山を歩いていると不思議な岩に出会うことが多いので僕は最近、岩石に興味を持ち始めています。それで図書館から岩石の本を数冊借りてきたのですが、なにせ岩石ってのは種類が多いうえに、写真からだと感触を得ることができません。
そんなタイミングで、とあるところから「豊田町のホタルの里ミュージアムに岩石があるよ」との情報を得ました。カラーバス効果か、引き寄せの法則か、魚心あれば水心。最後の例えはちょっと違うか。
とにかく岩に直接触れられるなんてステキじゃん。
さっそく豊田ホタルの里ミュージアムにレッツゴー!だよん。
皆さんご存じかもしれませんが、豊田ホタルの里ミュージアムは道の駅 蛍街道西ノ市の駐車場から見えるところにあります。
西の市にはよく寄るので豊田ホタルの里ミュージアムの存在は知っていたのですが、僕は「どうせ地方創生交付金で立てたような文化施設でしょ」みたいな感覚でいたのです。
上の写真のようにミュージアムの入口に立った時点でも「ずいぶんでかいなあ。こりゃ半分喫茶店で残りは集会場かな。」くらいに思ってましたもん。
とんでもない話です。豊田ホタルの里ミュージアムはめちゃめちゃ楽しい、本物の博物館なのでした。
豊田ホタルの里ミュージアムに岩石を見に行ってきました
まずは玄関を潜ると近代的な造り。体温チェックの機械の横には、企画やテーマ展のお知らせ看板が立っていました。
吸盤に蝶に星空観察会ときた。また随分と絞り込んだテーマだな。こりゃじっちゃんばあちゃんの集会所じゃないのかも。いきなりそんな風に思わせる看板です。
自動ドアをくぐって正面の壁に「ようこそ!豊田ホタルの里ミュージアム」の説明看板。読んでみましょう。
当館は、ホタルやそれを取り巻く自然を対象とした展示や調査・研究を行う施設として平成16年6月に開館しました。
展示はホタルをはじめ下関市(特に豊田町)の動植物、化石、岩石を幅広く紹介し、この地域の自然史全般を学ぶことができるようになっています。
どうぞごゆっくりご覧ください。
ホタルだけじゃなくマジもんなのか!とここでやっと気が付きます。いや名前の付け方が悪いよ。これ絶対に初見殺しだね。名前で騙されちゃう。
写真撮影OKの看板を確認。よーしそれなら写真撮りまくっちゃうぞー。
有料エリアの岩石コーナーは充実の品ぞろえ
豊田ホタルの里ミュージアムには岩石以外にも興味深い展示が沢山あったのですが、それは後に置いておくとして、僕的にメインの岩石コーナーを先にご紹介します。
岩石コーナーは有料エリアにありますが入場料は大人200円。得られる心の動きに比べれば安いもんでしょ。
岩石コーナーに入ってすぐ左、いきなり国内最古の岩石とかテンション上がります。残念ながらこいつは触れませんけれども、じっくり見まくり説明読みまくりです。
2019年2月に島根県津和野から日本最古の石が見つかり、報告されました。今回見つかった岩体は18.5億年前の放射年代を示すジルコン(鉱物名)が含まれていて、これは、これまで国内で見つかっていた岩石(ジルコンは鉱物ですが)としてはもっとも古いものとして注目されています。
その右上には下関のエリアごとの地層の年代と岩石の写真が並びます。これ、気に入ったので全部掲載します。ここは私的記録なので興味のない方は5~6枚ほど写真を飛ばしてください。
説明をすべて書き写そうと思いましたが断念しました。私的記録なので後々読み返せれば良しです。
ルビに「ひおきそうぐん」と書かれているので間違いだろうと思って家に帰って調べてみたら、本当に「へきそうぐん」ではなく「ひおきそうぐん」と呼ぶのだそうです。
なんで地名無視なん?
