小野アルプスは兵庫県小野市と加古川市の行政界に連なる低山群。最高峰の惣山でも標高は200m足らず。お薦めのハイキングコースに乗れば紅山(184m)の岩壁を楽しめる。
はりま山歩きNo.7の「日本一低いアルプスの稜線歩き」という言葉に誘われて小野アルプスに行ってみるた。
”稜線歩き”いいね。稜線は大好きだし最後に現れる岩登りも面白そうだ。
車は小野市立鴨池休憩所に停めればいいんだな。
よーし分かった。
小野市立鴨池休憩所からゆぴかまで
思い立ったらすぐに来る。ここが鴨池休憩所駐車場。
余裕しゃくしゃくで車が停められる鴨池休憩所駐車場。この駐車場にはトイレも休憩所もある。
休憩所に詰めてたコテコテの関西弁のおっちゃんに当面向かう方向を聞いてハイキングスタート。
おっとその前に備え付けの地図を見ておこう。
おのハイキングマップ全体図から見ると「はりま山歩き」に描かれてたルートは、中コースと小野アルプス魅力たっぷりコースを足したものみたいだ。ぐるっと回っても2時間くらいか?
うーんそれじゃ午前中に終わってしまうではないか。
とりあえず東に進んでアザメ峠に曲がるまでの時間を計ってみよう。
池なのか溜池なのか分からない鴨池を進み左へ。紅山へのルートを捨ててアザメ峠への分岐にやってきた。ここまでの距離と時間を換算すると、東ルートの入口「ゆぴか」までは1時間くらいか?
・簡単なルートを午前中で見て回って帰るか
・1時間かけてゆぴかまで行くか
折角なので東ルートも含めてすべて歩こう。ゆぴかに行くことに決めた。
一級河川前谷川(自慢気に一級河川前谷川って書いてあったけど加古川の支流だね)を下り、鍬渓温泉きすみのの郷を右に見て、県道375号線を右に折れるとゆぴか。
まじで一時間近くかかったよ。
こちらが白雲谷温泉ゆぴか。休日の駐車場はほぼ満杯。無料の足湯もあるような大きな温泉施設だ。
山道に備えてお茶でも買おうと思ったのだけど駐車場内に自販機が見つからない。せっかくなので温泉施設ゆぴかに寄ってみる。
館内に入って受付の方に自販機でジュースを買わせてほしい旨を告げると、めっちゃウェルカムにどうぞと言われた。とても感じの良い場所だ。
ゆぴかを出てから気が付いたのだけど、パンフレット棚に小野アルプスのトレッキングキャンペーンのチラシがあった。なるほど。白雲谷温泉ゆぴかさんは日本一低いアルプス「小野アルプス」の縦走をプッシュしてらっしゃるようだ。東コースを逆回りならゆぴかさんでひと風呂浴びて帰れるもんね。
それで登山客風の人間にも優しいのだな。
お茶を購入させてもらいました。サンキューでした。
小野アルプス縦走
さて、小野アルプス縦走。僕が唯一頼りにしている「はりま山歩き」には「日本一低いアルプスの稜線歩き」なんて書いてあったんだけど、普通の稜線歩きを想像してるととんでもない。勾配の急な低山を登っては降り登っては降り、一山さってまた一山という感じ。後半の紅山は抜群でこれだけで行く価値ありです。
まずは東コースへ。
小野アルプス縦走東コース
小野アルプス縦走東コースは、先ほどのゆぴかからアザメ峠まで。高山・日光峠・前山・愛宕山・安場山・アザメ峠を行きます。
記憶が薄くなってきてるので主要なところだけピックアップ。
小野アルプス縦走東コースはゆぴかさんから入れる。バス停の近くの階段を登っていくと最初に分岐。リフレッシュコースに入ると里山のような雰囲気にまず癒される。
右に左に巻いてるような緩い道を上がっていくと高山山頂(127.1m)に到着。高山からゆぴかに戻れる別コースもあるのでここは公園のような扱いやね。
さて、縦走と行こう。
高山を降りて縦走方向に。「あれ?稜線歩きじゃないかのかー。まあ、高山は小さい山だったからなー。」と気楽に構えていたらここからが長い。
名もなき山を一つ越え降りたところが日光峠。日光峠には鍬渓温泉きすみのの郷あたりから入ってもこられるみたい。
日光峠からロープを伝って急坂を登ってみるも、これも名もなき山(もしかして前々山?)名もなき山を下っていくと舗装路に出てくる。舗装路の左に見えるのがNTTドコモ白沢電波塔で、少し降りたところに前山(135.8m)の看板がある。やっと記憶にある山の名前が出てきたのでほっとする。
前山からしばらくは、これぞ稜線歩きという道が続く。
そうそう、最初に小野アルプスは小野市と加古川市の行政界に連なる山々だと書いたけれども、県や市町の境界ってのは杭を打つ関係もあるのでだいたい歩ける道になってることが多い。
