10月10日、秋晴れのこの日、周南市の観音岳を登ってきました。
軽くハイキングでもと選んだ観音岳でしたが、なかなかに見どころも多く、奥の深い良い山でしたので皆様にも景色をおすそ分けです。
周南市、湯野観音岳への行き方
国道2号線沿いのソレーネの近くに湯野温泉郷に曲がる交差点があります。まずこれを左折。
湯野温泉郷を通り過ぎ、さらに本道を進むと湯野観音岳ハイキングコースの看板が見えてきますので、これを左折します。
枝道にもハイキングコースの看板が出ていますので、これに従い進めば、楞厳寺(りょうごんじ)様に到着します。
楞厳寺様の駐車場はハイキングにも開放されているようで、写真のようなコース図の他、トイレも完備されていました。大変、ありがたいことです。
このコース図をよく頭に入れておきましょう。登山口~休憩所~お休み広場~延命水~子安観音~観音岳頂上~回り道で下山です。
そのコース上に四国八十八ヶ所の分霊場があるようです。
なんで四国八十八ヶ所?
湯野観音岳とは
湯野観音岳の歴史については、山頂に建てられた看板がもっとも分かりやすく伝えられていたので、全文を書き写しておきます。
観音岳(四○八メートル)
平成二年十一月三日 湯野観音岳協賛会
嘉永六年(1853年)三月十三日、当牧村の地神祭の日、村の若者数人がこの山にうさぎ狩りに登った際、松田好松という人物が偶然、この山頂で半分土に埋もれた黄金の子安観世音菩薩像を発見。
当時、この山頂付近一帯は毛利家の家臣、樫田家の山であったが、翌嘉永七年(1854年)三月十三日、黄金仏の敷田として黄金仏ともども楞厳寺に奉納された。このことが当山を観音岳と呼ばれる所以である。
以来、この黄金仏は楞厳寺の寺宝として今日に至り、十二年に一度の開帳供養が行われている。
文久二年(1862年)、楞厳寺十五世貫之和尚はこの黄金の仏像の功徳を万人に与えんが為、その代像として山頂近くの展望の効く岩場に子安観音像を祀ると同時に四国八十八ヶ所の分霊場をこの山頂一帯に観請した。
以来、観音岳は霊験あらたかな子宝、子安の庶民信仰の山として定着。
昭和五十三年(1978年)、湯野観音岳ハイキングコースに指定され今日至る。
昭和六十二年、当該黄金仏は山口県夕景指定文化財(彫刻)に指定される。
山頂からの展望は素晴らしく地元の湯野温泉郷を眼下に一望し、金峰山、四熊岳、千石岳、遠くは瀬戸内海の彼方に九州国東半島をも望む。
平成二年(1990年)六月一日、国土地理院二万五千分の一の地図にその山名を記載される。
山頂の看板ですので僕は登ってから知ったのですが、お寺と地域・行政が一体となってこのハイキングコースを支えているということですね。素晴らしいです。
では、行ってみましょう。
観音岳ハイキング
観音岳登山口から休憩所まで
楞厳寺様の門をくぐり境内に入って左に、この立派な観音岳登山道入口があります。
写真の背中側に八十八か所①の仏様がいらっしゃいますので、帽子を取り手を合わせてお参りをしておきました。
土止めされた階段がいかにもハイキングコースです。徐々に心拍も上がっていき、期待も高まる気持ちのいい時間です。
階段を上りしばらく平らなところを歩くとイノシシ柵に当たりました。
巻いてある鎖を解き中に入ります。入った後はしっかり施錠。これ大事です。
このように道なりに四国八十八ヶ所のお寺さんの石仏がおられます。
ここまでにも何体も仏様がおられ、その度に帽子を取り手を合わせておきました。
ここはハイキングコースとして整備されていますので、道幅は1.5人から2人。洗礼というほどにはシダも張り出していません。
すぐにベンチの置かれた休憩所に到着しました。ここは眺望がよく、湯野の町を一望できます。
もちろん、ここにも石仏がおられ町を見守っていらっしゃいましたよ。
お休み広場
途中割愛しましたが、休憩所からも割とすぐにお休み広場に着きました。
お休み広場は岩肌が露出しておりあまり木の生えない場所のようです。もちろん太い木を伐るなど手を入れてありますが、一度に何十人も休憩が可能なようです。
ちなみに、あまり綺麗とは言えませんが右手奥に簡易トイレも設置されていました。
ところで、山の中で仏様をお見かけする度に目を閉じ手を合わせを繰り返していると時間の感覚が狂ってきます。
ここが頂上かな?との錯覚を覚えたのですが、丁度、頂上から戻ってこられた方とここですれ違い、二言三言言葉を交わしこの先にまだまだ素晴らしい景色があることを知りました。
よし休憩は終了です。進みましょう。
お休み広場から延命水
お休み広場からは稜線を歩いた後に下りに入ります。
下りは最初が急で、その後、写真のように杉林が現われ緩やかな下りになるのですが、この時点ではどこまで下っていくのかが分からないのでドキドキさせてくれました。
実は観音岳の山頂までの距離は2㎞もないのです。変化に富んだ奥の深い山です。楽しませてくれます。
下りの最鞍部が小さな沢になっており、延命水の看板がありました。
