竜山石のとれる竜山を行く

竜山石のとれる竜山を行く

宝殿山に続き、石と地層を地形を楽しむ/はりま山歩きNo.9のルートに沿って竜山石のとれる竜山を行きます。

石と地層を地形を楽しむ/はりま山歩き
石と地層を地形を楽しむ/はりま山歩き

竜山から採れる竜山石は白亜紀後期のハイアロクラスタイトです。溶岩が水中に噴出すると急に冷やされて粉々に砕け散りますが、この砕け散った破片が再び固まってできた岩石がハイアロクラスタイトと呼ばれるものだそうです。

竜山石は比較的軟質で加工しやすく古くは仁徳天皇陵などの石棺にも使用され、皇居の敷石や国会議事堂、近年ではサンフランシスコの日本庭園の改修工事にも使用されています。

竜山に登る前の記事はこちら。

竜山を探す

生石神社(おうしこじんじゃ)さんの側道を降りてから、頭にある地図を頼りに歩いていると「恋の社」という看板を見つけました。

恋の社の看板
恋の社の看板

何が”恋”なん?と思いながらも、もう一つ登ろうと思っていた竜山の麓には加茂神社さんがあったと思いだし行ってみることにします。

加茂神社
加茂神社

ありました加茂神社さん。左が「観涛處」で右が「加茂の宮」と書いてあります。観涛處ってなんのことか分かれへん。

山の麓にお宮さんがあるなら取り合えずお詣りでしょと加茂の宮に向かいました。

加茂神社

こちらの加茂神社様は京都の下鴨神社から勧請されたものとのこと。どこにもそんな看板はないんだけど、なぜ僕が知っているかというと…

博識のおじ様
博識のおじ様

ここ加茂神社の手前で観涛處から降りてこられたおじ様に遭遇しましてね。ちょいと話しかけてみると、おじ様は地元の方で毎日この竜山を散歩コースとして歩いてらっしゃるとのこと。

顔出してええのか分からんけど、このおじ様が大変博識な方で色々なことを教えていただきました。
おっちゃん、学芸員じゃねーのくらいの知識量ですんばらしいの。

葵の葉の手水石 看板
葵の葉の手水石 看板

まずは「わしよりもこっちから撮ったほうがええで」と教えていただいた看板「葵の葉の手水石」。

こちらの加茂神社様は京都の下鴨神社から勧請されたので、その御祭神は下鴨神社さんと同じく美麗の神として名高い玉依姫命(たまよりひめ)様とのこと。
そして下鴨神社さんの社紋は双葉葵。
葵、知ってる?

葵の葉の手水石
葵の葉の手水石

三葉葵なら見たことあるでしょ。葵の葉ってハート型なんですよ。
この手水石が平安時代に作られたって凄くない?
平安時代ですよ。

ここで双葉葵の社紋をチェックしておきましょうか。

本殿の屋根の社紋 双葉葵
本殿の屋根の社紋 双葉葵
本殿の屋根の社紋 双葉葵(アップ)
本殿の屋根の社紋 双葉葵(アップ)

拝殿の奥に本殿があるんですがその屋根の上に双葉葵の社紋を見ることができます。もちろん、おじ様に聞いたんですけどね。

あのハートが手水石になってんの。平安だぜ。デザインの切り取り方が素晴らしいと思うね。

加茂神社様 拝殿
加茂神社様 拝殿

本殿の後になりましたががこちらが高砂市の加茂神社様の拝殿。なんで鴨じゃないのか分かりませんが、高砂市としてはここ加茂神社様を「恋の社」としてプッシュしてるわけです。

んなわけで、拝殿にもちょっと面白い仕掛けがありました。

お賽銭がわりの白い小石の恋占い
お賽銭がわりの白い小石の恋占い

なんかお賽銭あげなくてもいいみたいです。これはめっちゃ若い人向きに振ってるのかも。

あのハートをのぞいて狙う
あのハートをのぞいて狙う

拝殿の木枠のちっちゃーい隙間からハートめがけて白い小石を投げ込むんだって。
厄払いとかでよくあるパターンね。
僕は3投目でハートを射止めたよ。

実際の葵
実際の葵

無事に想いを達成した後で、社殿の横に葵が植えられていると教えていただいて、モノを拝見しましたがちょっとハートにはほど遠い感じですね。うん、これは見なかったことしよう。

竜山

先ほどのおじ様には加茂神社や竜山だけでなく、高砂市の歴史や現状について色々と教えていただきました。先生のようなおじ様でした。お礼を伝えて竜山に向かいます。

まずは階段
まずは階段

竜山は92mの小山で、片面は岩(ハイアロクラスタイト)の切り出しが行われてたけども、ハイキングコースは危ないところを通してもらえないみたいです。
歩くだけなら20分くらいで終わっちゃいそうな山なんです。