いやこれって卵が先か鶏が先かみたいななんだけどね。山の行政界の場合、だいたい稜線が分水嶺。分水嶺ってのは稜線から水の流れが分かれるって意味ね。水が分かれると山を境に文化が変わったり水利権も変わったりする。水が流れ着いた先の川が行政界になってることも多くて加古川市なんかもそうやね。
かつての文化や交流を分けた水の境界が今も市町の境界になってるのは面白いなあなんて思いながら歩いてると、突如現れる安場山(156.6m)の看板。いや、なんか、これ普通の道の途中にありまして、どこかで愛宕山を見逃した様子。
んで、ここから先があまり記憶にない。
安場山から下りて行ったところが製材所かってくらい木が刈られてて広々とした陽の刺す広場だった。小野アルプスの中でこれだけ日の当たりのいい森はここだけかな。
で、その先にあるのが上の写真の階段。「あーこれ登ったらアザメ峠か?」なんて思ったけど全然違った。階段はただ上っただけで、その先は真砂の滑る下りが続き、なんだか東コースだけでも俺十分歩いたなーなんて思ってた。
降りてきたところがアザメ峠。
東コースだけで満足できた感じなんだけど、ここでやめたら何のために来たか分からん。
当然次も行く。
小野アルプス縦走中コース
小野アルプス縦走中コースはアザメ峠から惣山まで。アザメ峠・総山・アンテナ山・つつじ山・惣山を行きます。
とりあえずこの舗装路の美しさを残しておきたい。舗装路を50mほど登って中コースに入る。
中コースの取りつきは木の階段が組んであり森林浴のできる公園みたいになってた。階段を登り切ってクマザサが左右に生える道を進む。
ほどなく総山(168.4m)に到着。総山山頂には三等三角点があったけど未調査。
総山からの下りは急で、薄く割れた白い岩がゴツゴツと突き出しており足を引っかけるとやばい。
これを降りきって平らなところから景色を眺め、次の登りに差し掛かると岩の色が変わる。
アンテナ山の山頂には特に看板もなく、きっとアンテナ山ってのは皆がそう呼ぶ通称なんだろう。
ここらでお腹もすいてきたのでパンでも食べようかと思ったのだけど、アンテナ山近辺にどうにも座れる場所がない。惣山で食べるか。そうしよう。
アンテナ山を下り、左に高速道路を見ながら山肌を巻き、再び上りなおすと惣山(198.9m)。
惣山にはベンチがあったのだけどタッチの差で二名の兄さん方に取られて座れず。
しかもこの兄さん方、感じが悪い。挨拶も返してこねえしなんだかジロジロ見てる。
こんなところじゃ飯は食えねー
紅山まであと1㎞程度なら、紅山の手前で食べるかーと惣山を下ることにした。
この判断はミス。
惣山の下りは急な上に長い。後でログを出すけどここが一番深いんじゃないかな。
そして惣山の表と裏で植生が変わって不気味な森みたいな感じ。
足元の砂利が滑る。
腹減って足震えてるし。
いったいこれをどこまで降りていくんだよ。
俺、こんなで紅山登れるんかいな…
小野アルプス縦走魅力たっぷりコース
惣山から降りてきたところが岩倉峠。小野アルプス縦走魅力たっぷりコースは岩倉峠・紅山、岩山から福甸峠に回り、鴨池へと戻るルートになります。
岩倉峠でどっちに行けばいいのかなーとマップを見てたら、赤十字マークの名札を付けたおじさんが「紅山の岩壁行くなら左だよ」と教えてくれた。
ナイス!おじさん!
おじさんからは「行けるの?」みたいな不安顔を向けられたけれども、ここまで来て紅山の壁を見ないわけがない。「大丈夫っす」と笑顔を返して紅山登山口へ。
実は足は震えてるしこの先も木の階段が続いてきついんだけどね。
木の階段を登り切ってわずかに林間を進むと広い岩場を発見。
おお!ここなら誰にも気兼ねなく座れるじゃないか!
道から外れて少し降り今日の昼食にありつけました。
セブンで買った北海道チーズのチーズケーキタルト。甘くて美味い。チーズは重くて腹の足しになる。目の前の道(高速?)と山間部のため池を眺めてしばし落ち着く。実は兵庫県は日本で一番ため池の数が多い県だったりする。
食後に煙草を一服。風もないし岩場なので万が一火が落ちても大丈夫。もちろん携帯灰皿は持ってる。
よーし腹も落ち着いたし足も復活した。
紅山に行こう!
紅山
今日のメインの紅山だけど登るのに夢中で途中の写真を残してなかったりする。
代わりに奇麗な姉さん方とのコミュニケーション情報でも。
紅山を前に写真を撮られている美人の姉さん2人に遭遇。「こんちわー」と声をかけてみた。
姉さん方曰く、この岩意外に足のかかりは良いよとのこと。プロの方ですか?
