たまに氾濫危険水位に達する山口市の吉敷川を遡ってみた

たまに氾濫危険水位に達する山口市の吉敷川を遡ってみた

8月20日未明のゲリラ豪雨により、一時、氾濫危険水位に達した僕の住む地域を流れる吉敷川を遡ってみました。吉敷川は何度か遡ったことがあるので、写真を交えてさらっとね。

それにしても、以前は吉敷川とか前田川とか警報が出てなかった気がするんだよなあ。洪水浸水想定区域に指定されたからなのかな?

https://pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a18600/bousai/201901190001.html

地図で見る吉敷川

地図で見る吉敷川
地図で見る吉敷川

吉敷川は椹野川の支流で吉敷地区、大歳地区を縦断するそれほど大きくはない川だ。

吉敷川の源流は、鳳翩山から降りてきた東ノ浴川・西ノ浴川・木野浴川でこの3本が周防四宮赤田神社奥で合流し吉敷川になる。

吉敷川は赤田神社を過ぎたところで寺領川と沓掛川を従えて住宅街を抜け、矢原で前田川と錦川を従えて西に大きく折れ、ミスターマックスの少し先、山口浄化センターあたりで椹野川と合流し、その名を終える。

吉敷川を遡る

先日のゲリラ豪雨で一時的に氾濫危険水位に達したという吉敷川を遡ってみよう。

椹野川との合流点

吉敷川の終点は椹野川との合流地点だ。合流点ってどこだったけなあと、車を流していたら思い出した。

山口秋吉台公園自転車道線
山口秋吉台公園自転車道線

写真右の川は椹野川なんだけど、山口中央高校から秋吉台に至る山口秋吉台公園自転車道線ってのが椹野川沿いを走っている。その自転車道上に朝田水位観測所があるんだ。

朝田水位観測所
朝田水位観測所

椹野川の水位を測る朝田水位観測所には和田橋が架かっていて、この和田橋で吉敷川を渡るようになる。

つまり和田橋から下流を見れば吉敷川と椹野川の合流地点が見えるってわけ。

和田橋から見る吉敷川と椹野川の合流地点
和田橋から見る吉敷川と椹野川の合流地点

よし。吉敷川の終点を捉えた。今日はここからスタートだ。

大歳地区

大歳地区は地元なので細かい道もよく分かるよ。

法満寺川

法満寺川の水門
法満寺川の水門

スタート地点から吉敷川を上るとすぐに水門を見つけた。これは吉敷川から法満寺川へのバックウォーターを避けるための水門らしい。

庭仕事をしていたおばちゃんの話によれば、2009年の大水害以降、この水門が護岸やポンプとともに整備されたとのこと。吉敷川の水位が上がると自動で水門が閉じる仕様だったらしいけど、夜間に勝手に閉じると誰も気が付かないままに法満寺川が溢れてしまうので、昨年から手動化されたという。

古い水門
古い水門

この地域では他にも古い水門を見かけた。昔から吉敷川からのバックウォーターが多い地域なのだろう。そう言えば田んぼの中の古い家なんかは石垣の上に立ってるもんね。

大歳橋

大歳橋
大歳橋
大歳橋から上流
大歳橋から上流

吉敷川を上って最初に当たる橋が大歳橋。この橋は大歳駅からまっすぐ平川方向に進んだところにある。

2009年の水害では、椹野川のバックウォーターでこのあたりの水嵩がかなり上がり、越水が起きたと聞いている。大歳駅はギリギリ漬からなかったとか、川の横は1階が浸かったとかそういうレベルの越水。やばいね。

この橋から上流に見えるのが供有橋。

供有橋

椹野川水系吉敷川 大歳観測所
椹野川水系吉敷川 大歳観測所

共有橋は日ごろあまり使わないのでこの日はスルーしてしまったが、実はここに吉敷川の水位観測所があるので別日に撮りなおしてきた。

Yahoo天気予報で吉敷川の水位として上がってくるのはここのデータだ。

共有橋から上流
共有橋から上流

日ごろ使わないので供有橋を軽く見ていたが、実はこの橋、ハワイで一山あてた田中平四郎という方が地元への一時帰郷時に、坂東地区の不便さを見かね、私費を投じて架けた橋だという。なるほど。橋に歴史ありやね。

