みなさんも不思議に思ったことはありませんか?夜、山陽自動車道の徳山東から徳山西に向けて走っていると、山の上に光り輝くものがあるんです。
あれは何だろうなあと僕も高速を通る度に不思議に思っていたのですが、12月初旬に周南市の四熊ヶ岳から法師ヶ岳を歩いてきて、長年の謎にやっと終止符を打ちました。
あなたも気になるでしょう?
さあ、ミステリーツアーの開幕です。
四熊ヶ岳
ミステリーツアーの前に、まずは山口県百名山の四熊ヶ岳に登ります。
四熊ヶ岳登山口は、永源山公園から徳地に向けて国道489号を進み、高速の高架をくぐって、すぐ右の細い道を突き当りまで登っていくとあります。
ナビであれば周南市の金名水で検索すると良いかもしれません。この金名水のところに車が4~5台停められる駐車場があります。
先の写真の壁に沿って右に進んでいくと「四熊嶽登山口」の看板があります。
四熊ヶ岳ではなく四熊嶽(しぐまだけ)がこの地域での呼び名なのでしょうね。
四熊ヶ岳の取りつきは荒れた山のイメージ。足元も小石の上に枯枝が乗った状態でなので、注意しておかないと下りは滑ってバランスを失います。
そこから竹藪へと景色が変化し、これを抜けると急登開始。
しかし急登もわずかな距離で、見上げればすぐに尾根に入れることがわかります。
急登を登りきると広場がありそこに鳥居がありました。扁額(鳥居の看板)には木宮大権現と書いてあります。
木宮大権現ってなんじゃらほい。
キノミヤ信仰
キノミヤ信仰Wikipedia
その名称の由来については諸説あって定説を見ないが、有力なものに以下のものがある。
「来の宮」説 – 現鎮座地あるいはかつての鎮座地が海岸部に位置し、その創祀も漂着物を神体として祀るとするものが多いことから、漂着神(寄り来る神)に由来するという説
「木の宮」説 – 神木を信仰する樹木信仰、あるいは木地師の信仰に由来するという説
「忌の宮」説 – 祭祀の時に行われていた物忌みに由来するという説
「紀の宮」説 – 紀伊国の神、すなわち熊野権現などに由来するとの説であるが、「紀伊」という地名がそもそも「木」に由来するので、上記「木の宮」の亜種とも見られる
もっとも定説を見ないのは、漂着した木株を祀ったとするなど、各要素が複合的に見られるためでもあり、未解明のところが多い信仰である。
この鳥居には文化九年と彫られていました。文化九年は1812年なので江戸時代。伊能忠敬とか杉田玄白とか葛飾北斎とか十返舎一九が生きてた時代と重なります。その頃の信仰でしょうか。
歴史を感じますね。
鳥居の手前で頭を下げ、参道に入らせていただきました。これが本当に山道というよりは、参道と呼んでも差し支えないくらい広く緩やかな道なのです。
これを進んでいると、なにやら分かれ道が。
四熊方面との道標がありますが、そっちは明らかに下ってるんですよね。
直進方向が登りだし、山頂は登り方向だと思うんだけどなあ。
道の左端の木に小さな看板が取り付けられているのを発見しました。なんて読むんだこれ。
あ、ひっくり返ってるのか。
もうすぐ山頂 ここらでひとやすみ
なるほど。直進で構わないようです。
先ほどの小さい看板からは前の坂の比じゃなくらい急登でした。
岩も剥き出しな上に、広葉樹の落ち葉も積もっています。
そこを上ると広場があり、二の鳥居がありました。
この鳥居のところも道が2つに分かれているのですが、参道を行けば間違いないだろうと鳥居をくぐって奥へと進みました。
