スサノオノミコト(須佐之男命)が山頂に立ち、はるか大陸を眺めたという神の山が山口県萩市にあります。須佐の高山です。
高山のふもとには須佐ホルンフェルスもあります。
山で神話と景色を楽しみ、海で大地の営みと日本海の荒々しさを感じるなんてどうですか。
秋の行楽にお薦めのコースをご紹介します。
須佐の高山
10月17日、最高気温は20度。先週から10度、前日から5度気温の下がったこの日、簡単な山はないかなあと探して、須佐の高山に決定!
あまり天気も良くなかったので薄手のヤッケを羽織ることにしました。これ大正解。
須佐の高山への行き方
須佐の高山への行き方ですが、ホルンフェルスに続く一本道の途中に高山への看板が出てきますから、「須佐ホルンフェルス」をナビに入れればOKです。
ちょっとだけ道中の話。阿東町の徳佐から国道315号線をひたすら北に向かうと写真の須佐大橋が現れます。
須佐は島根県とのほぼ県境でなかなか来ることがないもんですから、僕なんかはこの橋を見ると「ああ、須佐に来たなあ」と実感するんです。
たしか真っ赤な橋だった記憶があるのですが、今は鉄茶色でした。これ錆止めの色なのかなあ。
まあ、なにはともあれ、この須佐大橋を渡りまして数百m進むと須佐ホルンフェルスの看板が出てきますので、看板に従って右に曲がります。
先ほど曲がった道はショートカットになっていまして、混むことの多い海沿いの191号線を経由せずに須佐湾に出てくることができます。
正面に海(須佐湾)が見えたら須佐ホルンフェルスの看板に従って右。するとすぐに高山山頂入口の看板をみつけます。
高山に行くならこれを右。
高山は532.8mの低山ですが海に突き出した半島にあるので見通しが良く、この看板の位置からも見えます。
写真の真ん中あたり、山頂にいくつかの通信塔がある山が須佐の高山です。
須佐の高山を歩いてみる
高山は山頂付近に駐車場があります。道も広く普通車でスイスイ登って行けちゃいます。僕は好きで途中から歩きましたが、歩かない方は山頂付近から続きをどうぞ。
高山山頂を目指す際、この看板のところが唯一の二股になっています。右は山頂、左は高山宝泉寺黄帝社へと続く道です。
YAMAPを見ると宝泉寺さんからの徒歩ルートもあるようなので、僕はここから歩くことにしました。
駐車スペースとしては、看板の手前のカーブにかなり広い待避所があります。宝泉寺さんに車で入るのは厳しいのでここに車を置かせてもらいましょう。
小寒いのでヤッケを着込んでスタートします。
パワースポット 高山宝泉寺黄帝社
宝泉寺黄帝社へ続く道は結構な急坂で、でっかい女郎蜘蛛が幾重にも聖域を守っていました。
黄帝は中国の4千年前の皇帝さん。
東洋医学の創始者で、また「水に浮かんだ小枝にクモがつかまっている様子を見て船を発明した」とも言われることから、黄帝社には漁業・造船関係者らの参拝が多いとのこと。
看板を一部書き写しておきます。
むかしこの山は「神山(こうやま)」と書かれていたようだが、いつの時代か「高山」と称されるようになった。
山口県内には、拘留孫山(くるそんざん)と呼ばれる山がいくつかあるが、「クルソン」とは、古代インドのサンスクリット語で「願いが叶う」という意味を持ち、いずれの山も霊山の信仰を集めている。
ただし、この高山だけは「高山拘留孫仏」と呼ばれる。拘留孫仏とは「黄帝尊」を示すものであった。
だそうです。
静かな場所でなにか優しいパワーを感じていましたが、社の裏の仏さまたちも優しいお顔でいいところだなあと思いました。一人でも寂しくないっていうか。うまく言えませんけれども。
境内の小さな仏像を興味深く見て回り、宝泉寺さんからの登山口を探しましたが、いまいちハッキリと分かりません。
おそらくここが入口だろうという場所は荒れ放題で、足元は赤土っぽく前日の雨で滑りそうなので、こちらからの登山はあきらめました。
黄帝様が「進んではならない」という道を示してくださったのだと良いほうに解釈しておきます。
まあ、僕の登山なんてそんなもんです。お気楽が一番。
高山を歩いて上る
取って返して、先ほどの須佐高山案内看板から車道を3㎞、山頂に向けて登っていくことにしました。
最初に高山山頂へは車で行けますよとお伝えしましたが、高山はこのようにきれいな舗装路がずっと続いてるんです。
ただ車なら良いんですけどねー。最初に地図を見て、この道がいったん山頂から離れるほうに進んでいくのを知ってますので、歩いているとなかなかつらいものがあります。
いったん離れたところから左に大きくカーブを切ると山頂方向に道が向きます。そこから少し歩いたところで遠くに高山の山頂が見えました。
あと1.5kmくらいかな?