観涛處
観涛處

観涛處は「江戸から来た若い役人が書いた字を後から彫ったものなんだけど、ええ字を書くなあと姫路の殿様から死後に認められた。俺の息子最高!」みたいな話だったと思います。ごめん、あんまり覚えてないや。たしか江戸時代のお話しのはず。

採石遺構 竜山地区12地点
採石遺構 竜山地区12地点

岩塊の表面に十字に矢穴を掘り、四分割にして採石しようとした遺構だそうです。

ここら一帯、時代が錯綜して凄いのよ。まず石の宝殿が神代の昔から始まるでしょ。古墳もいくつかあるんで縄文とか弥生とかそのあたりの時代もあり、竜山石の切り出しは大和王権からかな? 観涛處は江戸時代だけど、登り始めの加茂神社は平安以降の勧請だと思うし。一つの道を歩いてるだけなのに時代がころころ変わるの。頭おかしなるわ。

竜山に入っていく
竜山に入っていく
木立の小道
木立の小道

それほど兵庫の山を歩いたわけじゃないけど、播磨一帯は岩稜ではげ山が多い印象。山口県で死ぬほど里山を歩いてきた僕にとっては、ここなんかめちゃくちゃ奇麗な小道だと思えるんだけど、一部播磨ユーザーにとっては「荒れた道」という評価になるみたいです。
まじかあ。恵まれてるなあ。

う回路
う回路

外から見る竜山は採掘跡の絶壁が格好良くて、崖のギリギリを歩かせてもらえるのかと思ったらう回路が設定されていました。行ってみたいけど死んだら嫌なのでちゃんとルールを守ります。

途中に露天掘りみたいなところもあって、ロープは渡してあるんだけれども、相当ボケてたら落ちることもあるかもしれません。

ないか。ないな。めっちゃ安全な道です。

もうすぐ山頂
もうすぐ山頂
竜山の山頂に立つおじ様
竜山の山頂に立つおじ様

竜山の山頂に立つおじ様は、これまた健脚で博識なおじ様でした。本人さん曰く鉄オタで10:20頃に通過するキティ号を見るために竜山に登ってきたとか。

高砂のおじさんはみな博識で紳士的という感想。
山男はそうなのかもね。

竜山山頂

竜山は92m。超々低山なのに360度近く見晴らしがいい。昔は城もあったらしいよ。
おっちゃんが行った後に写真を少々。

竜山山頂 92m
竜山山頂 92m
二等三角点
二等三角点

生意気に二等三角点がありました。ちょっと面倒なので調べません。

奇麗な山頂公園
奇麗な山頂公園

まるで公園のように奇麗に整備されてる竜山山頂。近隣のボランティアの方がお二人でかなり頑張っているとのことを聞きました。高砂市は人口8万人くらいの街。お金がないのかなあ。

写真に見える川の向こうは人口約20万の加古川市で目線の後ろは人口50万の姫路市。徐々に大企業の撤退を受けながらも平成の大合併に迎合しなかった高砂市。

なぜ独立独歩を選んだのかはまた別記事でまとめたいと思います。

明石大橋
明石大橋

今日、もう一つアガッたところ。前の写真方向をめちゃくちゃズームすると明石大橋が見えます。明石大橋まではだいたい26㎞くらいだったかな。右に見える島は淡路島ってことかな。

近いうちに行ってみたい。

竜山下山

下りは簡単に。竜山、登りは加茂神社からの階段でしたが下りは自然道でした。

岩に挟まれた道
岩に挟まれた道

写真だけ見るときつそうに見えますが、所詮、竜山は92.4mの低山。あっという間に市街地に降りてきました。

高砂市運動公園
高砂市運動公園
法華山谷川
法華山谷川

目の前の法華山谷川を渡りここから高砂市運動公園に駐車場に帰っていきます。
川を上る途中にハイアロクラスタイトの層が見えました。

削り取られた竜山
削り取られた竜山

あの辺りを歩いてきたんだなあ。

石の宝殿から竜山ルート

石の宝殿から竜山ルート
石の宝殿から竜山ルート

今日は高砂市総合運動公園をスタート(S)して、まずは右手に見える生石神社の石の宝殿、そして宝殿山を見てきました。

生石神社の側道を降りてからは南下、竜山を左に見ながら適当に歩いていると加茂神社への入口を発見。僕に効くかどうかは別として、加茂神社は今、恋の社としてプッシュされているらしくなかなか楽しめました。

そこから竜山石(ハイアロクラスタイト)で有名な竜山へ。さほど危ない道もなく登って降りて川沿いを高砂市総合運動公園へと戻りました。

たまたま途を一緒にした博識のおじ様方2名に感謝を申し上げたいと思います。
高砂のおじさん方が元気なのはやっぱ高砂神社のおかげなんかもね。
祝い、めでたや。

高砂や
この浦舟に帆を上げて
この浦舟に帆を上げて
月もろともに出で潮の
波の淡路の島影や
遠く鳴尾の沖過ぎて
はや住吉に着きにけり
はや住吉に着きにけり

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