この前、竜王山を登った時に見た岩が気になるんすよね。写真だけで言うと下関火山岩に似た感じなのですがあれは粒的に花崗岩じゃないし、位置的には関門層群にかかってるけど赤色泥岩じゃなかったし。
流紋岩質凝灰岩か凝灰岩質砂岩かなー。うーん、やっぱり断言できん。
時代と位置で岩石を見るのも楽しいのですが、写真を眺めるだけなら本でも同じこと。
博物館は生のモノを体感できるのが良いところじゃないですか。
上記の写真の下には本物の岩石が置いてありました。
堆積岩シリーズですな。サスサスさすさす触りまくり。泥岩がこんなに粒が小さくてぬめッとした奴だとは!やっぱ触ってなんぼだなあ。
隣は火成岩シリーズ。
おなじみ花崗岩はスルーですが、花崗岩と閃緑岩は深成岩で結晶が大きいのが分かります。花崗岩と閃緑岩の違いは有色鉱物の量。もっと黒いのは斑レイ岩っていうらしいけど、実際フィールドで見てもすぐに判別はつきません。なのでぱっと見花崗岩風に見えると「花崗岩だね」とか言っちゃいます。覚えきれないもん。
その隣は火山岩。火山岩は火口付近でマグマが急激に冷えて固まったもので鉱物の粒が小さい。玄武岩はイメージ通り真っ黒なんですが、安山岩はずいぶんと白いってかピンクだな。うーん、一般に安山岩ってもっと灰色がかったものな気がするのは気のせいでしょうか。
僕は火山岩が苦手で山の中で見ても堆積岩と区別がつきません。岩は名称も多いし、奥が深すぎてフィールドでの見分けは無理かもしれないなあ。とりあえず今日は純粋に博物館を楽しみます。
玄武岩の空隙に金雲母が入った金雲母玄武岩。ルーペを覗き込むと穴の中にキラキラしたものが見えます。写真だとうまく伝わらないかもかもだけど、これが綺麗でねえ。何度も角度を変えてのぞき込みます。
薄片てのは岩石を30μm(新聞紙1枚の約3分の1くらい)の厚さまで削って、光を通すようにしたものだそうです。で、それを偏光レンズで眺めるとこんな風に見えます。
いやー美しい。これは玄武岩だったかな。なかなかうまく撮影できなくて何枚も写真を撮ったもんでどれがどれか分からなくなったんですが、あのゴツゴツの岩も薄片で見ると色んな結晶の塊なんですよ。
小さい頃にこういう画にふれたら地質学に進む子どもが増えるだろうなあ。
ざっと展示物を見終わって有料エリアの出口に向かいました。そこそこ満足していたのですが、出口に貼られた看板に「標本の引き出しを開けてよい」的なことが書いてあるのを見つけました。
な、なんだってー!
取って返して再び岩石コーナーへ。うひょーたくさんの標本があります。岩の名前も種類がありすぎてとても覚えられないけど、黄銅鉱とか、もう、ただただ綺麗だなーと見入りました。
ふう。満足、満足。今度こそ有料エリアを出よう。
無料エリアにもお楽しみがいっぱい
十分満足して有料エリアを出てきたら、岩石のお土産コーナーが設置してありました。6種類の岩石を折りに詰めて帰れるんです。
花崗岩、赤色泥岩、結晶質石灰岩、蛇紋岩、安山岩、玄武岩。やばいね。こんな石の折り詰めをお土産に持って帰ったら「おま、アホか」って絶対に女房に怒られるわw
有料エリア入口の前は図書館みたいな雰囲気になってまして、何があるのかなーと分け入ってみたら標本棚でした。
「引き出しの中にさまざまな標本がありますのでご覧ください」と書いてあります。この引き出しも開けて良いんだ・・・
すげー、標本と名前と説明がびっしりだよ。これ無料エリアだよ!? 直接触れないけど、有料の岩石コーナーにも引けを取らない充実っぷり。やべぇ。2時間くらい居られそう。
適当なところで切り上げましょう。
来た時には気持ちが中へ中へと進んでいたので気が付きませんでしたが、ミュージアムの入口(出口)には巨大な珪化木が置いてありました。
これでかすぎだろ。
さらにミュージアムの外に出ると化石が探せるコーナーがありました。これも来た時には気が付きませんでした。「ここには豊田町の中生代ジュラ紀の化石が含まれている石が置いてあります」だって。アンモナイトや二枚貝、植物の化石が見つかるかも。
雨が降ってるので探しませんでしたが、ここでも1時間くらい遊べちゃいそうです。小さい子供に白い目で見られそうですけど。
いやしかし、最後の最後まで飽きさせないなあ。豊田ホタルの里ミュージアムの岩石推しは、あなどれません。
岩石の話はここまで。豊田ホタルの里ミュージアムは岩石以外にも動植物の展示があって、これがまたアミューズメントパーク並みの楽しさなんです。サンショウウオとかめちゃめちゃ可愛かったよ。
後半は岩石以外の展示物のお話。
