弥彦山(新潟県)、英彦山(福岡県・大分県)と共に日本三彦山として知られる修験道の地、雪彦山。
結構ハードな山と聞いていますが、せっかく兵庫に来てるのにこれに登らない手はない!
と意気込んでいったらうわさ通りにハードな山でした。
雪彦山登山口
姫路市街から雪彦山への行き方は超簡単で、夢前川沿いをひたすら登り夢前町のメイン通りも気にせずひたすら直進。山に向かっていけば雪彦山登山口に到着です。
駐車場は道沿いに数十台車を停めるスペースがありますが、朝9時の時点であと2,3台しか停められない感じ。登山口手前の3㎞は道が細いのですがそんなことも気にせず同好の士がたくさん集まってました。
人気の山なんやね。
駐車場のトイレをお借りして舗装路奥の登山口へと進みます。
登山口近くのポイントマップ。今日はこのマップの大外を時計回りに歩く予定です。A-1登山口からA-5出雲岩まで「いきなりの急登」、A-5出雲岩からA-8大天井峠は「クサリ場多数あり」、その先は「比較的なだらかな道」なんて描いてありますね。
あ、重要なことを一点。雪彦山の山行ではヘルメットの着用を推奨されています。僕は、軽装で来たのまずかったかなあと人の目を気にしながら登山口に入ったのでハートの弱い方はヘルメット持参を。登りはともかく下りの沢やガレ道は石車で足が滑るので、ヘルメットは着用しておいた方が良いと思います。(自分のコトはさておきw
じゃ、行きましょう。
大天井岳
大天井岳までは1.4kmで560m上げます。ハードよ。
このガレを右にとって足元の木の根っこに気を付けながら上がっていくんです。気持ちも入ってないところに危険な山道。気を抜くと落っこちちゃいそうです。角度も急でね。雪彦山ポイントマップに「いきなりの急登」なんて書いてありましたが、準備運動もなく取りついたら早々に息が上がっちゃいました。やばいぞ、雪彦山。
雪彦山は岩や木にペンキで印をつけてくれてます。目印はたくさんあるので迷うようなことはありません。たまにココノボルノ?と思うところはありますけれども。
ちなみにA-2とか看板に番号が付けてあるのは緊急時にどの辺りでトラブルが発生したかを伝えるための目印だそうです。さすが名山。歩く人が多いと連絡方法もしっかりしてます。
ほいきました。ココノボルノ? 先にペンキの矢印があるので間違いなくここ登山道なんですよ。こういうところは木の根っこをつかんで上がっていきます。先々、鎖も岩もあるので雪彦山は手袋必須です。
A-3 展望岩に到着したので振り返ってみました。雪彦山も岩稜なんだなあというのがわかります。
雪彦山系は岩稜のくせに木が多くて登山中の景色はありません。その代わりに木陰が涼しい。心臓はバクバク、肺はゼイゼイしますが、木陰を登れるので汗はかきません。
岩を吹き上げてくる風も心地いいの。
最初の小ピークを越えて尾根に出てきました。尾根に出れば多少楽になるのかと思ったら、ここはまだ序の口。ぼちぼちクサリが来ます。
尾根からいったん巻いて龍王講と呼ばれる岩場の溝をクサリを使って昇降します。昇降っていうか降りて登ってなんですけど、まあここは安全のためにロープを手にする程度で、気を付ければ手足で問題なく進めます。可愛いやつです。
龍王講から軽く登ればA-5のでっかい出雲岩が出現。出雲岩の下の岩場を回り込めばクサリ場が現れ、それを登れば出雲岩の上に出られます。写真が上手じゃないけど出雲岩は今回のコース内では圧巻ですよ。その先の岩場も。
それほどの高さがあるわけでもないので僕でも全然登れちゃうクサリ場1。左の溝の方が安全かなとチョイスしたのですが、だんだん溝が狭くなって途中で足が挟まりそうになりました 笑
この後、木の枝をつかんで登っていけば出雲岩の上に出ます。もう一つその先の岩をよじ登ればちょっとだけショートカット。このショートカットで前にいた若者3人組を抜かしました。
彼らとは雪彦山までデッドヒートを繰り広げることになります。
嘘ですw 彼らめっちゃ明るい良い感じの兄ちゃんたちでね「お先にどうぞ」と僕が道を譲っては遅れて追いつき、「お先にどうぞ」と道を譲っては遅れて追いつきの繰り返しでした。
僕は遅いけどあんまり休まないんで。
飯も食わないし。
さて、クサリ場2。クサリ場1で溝に足が引っかかったのでクサリ場2では溝を使いません笑 というかクサリ場2の方はサポート程度に鎖を手にすれば足で登っていけるくらいの角度です。
これを越えてたどり着くのがA-7 馬の背。
さすがに痩せ馬過ぎてあの上は歩けない。実際にあの上を歩く人っているのかなあ?
