雪の瑠璃光寺でコロナ禍の終息を願う

雪の瑠璃光寺でコロナ禍の終息を願う

山を歩き始めてからやたら仏様に手を合わせる機会が増えた僕ですが、昨年「仏像の辞典」を読んでからずっと瑠璃光寺が気になっていましてね。

この三連休、やっと時間が取れたのでさっそく行ってきました。

おっと、その話の前に山口市の雪の様子から。

雪の山口市

金曜日の雪
2021年01月08日の写真

2021年1月9日土曜日。

日本列島は強い冬型の気圧配置が続き、北陸では35年ぶりの大雪、長崎でも観測史上2位の積雪だそうです。

ここ山口市も一昨日から雪が降り出しまして、平地でも広い範囲で積雪。この日の朝の気温は-6℃となっていました。

こんなに雪が降ったのはいつぶりかと昔のブログを紐解いてみると…

2016年01月24日の写真
2016年01月24日の写真

直近だと5年前ですか。この年は子供が受験だったので、雪の中、長靴を履いて鉛筆削りとアイスクリーム、お菓子を買いに行ったことなんかを思い出します。

その前になると2011年12月25日。どうやら4~5年周期で大雪が降るようですね。

雪の瑠璃光寺

瑠璃光寺の入口
瑠璃光寺の入口

そんな中、山口県の観光寺院として有名な瑠璃光寺にやってきました。

国宝瑠璃光寺五重塔

五重塔を池の側から
五重塔を池の側から

瑠璃光寺には国宝五重塔がありまして、屋根に積もった雪が背後の山の緑に映えることから雪の日でも写真を撮りに来られる方が多いのです。

五重塔を正面から
五重塔を正面から

五重塔というのは本来仏舎利で、要はお釈迦様の遺骨を納めたものなのですが、ここ瑠璃光寺五重塔の下には大内義弘の柩が埋まっているとの口伝があるのが面白いですね。

五重塔を初重を寄りで
五重塔を初重を寄りで

この五重塔は、室町時代、嘉吉二年(1442)建立とのことで、大内文化の最高傑作と呼ばれているようです。

確かに素晴らしい。

五重塔の看板
五重塔の看板

詳細は看板をご覧ください。この五重塔の左手に瑠璃光寺があります。

保寧山 瑠璃光寺

瑠璃光寺山門
瑠璃光寺山門

瑠璃光寺は曹洞宗のお寺さんです。山号は保寧山。山門には写真のように立派な山号額がかかっていました。

曹洞宗のお話し

ここでちょっと脱線して曹洞宗のお話し。

曹洞宗というのは禅宗で、ひたすら座り続けるスタイルです。カーッツ!とか言われて、棒(警策)で背中を叩かれるあれを思い浮かべるとだいたい正解です。


曹洞宗の開祖である道元禅師の生涯を描いた『禅 ZEN』って映画がAmazon Prime Videoに上がってまして、曹洞宗とは何ぞを簡単に理解するならこれが良いです。よく映画化したなあと。

12月頃に見たのですが、宗教色は薄く、開祖の苦悩・苦労を人間ドラマとして見ることが出来ます。中村勘太郎の演技がはまっててそこも良い。

Amazon Prime会員ならまだ無料で見られるんじゃないかな。

瑠璃光寺の歴史

瑠璃光寺の看板
瑠璃光寺の看板

後の話にも関係してくるので、看板の一部を書き写しておきます。

 瑠璃光寺は、陶弘房の菩提寺で、本尊は陶弘房念持仏の薬師如来である。陶氏は大内家筆頭家老で、代々周防国の守護代をつとめた名門の家柄である。この寺は文明三年(1471)山口市の奥地仁保の地に創建されたものです。当寺は中国三山の一つと言われ、長門の大寧寺、周防の龍文寺と共に江戸末期まで、西日本の僧録司(禅寺の統括、人事)の責務を果たした名古刹で修行僧も沢山いた。
 また代々名僧を輩出し、九州佐賀藩主の菩提寺高傳寺を初めとして県内外に三十余ヶ寺の末寺を有していた。
 この地には大内義弘の菩提寺香積寺があったが解体されて萩に移ったため、その跡地に元禄三年(1690)瑠璃光寺が移り今日に至り、日本一古い正法眼蔵や各種の寺宝を残している。

もともと大内義弘の菩提寺香積寺がここにあったが、これが萩に移ったので、その跡地に陶弘房の菩提寺瑠璃光寺が移ってきたということですね。

瑠璃光寺というお名前

瑠璃光寺
瑠璃光寺

さて、ここからが、仏像の辞典を読んで瑠璃光寺に来たくなった理由です。

阿弥陀如来の西方極楽浄土

みなさん、温泉に入ると「あー極楽、極楽」なんてよく言われますよね。

あれは西方極楽浄土のことで、阿弥陀如来様のお導きで”死後に”行ける素敵な世界のことを指しています。

人は念仏さえ唱えれば、極楽浄土に往生できるってやつね。

でも、死んでからのことなんて知らねーよ、現世利益はねーのかよと思われる方もいらっしゃることでしょう。

はいはい。昔からそういう人が多かったようで、そういうのもちゃんと用意してあるんです。

あるんです。

薬師如来の東方瑠璃光浄土(東方浄瑠璃世界)

薬師如来様は東方瑠璃光浄土にいらして、全ての人々の病を癒し、飢えている者には食事を与え、貧しいものには衣服を与え、目の不自由なものにはよく見える目を与え、国の病・災禍をもなおすとされる如来です。

西方極楽浄土の阿弥陀如来が来世の極楽往生を説くのに対し、薬師如来は現世利益をもたらす如来といえます。

仏像の辞典

はい。ここで出ました瑠璃光という言葉

薬師瑠璃光如来

もう少し調べてみると、薬師如来様の正式名称は薬師瑠璃光如来だそうで、瑠璃色(紫みを帯びた濃い青、ラピラズリ)の光であらゆる病苦・災禍をたちどころに解消してくださるとのこと。

現在の日本の状況を鑑みるに、まさに今、お参りすべき如来様ではありませんか。

瑠璃光寺というお名前の推測

さて、話を戻しまして瑠璃光寺というお名前。

推測ですが「瑠璃光寺の本尊は陶弘房念持仏の薬師如来である。」ということですから、陶弘房が己もしくは領民に降りかかるあらゆる災禍からお守りくださるように薬師如来を奉り、薬師如来の瑠璃光にあやかれるよう瑠璃光寺と名付けたと考えると、これ合点がいきます。

この推測が正しいかどうかを確認したくて、瑠璃光寺の境内を探し回ったのですが、残念ながら看板等を見つけることは出来ませんでした。

まあ仏教界に詳しい方には当たり前の名前であって、今更説明でもないのかもしれませんね。

雪の瑠璃光寺でコロナ禍の終息を願う

瑠璃光寺五重塔
瑠璃光寺五重塔

瑠璃光寺に伺いまして、ご本尊の薬師瑠璃光如来様にコロナ禍の終息を重々お願いしておきました。

今回、お寺のお名前の由来に確証は得られませんでしたが、歩きまわりお参りした後には雪も止み、空も晴々。

この薬師如来様の瑠璃光が山口のみならず世界をお照らしくださいますようお祈りいたします。

皆様もご自愛ください。

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