山口市の北に秋吉台があるように、姫路市の北には砥峰高原(とのみねこうげん)があります。
はりま山歩きのNo.10 砥峰高原に行ってきました。
新緑のまぶしい砥峰高原に行ってきました
厳密に言うと砥峰高原は神河町にありまして姫路市市街から下道で行くと1時間半はかかります。でも時間をかけても行く価値ありです。下の写真を見てください。
どうですかこの眺め。まるでRPGで描いたかのような丘陵じゃないですか。
なぜこのような高原ができたのか。少し地形の話をしましょう。
砥峰高原のこの地形は「もともと海水面に近い位置で作られ、その後に隆起して持ち上げられた」説と「260慢年前の氷期の繰り返しで気温が7~8度低下し、この影響により岩石が凍結・破砕し、山頂部が崩落して方言上の地形になった」説があるそうです。
それから、真ん中あたりの不自然な地形(細かな起伏の小丘)にも注目してみます。
ここは小山の理由。
砥峰高原に分布している花崗岩には磁鉄鉱(砂鉄)が含まれているために、たたら製鉄が行われていた時代に表土が掻きとられ、固い部分だけが小山として残ったのだそうです(by はりま山歩き)。
言われてみれば確かに、僕の知ってるピンクの花崗岩とは趣の異なる茶色い石が転がっています。
さて大まかな地形の解説はこれにて終了。道を左にとって砥峰高原ハイキングコースに入ります。高原内部は立入禁止で自然を壊さないように板が渡してありました。
ちなみに姫路市のこの日の気温は9時時点で20℃。ですが、ここ砥峰高原は標高900mにありまして寒いのなんの。これだけ日が照ってるのに長そでを持っていかなかったことを後悔するくらいでしたよ。
このあたりから登りになります。写真の中央やや左が小高くなっていますがそのトップの左に展望台があります。まずはあそこを目指しましょう。
これは現地に来てから知ったのですが、高原の周りをぐるりと一周できる砥峰高原のハイキングコースの周長はわずか3.1kmだそうです。
3.1km!これを普通に歩くと一時間程度で終わってしまうので今日はコースを外れて別の山も歩こうと思います。
展望台に行くすがら眺める地形。いくつかの背を作りながらなだらかに落ちていく地形が美しいですね。これを見ると「氷期の繰り返しで」説を押したくなります。だって、なんだかフィヨルドみたいで格好いいじゃないですか。
こちらが先ほど説明した展望台からの景色です。
新緑のまぶしい砥峰高原。大きな草木が生えていない理由は、秋吉台同様、春先に野焼きをするからだそうです。そういえばハイキングコースのうちの何割かは車が通れるようなガタガタ道になっていました。これもきっと野焼きのためですね。
放牧場だったことや射撃の訓練場だった経緯も含めて砥峰高原は秋吉台を思い出させる場所でした。
ここから砥峰高原ハイキングコースを外れて峰山方向に進みました。この分岐の入口には鎖がかかってますが、この鎖は車の進入を防ぐためのもので人が通ってはいけないという意味ではありませんので 為念
えーっと大半の人は砥峰高原ハイキングコースに興味があるはずで、話がややこしくなるので山歩きの記事は後半に持っていき、このまま砥峰高原ハイキングコースの話を進めてゆきます。
先ほどの分岐点を曲がらずに砥峰高原ハイキングコースを進むと、おそらく本コース中で最も高いところに出ます。
こちら砥峰高原ハイキングコース最高地点からの眺めですが、最高点から眺めるよりも馬の背を横から眺める方が僕は美しいように感じられます。感じ方は人それぞれだと思いますので是非現地へ足をお運びください。
さて、このピークを越えるといったん山の裏手に回り、ガタガタ道の林道を経て東の東屋に出るようになります。高原に戻ってきたときの風景がこちらです。
なんだか黒澤明監督の砦を思い出させるような入口じゃないですか。実は砥峰高原ではいくつかの映画が撮られているようなのでその時の名残なのかなあと思いました。
映画『ノルウェイの森』(2010年)
大河ドラマ『平清盛』(2012年)
大河ドラマ『軍師官兵衛』(2013年)
映画『信長協奏曲』(2016年)
映画『燃えよ剣』(2019年)
砦の入口からわずかに降りると東の東屋があります。ここで少し休憩。東屋の正面に見えるのは砥峰ですかねー。歩き足らないのでハイキングコースを降りたあとにあいつも登ってみました。
ここからは残りわずかです。
砥峰高原は美しい場所でした。ハイキングコースは高原をぐるりと巡るように設計され一周3.1km。散歩にもちょうどいい距離です。砥峰高原は標高が高いので天候が良くても風が小寒い。上に引っかけるものを持っていくと散歩に丁度良いと思います。
とてもお薦めの場所です。
砥峰高原から別の山へ
ここらかは余禄。神河町まで来て3.1km歩くだけだと僕的にはちょっと物足りないので近くの山を3つほど歩いてきました。
播磨に来てから岩稜ばかり歩いていたので、久々の森が新鮮でしたよ。
峰山(みねやま)
砥峰高原の最高地点手前の分岐からガタガタ道を進むと峰山高原に向かう分岐が現れます。行ってみましょう。
ここからずっと山道を歩けるのかなーと思っていたらほどなく舗装路に出てきました。一応、ハイキングコースを銘打ってあるのですが、残念なことにこの舗装路が長くてつまらない。
舗装路を上がると峰山口駅の看板がありここから再び山道へとい入っていくわけですが、その入口に思いっきり「クマ出没注意」の看板がありましてね。
やばいなあ。
道はなかなか良いのですが「クマ出没注意」の看板が頭から離れず、いまいち気乗りがしません。
その内に景色の開けた場所に出てきまして「あれが峰山高原かな?」と見ているところに反対側から人が登ってこられました。
ナイスタイミング!