右に回り道があるので回り込んで、馬の背に横入りして次へと進みました。
だいぶ端折ってますが、この写真は大天井岳最後の登りを振り返ったところです。距離1.4kmで560m上昇は伊達じゃなく、最後の最後も急登があって、それを越えればやっと大天井岳の山頂に到着します。
(ま、この辺は最後の3Dのログを見てみてください
大天井岳の山頂は狭くて座れそうな岩も少ないのでお社にご挨拶だけしてコーヒーを飲んで再出発しました。誰が祀られてるんですっけ。スミマセン。今回、事前調査が少なすぎてお社に手を合わせても申し訳ない感じです。
雪彦山
大天井岳山頂までがかなりハードだったので、雪彦山まではさらにハードに違いないとこの時点で思い込んでいました。最初に見たマップの情報がすっぽり抜け落ちているわけですが、まあ、それはそれで目の前の感動があっていい感じだったりします。
最初に大天井岳からガツッと降りるのでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!と思うのですがその後は割と緩く、たらたら歩いていると2つの分岐がありました。
一つ目の「天狗岩」への分岐はスルー。
その先の「鹿ヶ壺・峰山方面へ」という分岐を取ったのですが、雪彦山ポイントマップを見ると最初の天狗岩方向に向かって良かったのかもしれません。参ったなあ。三草山に続いてまた天狗岩見落としちゃった。天狗に会えない巡り合わせの僕です。
鹿ヶ壺方向に進んでひと山越えたら、その先はずっとこんな稜線歩きなんです。これだいぶ手が入ってると思うんですけど植林帯ですよね。近くまで来れる林道があるのかな?って思うくらい明るい林を進みます。
稜線歩きの先に三角点雪彦山に向かう分岐がありました。これとべつの道標に「雪彦山まで0.4km/ 約20分」と書かれているのを見つけまして「400mで20分とかwww」と草はやしてたのですが、最初に足を削られてるもんだから、もしかしたら20分以上かかっちゃったかも。
空が開けたのであーこれ山頂が近いなーと思ったら偽ピークもなく雪彦山山頂に到着。このあたりは実にシンプルです。
で、雪彦山山頂。
雪彦山山頂はまあまあの広さですが、周りは木に覆われてて景色の一つもありません。
絶景は?日本百景はどこいってん?って感じです。
山頂では5~6名の方がお昼を取ってらっしゃいました。皆さん小さなバーナーを使ってそれぞれ楽しんでいらっしゃる様子でした。
いいね!でも山でモリモリ食うと💩したくなるよね?
とか思いながらコーヒー休憩だけで再出発。
おっと、出発の前に雪彦山の三角点を写真に収めておきました。
雪彦山の三角点は四等かー。
四等だと市町レベルで置くやつだからあんまり歴史とかないんだよなー。
鉾立山
雪彦山から鉾立山までもほぼ稜線歩きです。
ここは道の景色が気持ちいいよ。
この鞍部には、たしかB-6の道標が立ってて次の鉾立山まで200mと書かれていた気がします。
左右から木が張り出した鉾立山への登り200m。雪彦山一周の間にこんな感じに木が張り出していたのはここだけなんです。僕、半袖だったんですけど、この張り出しはまったく嫌な感じはなくて(花の名前が分からないんだけど)爽やかな香りがして癒されました。
この植生はジャンクションピークあたりまで続きます。
ホントいい香り。好き。
鉾立山に到着。
写真のように鉾立山も眺望が開けているとは言い難いのですが、鉾立山の山頂には山々の名前を記した看板が設置されていまして、そこに夜鷹山の名前を見つけました。
姫路でも夢前町というかなり北の方に来れば神河町の山が見えるんやなーと木々の隙間から夜鷹山をとらえてみました。たぶん、あれ。もちょい左かな。知らんけど。
ジャンクションピーク
鉾立山からジャンクションピークまでは5分から10分くらいです。
下りってのもあるけどめっちゃ近いです。
ここを右に取って下る途中の景色はやや開けてました。instagramには投稿したのですが、このコース内で姫路の街まで俯瞰できるのはたぶんこの場所くらいしかないと思います。
(ホントのところは姫路のベテランさんにゆずりますが