1口3年、2口10年
(x^3+2)で寿命が延びていくようですね。親父とお袋に飲ませたかったなあ。
腹を壊してはいけないので僕は飲みませんでしたが、手拭いを浸し顔と首を拭いておきました。先の計算式によれば、僕の寿命も2.1年くらい延びたはずです。
延命水から子安観音様まで
延命水からの登りはややきつめなゴロタを登っていきます。
平坦なところに平たい岩の洞穴。博打場跡だそうです。
博打場の上にも石仏が祀ってありました。札が付いていなかったので、これは地の仏様なのでしょうね。
もちろん見逃さずにお参りしておきましたよ。
博打場跡の先が二股になっています。
どちらが正解か分かりませんが、子安観音50mとなっているので右を選びました。
この時に気が付いたのですが、このコース、リボンがありません。
まあ、迷いようもないので構わないのですが。
分岐からしばらく行くと空が開け、目の前に巨石が現れました。
女岩・安産くぐり岩だそうです。急に現れるので結構感動的です。
先ほどの女岩から上がってすぐ左手、景色の開けた岩舞台を回り込んだ奥、石の祠の中に子安観音様がいらっしゃいました。
子安観音とは、安産や幼児の成長を守護するという観世音菩薩様のことです。山の上から衆生の安寧を見守ってくださっています。ありがたいことです。
遠い話ですが、娘たちの安産と孫たちの健やかな成長をお願いしておきました。どうぞよろしくお願いいたします。
子安観音様へはハイキングコースから少し入ります。
女岩から上がってきたときには道標が出ていませんし、分岐も見逃しそうなぐらい小さいので気を付けてください。
女岩を過ぎたら、道の左手を意識しておくと良いですよ。
子安観音様から観音岳頂上まで
子安観音様のお参りを終え、博打場近くの分岐点まで戻ろうかどうしようか迷いましたが、道が良いのでそのまま登りを進んでみました。
すると展望所まで50mの看板を発見。
多分、博打場近くの分岐点はどちらに進んでも頂上に着くのだろう信じ、このまま進むことにしました。
稜線まで出ていよいよ頂上近くまで進むと、左から登ってくる道がありました。
おそらくこれが博打場近くの分岐点へとつながる道でしょう。帰りはこちらを通ってみることにします。
観音岳頂上
観音岳頂上に到着しました。途中で奥深いなと思わせておいて山頂のこのあっけらかんさ。
草なし、ベンチあり、東屋あり、看板あり、石碑あり、国旗掲揚ポールあり。ちなみに奥に進むと崖に落ちそうなトイレもあります。市民のハイキングコースとしてよく整備されています。
天気も良く、景色もよく、気持ちもよく、20分くらい一人でボケーっとしてました。
観音岳からの下山(回り道)
下山はさらりと。
歩いてない道を行きます。
金玉と男根かな。
分かれ道を右に行けば女岩、左に行けば男岩だったわけですね。
お休み広場下の分かれ道を下山道に。これも歩いてない道です。
打ち返しってなんだろうなあ。
登りの時も打ち返しの看板を見たので、行ってみました。
打ち返しとは、ハイキングコースの本道から分かれた行き止まり。そのどんつきに仏さまがいらっしゃいます。
しまった、登りの際に1つお参りを飛ばしてしまったぞ。
道の角や大岩には注意しておかないといけません。
曲がり角の進むべき方向の反対側に本山寺様がいらっしゃいました。
ここまで石仏ばかりだったのですが、大岩に摩崖仏が彫ってありました。
看板そばに石仏を探して、岩を見上げた瞬間にハッとさせられました。
こちらは可愛い摩崖仏さま。
かなり降りてきたところで右上の岩に摩崖仏。
足元にばかり注意していると見逃してしまいます。
この頃になると登りだろうが下りだろうが打ち返しは全てお参りに行きました。
88番を見ることが出来たのは良かった。終わりよければ全てよしです。
最後の打ち返しは、降り切って右手に楞厳寺様に続く舗装路を見てから、直進するようになります。
これが思ったよりも長い距離に感じました。
観音岳ハイキングコース
観音岳山頂は明るく、ずっといられる場所でした。あの景色を見るだけでも観音岳ハイキングコースを歩く価値があります。
もちろん、八十八ヶ所巡りも良かった。
お参りも最初は俗なお願いをしていたのですが、八十数か所も手を合わせ目を瞑りと繰り返していきますと、自分を見つめなおし家族を想いと心境に変化が生まれます。
数を巡るのは修行のようなもので、八十八ヶ所というのはつまりそういう意味なのかなと思いました。
また、歩いている途中で、僕の母親が最期にボケて四国八十八ヶ所巡りの話しを始めたのを思い出せたのも良かった。
代わりに歩いといたよ、かあちゃん。
いくつか飛ばしたみたいだけど(笑)
山頂からの景色
最後に観音岳からの景色をどうぞ
前日に届いたばかりのデジカメを充電だけして、初期設定もせずに持ち出したので日付が無茶苦茶です(笑)
写真に青い色が強く出ているのは、秋晴れのおかげなのか、カメラの特性なのか、まだ判別はつきません。
次回の記事をお楽しみに。