立:こんちわ、あれが峰山高原ですかね
人:右側の鉄塔の立ってるやつですね
立:あーあれっすか
人:あれ登りの99%は舗装路ですよ
立:(*´Д`)アー
そりゃあれだけ鉄塔が立ってるんだもんなー。どうすっかなあと迷いましたが、地図を見ると峰山はすでに越えていたので高原は捨てて戻ることに決定しました。
あの時の人、ありがとうございました。
夜鷹山(よたかやま)
次は「はりま山歩き」にも書かれていたので最初から行くつもりだった夜鷹山。ここはかなり林業の方の手が入った山でした。
峰山高原分岐まで戻りコンクリ道を降りたら、さらに舗装路を峰山方面(道路に「峰山方面」と書いてあります)に降りていきます。この舗装路を降りていく途中に「夜鷹山登山口」の立派な看板がありました。
夜鷹山登山口はやや狭く、濡れており、杉枝や下草もあってどうにも嫌な感じがしたのですが、歩を進めるうちに明るく奇麗な道に変わっていきました。
車は入ってこれないけどここは登山道というより林道なんだろうなあ。切り株の色を見ても新しかったし。運び出しをどうやっているのか分かりませんが、この山全体に手が入っている感じがありました。
この主要な登山道は山頂近くまでまっすぐに続きます。ずっとまっすぐで急登です。
夜鷹山の山頂近くまでくると道が巻きます。もうちょっとなのにね。巻き道から上を見上げると「まさか道路が走ってるんじゃないだろうな」と不安にさせるほど空が抜けた感じに見えるんです。
そして、獣除けの網をくぐってたどり着いた山頂がこちら。
めっちゃ公園感!夜鷹山山頂に道路は通っていませんでしたが、夜鷹山山頂には木組みの展望台がありました。他にここまで上がってこれそうな道も見当たりませんでしたしこの木は現地調達なのか!?
さすが林業者!とか勝手に思いましたがどうなのかな。
夜鷹山には四等三角点もあったので記録しておきます。
こんなメジャーな夜鷹山ですが下りは山頂付近で迷っちゃいました。こんだけ整地されてるとどこでも歩けちゃうんだよね。後からヤマレコで他の方の軌跡を見ても点がバラバラになってるし、これはみんな迷ってるな 笑
まあ枝の踏み抜きにさえ気を付ければ主要な林道には戻れますので怖さはないんですけどね。
さて最後に夜鷹山山頂からの景色をお見せしましょう。
先ほど行きかけた峰山高原が正面にかなり近く見えます。
ところで看板のMt.Nighthawkって(笑)
夜鷹って聞くとゲスな僕は「ほう被りしたヤバイ姉さんが手ぬぐいの端を唇に咥えて…」みたいなのを想像しちゃうんですけど皆さんはどうですか。ちなみに夜鷹が鳥綱ヨタカ目ヨタカ科ヨタカ属のヨタカを指すならCaprimulgus indicusが正解で、英語圏でNighthawkだと「夜遊びする人」になっちゃうみたいっすよ。
この看板で大丈夫かい 笑
砥峰(とのみね)
最後に砥峰高原の名前にもなってる砥峰。
砥峰登山口は第一駐車場の向かいのコンクリ道を上がっていくとすぐにあります。なんかペンキがはがれて呪いの山道みたいになってますけど「山頂まで約800m」と書いてあります。
ここで山頂まで800mなら直登だろと思い込んでしまったんですねー。
登山口からしばらくは荒れていてどこへ進めば良いのやらなのですが、その内に沢沿いの広い道につながります。でも、この山も木がスカスカでどこでも歩けちゃいそうなので、本当に登山道なのかなあこの道で良いのかなあと半信半疑になりました。
しばらく登り沢が切れるあたりで林道(これは車が通れそうな本当に本物の林道)を横切るのですが、ちょうどそこに丸太の階段が組んであるので「ああこれなら直登でいいんだろう」とまっすぐに進むことにしました。
後から他の方のログを見ると林道沿いに右に行くのが正解だったようです。
そんなん知らんしw
直登してるうちにゴムの階段を見つけたのでヨシヨシと思ったんですけど、先に進むとその道も途切れてしまって参った。ていうか迷ったw
迷ったら山頂に登れ!ってわけで木をつかんで直登を開始します。
なんだか結構近いところまでは来ていたようで、直登を始めるとすぐに尾根に出てきました。
「尾根なら山頂に行けばええやろ」と尾根を少し登ると無事に砥峰に到着。
この写真の後ろには下山道と書かれた看板もありましたが「同じ道を戻ってもしようがないなあ」と尾根沿いを下ってみたら、また迷いました。
はっはっは
まあ里山クラスなら山口県で迷いまくった経験が生きるというもの。
なかなか楽しい迷走でした。
今日のルート
砥峰高原は美しく、周囲の山は冒険感いっぱいでした(と書いておけば炎上もないだろう
真ん中の輪っかが砥峰高原のハイキングコースです。こちらは一周3.1kmの素敵なコース。
新緑のまぶしい砥峰高原は万人にお薦めできます。
誰にもお勧めしない左下が峰山で右下が夜鷹山。砥峰高原ハイキングコースに戻っての右上の輪っかが砥峰です。こんなひどいルートはとてもアップじゃ見せられませんわ。
砥峰高原の美しさは多くの方に知ってもらいたいなあという記事です。
読んでくれてありがとう。