豊田ホタルの里ミュージアムはちょっとしたアミューズメントパーク
時間を戻してもう一度、玄関から入りなおします。図書館的な雰囲気のエリアを回って、受付で入場チケット(大人200円)を買って、間接照明の有料エリアに。
廊下を抜けて左の部屋に入ると…ホタルを中心に水辺の生物の巨大模型が現れました。
博物館って言うよりアミューズメントパークっぽい作り物ね。これには子供たちも大喜びに違いありません。
こうした大きな模型エリア2区画が終わると、次はまじめな展示が始まります。
例えば、ホタルの方言の看板とか。
この看板には西日本と東日本でホタルの発光間隔が異なることが書いてあります。情報よりも体験派の僕ですが、知らなかった情報は脳にビンビン来ます。
一方で、やっぱりこの博物館はホタルがメインなんだなーと見ていると、その先には昆虫エリアが目白押しで、いい意味で期待を裏切ってくれる博物館なのです。
どこにいるかなと水槽やケースを一つ一つ見て行くのも楽しいですよ。
無類のカブトガニ好きとしてはこのメスとオスが並んだ展示はたまりませんな。
なんで昆虫エリアにカブトガニやねんと思われる方もいらっしゃるでしょうが、カブトガニはカニじゃなくてどちらかというと蜘蛛とかサソリに近い生き物なんです。
このカブトガニの展示を見て良かったなって思うのが、僕はこれまで雄雌の見分け方として「メスの方が体が大きい」とか「後端のトゲが4本しかない」くらいでしか判断できなかったんです。「オスは甲羅に凹みがある」というのが感覚として理解できてなかったんです(というかこれは書き方も悪くて「オスは甲羅の前側がアーチ状になっている」とか書くべきじゃんね。ま、それはちょっと置いといて)。今回、雌雄の標本を見比べることでこの言葉が何を意味するのかがハッキリ分かりました。
こういう「事前に仕入れた情報」と「五感からの入力」がスパークするのが博物館(とか「体験」)の良いところだと僕は思ってまして、やっぱ本とかネットだけじゃつまんないもんね。
メスの後ろのトゲが少ないのもオスの甲羅がアーチ状なのも、オスが後ろからメスに乗っかるため=生殖のための進化なんだって。進化ってすげーなー。そういえば人間の女性もおっぱいが大きくなっ(げふんげふん)
うん。怖い奴が来るといけないのでセクシャリティの話はやめよう。「夏休み特別企画 世界のカブトムシとクワガタムシ」か。僕はね、カブトムシとかクワガタとかあんまり興味ないんだよね。
いや、まじで。
うおー!ヘラクレスオオカブトー!生きた奴が展示してあるー!でかいよ。でかいよ。すごいよ。動いてるよー。
5分くらいかぶりつきで見てしまいました。
少し落ち着きましょう。豊田町には豊田湖があるので豊田ホタルの里ミュージアムも淡水魚エリアには力が入っていましたよ。ドジョウとか可愛くてね。柳川鍋にしたら美味そうな小さなドジョウがいっぱいいました。はっはっは。
淡水魚に力が入る一方でこの博物館には海のものがほとんどないなって思ったんです。まあ豊田町は海に面していないので当たり前と言えば当たり前。それに下関には海峡館もあるもんね。
両生類って嫌いですか? 僕はわりと嫌いじゃありません。めったに見る機会がないので見入っちゃうほうです。
でね、最近、庭掃除でアマガエルくらいしか会ってないので「ヒキガエルはでかいなあ」とか、「トノサマガエルは目が立ってる。ぴょん吉だー!」とか「阿品弥山で久々に見た茶色のイボイボはツチガエルだったのかー!」とか、両生類も一つ一つ見ていて飽きませんでした。
そうやって水槽を見て行って、この日一番可愛かったのがこいつ。
どのくらい可愛かったかというと
僕が動くたびに首を振って目線で追いかけてくるんですよー。愛らしいなあ。
サンショウウオがこんなに愛想が良いなんて知りませんでした。
豊田ホタルの里ミュージアムまとめ
岩石を見ようと思ってやってきた豊田ホタルの里ミュージアムですが、思いの外、アミューズメント感があり、また展示内容も素晴らしいものが目白押しでした。
豊田ホタルの里ミュージアムには「下関市立自然史博物館」の名が併記されているとのことで、地方創生交付金でちょいチョイっと立てたような文化施設とは一味も二味も違うものなのでした。
知りませんでした。大変失礼をいたしました。
いやー。下関市には美術館もあるし、水族館もあるし、博物館もいくつかあって、財源の豊かさを感じると共に文化や教育にお金をかける懐の深さを感じますね。
素晴らしい。これはまた来なきゃダメだ。
ところで、例の岩石サンプル。持って帰っちゃいました。まだ女房には見つかっていません。エヘヘ。
それじゃまた。