後述 *1)

上図のように日本海側と太平洋・瀬戸内海側へと水系を分かつ分水嶺のことを中央分水嶺(中央分水界)と呼びます。

水が分かれると文化も分かれる」という言葉は地元の水大好きおじさんからの受け売りなのですが、確かに山口県だと山陰と山陽に分かれたり、中央分水嶺が間に入ることで気候や地域の農産物、生活様式や方言も微妙に変わることは経験的に理解できるところ。

そういった目で分水嶺を眺めると、大きい分水嶺も小さな分水嶺もなかなか味わい深いものがあります。

おっと、分水嶺ばかり書いてしまって「分水界」が分かりにくくなってしまいましたね。
再度、説明の分かりやすい石生の分水界の看板を挙げておきます。

中央分水嶺と石生の水分れ
中央分水嶺と石生の水分れ

『ここは日本列島の背骨「中央分水嶺」の線上にあるところです。
この看板の右側の道路の中央が「分水界」で、中央より左側(北側)の雨水は由良川を流れて日本海へ。一方、右側(南側)の雨水は高谷川から加古川へ注いでいます。
後方に見える山のふもと「石生交差点」から前方の山すそ「水分れ公園」の奥までの1,250メートルの間はまったく平地のなかで分水しており、標高95.45メートルは日本一低い谷中分水界です。』

分水界の”界”は境界の”界”。であれば山頂で水が分かれる分水嶺の方が特殊なケースで、むしろ全ての水分れは分水界と覚える方が正しそうですね。

石生の水分れ

中央分水嶺の線上にあり日本一低い地点での水分れ。それが兵庫県丹波市の石生(いそう)の水分れ(みわかれ)です。

兵庫県丹波市 石生の水分れ
兵庫県丹波市 石生の水分れ

日本海へ(約70㎞)、瀬戸内海へ(約70㎞)の看板がロマンを感じさせますなあ。

こちらは石生の「水分れ公園」で撮った写真ですが、加古川(瀬戸内側)への分岐はさらに下流にあるそうです。

位置関係についてはこちらの看板が見やすい。

日本一低い「谷中中央分水界」水分れ
日本一低い「谷中中央分水界」水分れ

こちらはノースアップの地図で、横に赤い点線で走っているのが中央分水界です。丹波市において中央分水界とはほぼ高谷川と思っていただいて良いのではないかと思います。

そして兵庫県丹波市から京都の舞鶴方向(日本海側)に流れているのが由良川。

高谷川を少し下って兵庫県丹波市から明石方向(瀬戸内側)に流れているのが加古川になります。

標高95.45メートルから南北それぞれに向かって川が下っていくわけですから、川沿いを走る国道175号線は相当緩やかな道であると想像できます。となると瀬戸内と日本海を結ぶ昔からの街道だったのかもしれないと想像するとまた楽しいわけです。

地図見て現場行ってさらに想像する。
やっぱり地図は楽しい。

その他の写真

水分れ公園の近隣の写真も記録的に残しておきます。

向山連山登山道案内図
向山連山登山道案内図

水分れ公園第一駐車場にある案内図。
高谷川が流れ来る向山は登山道もあるようです。

向山連山
向山連山

こちらが向山連山。さほど高い山には見えませんが中央分水嶺にかかっているんですね。
歩きやすそう。歩いてみたいな。

𡶌部神社(いそべじんじゃ)様
𡶌部神社(いそべじんじゃ)様

水分れ公園に隣接する𡶌部神社様。「延喜式」に記載のある古社だそうでかなりいい雰囲気です。拝殿にかかる祝詞を読み上げ道中の安全を祈願しましたが、こちら間違いなく霊験あらたかでした。

今回は日本一低い分水界「石生の水分れ」に行ってきました。
めっちゃ楽しかった。

*1 中央分水嶺の画像の出典
esriジャパン
「日本列島の流域区分と中央分水嶺の抽出-中央分水嶺ロングトレイル構想に向けて-」
京都学園大学バイオ環境学部 原雄一・片山篤
https://www.esrij.com/news/details/60297/

レポートはこちら
一般社団法人地理情報システム学会
Great Divide by Watershed Division in Japan: Toward Japan Divide Trail
Yuichi HARA and Atsushi KATAYAMA
https://www.gisa-japan.org/content/files/conferences/proceedings/2013cd/papers/E-1-1.pdf

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