(登りと下りで別の道を通ったのですが)二の鳥居からの分岐はどちらを通ってもこの不動明王様に繋がっていました。
僕のような俗物は不動明王様が怖いんです。縄で縛られて仏法に帰依せい!と怒られそうな気がしてね。
なのでよくよく手を合わせてから、写真を撮らせていただきました。
不動明王様からも急登続き。
途中に三の鳥居を発見しましたが、今度は四熊本宮嶽神社となっていました。
あれ、最初の鳥居の木宮って読み間違えたかな。
で、この三の鳥居にはロープが張られており、近寄ることが出来ませんでした。
横から見ると夫々の柱が傾いているので確かに危なそう。
手前で頭だけ下げ、横の道を上がっていくことにします。
四熊ヶ岳山頂
三の鳥居から登っていくと、なぜこんな山奥にこんな立派な建物があるのと思わせるお社がありました。
四熊嶽大権現奥院宝殿だそうです。宝殿だったか。
その宝殿の裏手に回ると注連縄の渡された石のお社がありました。
多分ですが、こちらが四熊嶽大権現様だと思います。
山にお邪魔しておりますと手を合わせておきました。
四熊嶽大権現様の左手から少し小高い丘に登れるようになっており、そこに四熊ヶ岳の二等三角点がありました。
三角点の傍には海軍省の石柱もありましたので、戦時中はなにかの軍事目的に使われていたのかもしれません。
宝殿前の石の階段に座り、コーヒーとタバコで一服。
景色を見渡すと、木々の隙間からほんの少し周南の海が見えました。
閑話休題、宣伝ですが山口県周南市の海の話でも。
山口県周南市(旧徳山市すくも島)はとらふぐの延縄漁発祥の地。この地には今もたくさんのフグのお店が並んでいます。そこで育った40年の老舗店の料理人が匠の技であなたの胃袋と脳を満足させるでしょう。少しでも美味しく召し上がって頂くため、注文を頂いてから調理いたします。もちろん冷凍などはせず、冷蔵で送らせていただきます。お祝い、年末年始を始め全てのイベントの最高の贈り物になるでしょう。是非年に一度はフグを堪能してみてください。
法師ヶ岳
さあ、ここからミステリーツアーです。ちょっとインディジョーンズばりにドキドキ感いっぱいです。
YAMAPで四熊ヶ岳に登られた方のルートを拝見すると、たいてい皆さん法師ヶ岳にも寄られてるんですね。
で、このあたりは全く土地勘がないので、GPSで法師ヶ岳へ続く道を追いかけていたら一の鳥居まで戻ってきました。
キミヤ信仰の話のところです。どうもここが法師ヶ岳へと続く分岐の様。
最初に登ってきた道以外だと、右横方向に踏み跡が見えました。
あまり良い道には思えませんが、これを行ってみましょう。
ほんまにこっちで合っとんのかいなあと疑いながら踏み跡を追いかけること5分、急に目の前が開けました。
黄色のガードレールってことは県道じゃん。轍もあるしまあまあ車も通ってる感じですね。
これを登るんだろうな。まあ、間違えてもいいけど行ってみよう。
頂上付近は落葉が積もりあまり車が通った形跡もありません。
法師ヶ岳の頂上にはゲートがあって車は入れないようになっています。
でも人は通れるようになっていました。
・・・入って良いんだよね?
法師ヶ岳山頂
ゲートをくぐってすぐに見えたのは周南の美しい港。
そこから山を振り返ると、な、なんてでかい観音様!
他にもやたらと仏像はあるけど、でもお寺っぽくはないし。
え、これもしかして新興宗教の施設?
俺、拉致されちゃう?