高山の山頂付近にはたくさんの通信塔がありますが、最初に出会うのがこのNTTドコモ高山基地局です。
このあたりで妙に空が晴れてきまして風もほとんどないもんですからヤッケを着てると体が暑いんです。
ただ、山のわずかに上の方からはゴウゴウと不気味な音が聞こえてきますので、今は脱がないほうが良いはず。
山肌をぐるりと回りまして高山山頂が見えてくると、日本海からの風がビュー。来たキタ―(゚∀゚)―!!
歩いてる体が横に流されちゃうくらいの風です。やっぱりヤッケは脱がなくて正解でした。
須佐の高山山頂付近
高山の山頂付近までやってきました。
舗装路のどんつきがこの駐車場になります。車はそうですねえ、10台くらいは停められるんじゃないかなあ。
車で来たならここから山頂を目指しましょう。なーに歩く時間は3分とか5分とかですからご心配なく。
駐車場の奥に階段がありますので、これを登っていきます。空が開けて目の前に現れるのが高山展望台です。
高山展望台は1993年8月完成。
1階には須佐大橋や須佐ホルンフェルスの絵が飾ってあります。古いわりに堅牢そうな建物なので安心して2階の展望台に進むことができます。
ちょっと雲行きが怪しくて煙っていますが、高山展望台からは須佐湾と阿武方向を眺めることができます。須佐エコロジーキャンプ場はあれかなあと興味深く見ました。
景色はそのまま日本海の方にも開けていまして、晴れていれば日本海の40㎞先に見島も見えるんじゃないかと思います。
ここでお茶とお菓子で小休憩です。いやー高山、満足、満足。大満足。あれ? そういや一等三角点がないな。あれ、おかしいな。
高山展望台の広場を端から端まで探したのですが、高山の一等三角点が見つかりません。
ここで再度地図を見直すと、高山の一等三角点は展望台から離れた場所にあるのでした。
つまりここは山頂ではない?