鉾立山からジャンクションピークに向かう途中に下に白い道らしきものが見えていたのですが、なんとこんなに整備された林道に出てきてしまいました。なるほど雪彦山の山頂近くまで植林帯ぽいと思ったらやっぱりこんな立派な林道があったのね。
ここから林道下るのかなーと地図を見ようとしたら、林道の向こうにB-9の道標を見つけました。
ふはは。あっちか。見つけたら行くしかないな。
どこに降りるのか知りませんが、今ならこの安全そうな林道を下るのはアリかもなーと思います。
というのもこの先は結構危なくてね…
下山
雪彦山周回コースは総距離6.6kmと短いです。距離だけ見ると短いんだけれども僕は足をやられました。
もちろん登りがきつかったのもあるけど、むしろ問題は下りなんです。
最初は植林帯からスタート。この植林帯を結構な勢いで降りていきます。下りは踏ん張っていかなきゃいけないし、木の枝に足を引っかけないように、苔で滑らないように、石車に乗らないように足の置き場所にも気をつかいますよね。
そんなで脚は下りでやられた感じ。
やがて小さな沢沿いを歩くようになり「ああ、これだけ立派な道があるなら安心だな」なんて思ってると
徒渉を繰り返すうちに、小さな沢が集まって川になり
いくつかの支流が混ざって、可愛かった滝が、大きな岩がゴロゴロした谷になり
虹ヶ滝やその手前に至っては、靴や裾、お尻の一部を濡らしながら大岩を下るようになりました。虹ヶ滝を渡った先の、大曲の向こうにもそんな難所があったな。
このコース下りは危険です。ヘルメット推奨もうなづける。
写真の通り虹ヶ滝の下を渡ってひと山超えてまた下り道へと入るのですが、滝を渡ったところで見てると、虹ヶ滝の右上から降りてこられる方が結構いらしたんです。ショートコースにしては重装備。
聞けば大天井岳の大岩をロッククライミングで楽しまれた様子。
あの岩だよ。よく見るとこの写真にも大岩を登ってる人が写ってるの。すげーね。
さてこの先、まだまだガレ道や沢岩下りが続きますが話も長くなったので今回はこのあたりで終了。僕の書き方だと下りの危なさがあまり伝わらなかったかもしれないけど、最後の最後に「万全を期していった方がいいよ」ということだけお伝えしておきます。
面白いところだけど、怪我したらあほみたいじゃん。
ね。
雪彦山 今日のコース
取りつきから大天井岳までは急登も、大天井岳から雪彦山、鉾立山、ジャンクションピークまではほぼ稜線歩きが続く。日本百景、ひょうごの森百選、兵庫50山、関西百名山、近畿百名山に選定されている雪彦山、どんな絶景が待っているのかと思ったら、雪彦山の山頂からは景色がないのでした 笑
アイキャッチ画像は大天井岳なので、勘違いされた方がいらしたらスミマセン。
下りはジャンクションピークから。植林帯を抜け、雪彦川の源流を見て、雪彦川第二ダム(鋼製格子枠砂防ダム)まで沢下りの気の抜けない道が続きます。自分は付けなかったくせにヘルメット必須としているのはそのせいですが、ヘルメットあっても死ぬときは死ぬからね。慎重に行きましょう。
距離は6.6kmと短いのですがそういう意味で結構ハードな道のりでした。
行程については3Dで見た方が分かりやすいと思うのでX(旧Twitter)に投稿したやつを付けときます。
2024/06/10追記
歩き終わってから「兵庫県の山」を読み直すと色々と理解ができました。
実体験に基づくと理解がしやすい。やっぱ現地行けってことよね。
兵庫県の山 No.41の雪彦山によれば上の写真で振り返って見た岩山は地蔵岳とのこと。
さらに付け加えると「もともと雪彦山は、大天井岳、三峰岳、不行岳、地蔵岳を合わせた洞ヶ岳(立石注.兵庫県の山 No.41 雪彦山の上に見える三山とその奥に大天井岳があります)を指すが、今は雪彦山三角点(三辻山)、鉾立山の三山の総称として使われている」とのことでした。ちなみに最高地点は鉾立山のようで、身体のきつさと標高は関係ないことも分かったよ。
あとね、僕は記事の中でやたらきついとか危ないって書いたんだけれども、今回歩いた大外回りは一般登山者コースでコース定数も19と普通なんだって 笑
虹ヶ滝から地蔵岳に登るルートは20m以上のクサリ場があるらしく、これが上級コースらしいです。
僕は絶対行かないから確かめようもないけどね。
適度な危険で安全第一!
そんじゃまたw