「僕、初めて来たんすけど向こうにも降りられるんすよね?」と聞くと、姉さん方「私らあっちから来たから」と。下りの方が怖いと思うんだけどなあ。さすがプロ。
笑顔でめっちゃ感じのええ姉さん方でした。
ほな行ってみますか。
登りきってこちらが紅山山頂。さっきも書いたけど登る途中の写真は撮り忘れた。
山頂からの景色だけどこれじゃ怖さが伝わらない。
一番怖いのは岩が突き出た乗り越えのところ。
この崖、最初は立って歩けるがすぐに傾斜が上がり手をついて四つん這いになる。流紋岩には”きゅうか”と呼ばれる穴がところどころに空いているので確かにかかりは良い。岩がギザギザなので手袋の装着は必須。指先が荒れるからね。僕も乗り越えの場所で手袋を装着しました。
で、休んでるときに下を見てはダメです。
乗り越えは怖いもん。
結局、乗り越えから先は右に左に角度を緩めながら歩けそうな岩を選んで登ることにしました。
僕はビビりなので。
紅山のあと
東コースから縦走すると思いのほかハード。紅山から鴨池に戻るにはあと2つほど山をこなす必要がある。紅山に照準を合わせているとこの切り替えがきつい。
まずは西紅山。ここは紅山の稜線上なので特段気にする必要はない。山頂の大きな岩がパワースポットになっているようで夫婦和合をお願いしておいた。
西紅山を降りてから登り返すと岩山。道の途中に三角点があるだけの山だった気がする。しかし小野アルプスは最後まで手を緩めず、岩山はたいした標高もないくせに岩がバリバリの急先鋒。ラストが近いからそう感じたのか?
とにかく、この岩山を降りて最後の山へ。
えーっと登って降りての感覚が皆さんお分かりにならないかもしれませんが、岩山から見える宮山がアレです。「一山去ってまた一山」の感覚がお判りいただけただろうか。
小野アルプスは最後の最後までそんな感じです。
宮山の前に南野山とかあったみたいだけど記憶にも写真もない。まあとりあえずこれでミッションコンプリートだ。上り下りの繰り返しで膝ガクガク言うてんで。
舗装路に降りてきた。あとは鴨池に戻るのみ。
鴨池に戻るのみなんだけど、ここからが長いうえに途中自販機がひとつもない。500mlのペットボトル1本半もって東コースのゆぴかから入ったのだけど、宮山で最後の一滴を飲み干してもう喉がカラッカラ。
鴨池駐車場到着でやっと自販機に巡り合えました。
くあー!たまんねー。
小野アルプス 今日のコース
まとめに入ります。
今日は日本一低いと言われる小野アルプスを歩いてきた。小野アルプスは”兵庫県小野市と加古川市の行政界”にあります。そんなこと言われて「行政界、はいはい」と納得できる人は少ない。なので白地図を持ってきました。
姫路(ピンク)の右にあるのが加古川市(ブルー)、その右上にあるのが小野市(グリーン)。行政界ってのは市町境界ですからブルーとグリーンの境界にある小野アルプスを歩いてきたってわけです。結構、姫路からも近いんすよ。鴨池まで20㎞くらいだったかな。
折角白地図をもってきたんで、兵庫県の全体を俯瞰してみると意外に平成の大合併にも負けずにちっちゃな市がいっぱい残ってる感じなんすよね。
各市に潤沢な歳入があるのかなあ?
人口ランキングでいうと文句なくトップが神戸市で150万人。続く2位が姫路市で50万人とガクッと落ちる。加古川は約26万、小野市は約5万だったりして本当にちっちゃい市が残ってるんです。
各市に歴史があるし、合併しないのは金じゃなくプライドだよなー。きっと。
長々とブログ記事にお付き合いありがとうございました。今日通ってきたルートです!
鴨池(S)から東コースの端のゆぴか(右下)まで降りて小野アルプス縦走コースのすべてを歩いてみました。下道はともかく山の行程は6㎞くらいで面白いのは終盤の紅山流紋岩の登り。
一個だけ主張させてもらえると…
こんなん稜線歩きじゃないやい。70m級の上げ下げが続くのは僕の思う稜線歩きのイメージからめっちゃ遠い。嫌いじゃないし歩けるけど紹介の仕方として「稜線歩き」は外した方が良いかも。
僕が次に行くとしたら鴨池-アザメ峠-紅山のお楽しみコースを選ぶんじゃないかな。
うおっと!このコースは「はりま山歩き」がお薦めしてるコースやないかーい!
なるほど、老獪が教えるのはそういうことなんやね。
好き勝手に歩いて文句言ってすんませーん。