黒川橋

黒川橋
黒川橋
黒川橋から上流
黒川橋から上流

黒川橋は呉服屋のところに出る橋。

千代丸橋

千代丸橋
千代丸橋
千代丸橋から上流
千代丸橋から上流

千代丸橋は大歳小学校横の道を上がったところ。川にかかっているのは山口線の鉄橋で、その向こうには維新公園陸上競技場が見える。

春になるとこの橋からの景色は桜色に変わる。すごく綺麗なところなんだよ。

吉敷川の蛇行
吉敷川の蛇行

千代丸橋の横から川沿いの道に入ってみた。これは初めて通る道だ。

踏切を超え、右に大歳小学校、左に維新公園を見ながら軽自動車1台分の道を行く。吉敷川はここで若干蛇行しているんだね。

二斗代橋

大歳小側から見る二斗代橋
大歳小側から見る二斗代橋
二斗代橋
二斗代橋

二斗代橋は維新公園前のマツダから、椹野川の石津橋方向に抜ける途中にかかっている橋だ。

二斗代橋の上流
二斗代橋の上流

吉敷川の二斗代橋の上流には可動堰がある。

更に向こうで川が二股になっているのが見えるだろうか。左が吉敷川の本流で、右は前田川と錦川の合流したものだ。

2009年の水害では、このあたりの水嵩も上がり行き場を失った用水路が氾濫。いわゆる内水氾濫が発生した。うちはこの近所なんで大変だった。

Yahoo天気予報なんかだと観測所付近での越水はリアルタイムに分かるけど、内水が起きるかどうかは川面と土地の高さ次第。結局、ハザードマップの浸水予想を見て判断するか、リアルタイムに知りたければTwitter等のSNSに頼るしかないってのが実情だよなあと思う。

吉敷川の支流、前田川と錦川
吉敷川の支流、前田川と錦川

近所ということもあって少しだけ支流を追いかけてみた。前の写真の二股から100mも進むと前田川と錦川の合流地点に到達する。

左が前田川で直進が錦川だ。さして大きな川でもないが、山口市からの警報メールには入っていた気がするなあ。小さい川と言いながらどちらにも観測所があったはずだ。

湯田大橋

吉敷川を上る前の道に戻ろう。

湯田大橋
湯田大橋

二斗代橋からパチンコ屋の裏を通って湯田大橋を眺める。

湯田よりはだいぶ手前なのだけれども、なぜかあそこに見える橋の名は湯田大橋。まあ、湯田には橋らしい橋は架かっていないので、ここに名前が欲しかったのかもね。

湯田大橋
湯田大橋

さて吉敷川については、この湯田大橋(旧国道9号線・現県道204号線)までが学校区で言う大歳地区で、この先は吉敷地区になる。

久々に源流も見てみたいし吉敷地区も行ってみるかね。

吉敷地区

山口市は地元っちゃ地元なんだけど、吉敷のことはあんまり詳しくなくてね。吉敷川の源流らしきところは昔行ってみたことがあるんだけど、その間の川の流れがよく分らんのよ。

赤田神社まで

維新公園横
維新公園横

湯田大橋から旧国道9号線を渡って維新公園横を流れる吉敷川を登っていく。

吉敷川橋
吉敷川橋

9号線バイパスと言っちゃうのは多分僕が古い人間なのだろう、現9号線にかかる吉敷川橋が見えてきた。

吉敷の住宅街
吉敷の住宅街

吉敷川橋を渡ると吉敷の住宅街に入っていくのだけど、これが道が入り組んでいてまったく分からない。

できるだけ川沿いに進みたいのだけれど、行き止まり(に見える道)や一方通行(に見える道)があって迷ってしまった。

いったん仕切り直して国道435号線に出ることにする。

良城橋
良城橋

西鳳翩山へと続く国道435号線と吉敷川はローソンの手前で交差する。ここに架かる橋が良城橋だ。この橋の名前は何と読むのだろうか。

実は吉敷における「良城」にはかなり気を付けたほうが良い。良城小学校は”りょうじょうしょうがっこう”なのに良城商工振興会は”よしきしょうこうしんこうかい”だ。昔、名前を間違えてえらい怒られたことがある。