すごいヤバい感じ。
恐々と観音様に近づいていくと、左手に涅槃仏がいらっしゃいました。
どっピーカンのだだっぴろい駐車場に、人っ子一人いなくて、涅槃仏と自分だけが対面してるなんてシチュエーションはめちゃめちゃシュールです。
というか非日常を通り越して不気味。
怖い。
もしかしてあの建屋に近づいていくと「きーさーまー、なーぜー入ってきたー」と白装束の人たちがワラワラ湧いてくるのかも。
それでも好奇心が抑えられません。
curiosity killed the cat ってやつですね。
建屋の2階の窓から僕の動きを観察されているのかもしれませんが、白装束の方々はまだ現れません。
涅槃佛の隣にボケ封じ観音様。他にも見て回ると、仁王像、四天王像などがあり、仏像アミューズメントパーク状態です。
いったい、なんなんだここは。
駐車場を歩き回っていると石碑を見つけ、やっとこの新興宗教施設(笑)がなんなのか分かりました。
建立碑の内容を書き写しておきますね。
瀬戸内海国立公園を一望に見下ろす景勝の地、法師ヶ岳山頂で、優しくその胸に子供を抱いて、周南の人々を包み込むような慈愛の目で見守る大観音像は、徳山国際カントリー倶楽部理事長尾崎正味氏が、子育て、交通安全・無病息災と人々の安らぎと平和を祈願し、万感の思いを込めて建立したものである。
慈母観音像建立記念碑より
台座下の壁面の太陽電池パネルは、通産省傘下の「新エネルギー産業技術総合開発機構」との共同研究事業で、太陽光発電システムとして、限りある石油資源に変わる、未来のクリーンエネルギーの主役としての夢をになっている。
この「愛」と「夢」の合体は、私たちに人間の生命の尊さ・思いやりの心の大切さを永遠に訴えるものである。
平成八年四月吉日 発起人一同
山陽自動車道の徳山東から徳山西に向けて走っている際に山の上に輝いているものの正体は、徳山国際カントリー倶楽部理事長が建てられた、この慈母観音像様です。
宗教施設かと思われた慈母観音像の下の建屋には発電か蓄電システムが置いてあり、日中、太陽光パネルで集めたエネルギーで夜間にこの観音像を照らし続けている。そういうことです。
いや、それにしても、こんなところでNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の名前を目にするとは思いませんでした。仕事でちょっと絡みがあるもんでね。ビックリです。
ここで舞台となった法師ヶ岳山頂の360度ビューを見てみましょう。
どう考えてもやばい施設なんだよなあ。ぱっと見た感じは。
新興宗教施設でないと分かれば安心です。観音様への階段も特に止められていないので上がってみました。
慈母観音様はもっともっと高い位置から、周南の街を見守っていらっしゃるようですよ。
四熊ヶ岳から法師ヶ岳登山コース
気を持たせましたが、今日のアホ・インディジョーンズの軌跡です。
周南の金名水が四熊ヶ岳登山口駐車場。道標に沿って一の鳥居をくぐり、登り方向を目指せば四熊ヶ岳山頂。再び一の鳥居に戻って踏み跡を追い、舗装路を見つけて登っていけば法師ヶ岳山頂。法師ヶ岳山頂は見どころが多い。
マジで、宗教施設に潜り込んだかと思ったもん。
ちゃんちゃん。
木宮大権現
本文中で一の鳥居を「木宮大権現」の扁額が掲げられていると書きましたが、GoogleMapsで見ると「本宮大権現一之鳥居」と表記されています。おかしいなあ。扁額の写真を見ても横棒が見えないんだけど。
あらためて写真を文中にアップしておきますね。
ひまわり子育て観音
ついでに、法師ヶ岳の慈母観音像をGoogleMapsで検索するときは、「ひまわり子育て観音」と検索すると良いようです。うむむ、これも現地では看板を見かけなかった気がする。
両方とも現地での呼び名を優先してるということでしょうかねえ。
それと「四熊方面」の看板の意味も分かりました。
https://www.google.com/maps/d/u/0/viewer?mid=1KfiIcFM2ToRflJFJ76iBNm40ZtTFvZNz&ll=34.10168211239401%2C131.76202357542422&z=16
やっぱり地図化するとよく分かるわあ。