うひゃー。
須佐の高山山頂
展望台を降りてその奥へと進みます。
高山の山頂付近は公園として十分整備されています。その一つがこの立派なトイレ。これであれば下半身に不安を感じる方も安心して山に登れますね。
トイレから1分、整備された階段を昇れば広場と東屋が見えてきます。いよいよ山頂が近づいてきました。
興味が持てなかったので写真に撮りませんでしたが、高山の山頂には磁性を帯びた岩があります。
まあ、岩はともかくここからの景色が先ほどよりも開けていていい感じ。晴れてればなあと。残念です。
高山の山頂は日本庭園風に刈り込みがしてありまして木の棚の迷路のようになっています。その一角にポツンと一等三角点を発見。
こちらです。
こちら県内に16点しかない一等三角点の一つ、高山の一等三角点です。基準点名も高山。間違いようがなくていいですね。
ちなみに高山には日本に48点しかない天測点もあります。天測点はあれかなって見たんですが、なぜか写真に残していないというボケっぷり。
まあいいや。今度は楽に車で登って見に行こう。
須佐之男命(スサノオ)は、姉ちゃんの天照大神(アマテラス)に迷惑をかけて高天原を追われ、出雲でヤマタノオロチを退治した寂しがり屋の荒ぶる男神です。出雲に近い山口県萩市の須佐という地名、高山はもともと神山と呼ばれていたという逸話。神話の時代と現代がリンクしてるなんてワクワクしちゃいます。
須佐ホルンフェルス
僕が須佐ホルンフェルスを初めて見たのは高校生のころで、カッターで海の側から眺めました。なんだか分からないけど、すげーなー、でかいなーと感じた記憶があります。今見るとそれほど大きなものでもないんですけどね。
せっかく須佐まで来たらホルンフェルスを見ていきましょう。
ところで知ってました? 須佐湾は日本国指定景勝の一つなんです。あれ、日本国指定名勝だったかな。
どれも近場なので生きてるうちに全部行きたいですね。
さて、さて、須佐ホルンフェルスには無料駐車場があるので時間を気にせずに見放題です。安心ですね。
良かったら駐車場を開けてくださってるつわぶきの館でお土産も買ってあげてください。
さて、それじゃ行きましょう。
無料駐車場の道向かいに須佐ホルンフェルスへ続く小道があります。
岩が縞模様になってるのが分かりますかね? あれが須佐ホルンフェルスです。
ホルンフェルス
ホルンフェルスのWikipedia
ホルンフェルス(hornfels)は変成岩の一種。熱による変成(接触変成作用)によって生じる接触変成岩。ホルンフェルスとなる岩石は主に、泥岩や砂岩などの堆積岩である。
須佐ホルンフェルスは日本の地質百選にも選ばれているのですが、詳しいことはWikiに譲ります。
小道を歩いて須佐ホルンフェルスに近づいていきます。
梯子がかかってるのが見えますかねえ。あの岩、降りることができるんです。こんな波の荒い日に下に降りたら波にさらわれちゃうけどね。
ちなみにホルンフェルスへと続く小道には人数カウンターの機械が設置されていまして、観光協会の設置なんだけどさ、行ったきり帰ってこない人をカウントしてたりしてwww
いい感じの岩の写真ですが、臨場感が伝わらないと思いますので動画を載せておきますね。波風がすごいのよ。
動画では降りたら死んじゃうとか言ってますw
以下余禄になります。
お土産には須佐男命イカ
須佐男命イカ(すさみこといか)は、山口県漁業協同組合の日本海新ブランド。萩の沖には見島がありまして、そのあたりで獲れるイカのことを指します。
今書いた見島って聞いたことありませんか? ほら、俳優の松方弘樹さんが300Kgオーバーのカジキマグロを釣ってニュースになったあの見島ですよ。
でっかいカジキが当たるくらいですから、見島あたりってのはマグロが好んで食べるイカや小魚が多いとても良い漁場なんですね。
で、そのあたりで獲れるイカが須佐で上がると須佐男命イカ(すさみこといか)になります。
イカは佐賀の呼子のイカが有名ですが、実は見島あたりで獲ってきてるらしいですよ。
海産物はどこの港で上がるかが重要でしてね。どこで獲っても呼子で上がれば呼子のイカ。地元の須佐で上がれば男命イカです。
なんか知名度でやられちゃってる感じですが、まあフグも下関より実際は福岡の港のほうが水揚げは多いわけで、やったりやれたりってとこでしょうか。
アフィリエイトで須佐男命イカを貼ろうと思ったのですが、ミコトイカはEC展開してないみたいです。このあたりでブランド化に負けてるのかもしれないなあ。残念です。
でも、美味いのは間違いないんで、須佐に行ったらお土産かお昼は須佐男命イカ(すさみこといか)。
これ、覚えといてね。