なので良城橋についてはあえて呼び名を書かない。誰か教えてちょ。

良城橋から下流を見る
良城橋から下流を見る

住宅街を抜けられなかったために、ここで下流を眺めておく。地図だと抜けられそうなんだけどなあ。一つ橋を飛ばしちゃったなあ。

今回いや前回も思ったんだけど、川上りは自転車で移動するのが良いね。細い道も行けるし、写真を撮るときに車の駐車スペースを探す必要がない。

良城橋から上流を見る
良城橋から上流を見る

上流側も道を知らないので、野花を片手に川辺の散歩を楽しんでらしたご婦人に尋ねてみたところ、右の道は車でも川沿いを抜けられるそうだ。

「私みたいに歩きだとずっと右の道で赤田神社まで行けるけどね」とのお言葉。なるほど、こりゃ歩いてる人だ。お礼を言って右の道に乗り込む。

良城橋から右の道を進む
良城橋から右の道を進む

川向うが河川公園になっているのか大変よく整備されている。川べりの木々は桜か。春には満開になるのだろう。

鉄琴の橋
鉄琴の橋

川沿いに進んでいるとやや道路が狭くなってきたところに、生活用の小橋が架かっていた。

この橋には少し面白い仕掛けがしてあって、写真でも橋の真ん中付近に銀色のパイプが見えるけど、あれは鉄琴だ。マレット(鉄琴のバチ)も用意してあって、誰でも自由にキンコンできるようになっていた。

鉄琴
鉄琴

写真を追加しておこう。鉄筋よりも血が通ってる感じがするね。

ほたる橋から上流の景色
ほたる橋から上流の景色

鉄琴の橋からほどなくしてほたる橋に当たった。先ほどのご婦人が言われたように車で進むには厳しい道が右に見える。ならば左へ行くしかあるまい。

くるま橋
くるま橋

住宅地を縫って再び川の傍に出てきた。車1台くらいなら通れる側道だ。向こうに生活用の橋も見える。

くるま橋から上流
くるま橋から上流

橋に寄ってみたら名前は「くるまばし」と書いてあるが全く車は通れそうもない。人が一人歩ける程度の橋だった。

さらに上流へ
さらに上流へ

なんだか少し景色にワイルド感が出てきたねと思ったら赤田神社様の入口だった。いつの間にここまで登ってきていたのだろう。

赤田神社様
赤田神社様

周防四宮赤田神社様の鳥居。ちなみに大歳小学校の傍には周防五宮朝田神社様がある。周防五社とは、九州の戦陣から戻った大内義興が周防国内の五社に戦勝報告をしたことに由来する神社の総称だ。

ふむ、大内義興か。ちょっと墓所の凌雲寺跡でも見に行くか。

吉敷川の源流を見に行こう

普通は赤田神社様のところまで追いかければ十分なので、ここからは余禄です。

赤田神社裏の吉敷川
赤田神社裏の吉敷川

こちら赤田神社様の裏の川。間違いなくこれはまだ吉敷川のはず。

源流へ
源流へ
源流へと心ははやる
源流へと心ははやる

上の写真はまだ吉敷川かもしれないけど、下の写真はおそらく東ノ浴川。東ノ浴川・西ノ浴川・木野浴川の合流地点が吉敷川の起点だが、川と道が離れるところがあって見逃した感じ。

東ノ浴川沿いの道は整備されていて気分良く奥まで進んでしまったが、明らかに間違っていることが分かったので引き返すことにした。

西ノ浴川の丸山橋
西ノ浴川の丸山橋

途中の角を折れ西ノ浴川方向に進んでいると丸山橋という名前の橋に差し掛かった。うんうん。見覚えのある道に出てきたので凌雲寺跡に向かう。

凌雲寺跡
凌雲寺跡

凌雲寺跡の大内義興の墓に挨拶し、舌状台地を降りて寺の惣門まで行ってきた。(どの写真を使おうかと思ったけどこれは惣門ではない。なんとなく規模感の出ているものを選んでしまった。)

凌雲寺跡の名前のようにここはお寺の跡ということなのだが、どう見ても城。それもとんでもない規模。

ここは僕のお気に入りの場所の一つなのだけれど、今の時期は草がボーボーで人には薦められないかな。石垣や足元からも蛇が出そうだしね。

西ノ浴川を上る
西ノ浴川を上る

昔、地蔵峠に向かう途中に吉敷川源流の碑を見た気がして西ノ浴川をさらに上がってみた。地蔵峠への道は雨の翌日に通るような道じゃないんだけどね。

地蔵峠に到着
地蔵峠に到着

吉敷川源流の碑は僕の勘違いだったみたいで、結局、何も見つけられないまま地蔵峠に到着。めーったな。

途中、めちゃめちゃガスってたけど落石もなく落葉も雨で流されてて思いの外、快適な道だったし、まいっか。

お地蔵さんに挨拶だけして、本日の吉敷川遡上を終了。誰かの何かの参考になれば幸いです。

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