前回までのあらすじ
朝から周防大島に行き嵩山をハイキング。東和町の道の駅 サザンセトとうわあたりで昼食をとったらお腹いっぱいに。なんだか落ち着いちゃったけど、どうする俺!
いやいや文珠山行かなくっちゃ!
文珠山登山

自宅から周防大島までは高速道路を使って1時間半。めったに来られる距離ではありません。
せめてもう一山と県道437号を引き返し、文珠堂下の駐車場までやってきました。この時点で14:09。嘉納山まではやっぱ難しいか。
地元ではないために、道の細さや込み具合がわからないのはつらいところです。
文珠堂の駐車スペースがどれだけあるか分からないので、手前で見つけた駐車場に車を停めて歩き始めました。文珠堂まで500mとのこと。これも若干時間のロスになりました。
結局、文珠堂の駐車スペースはがら空きだったわけですが、まあ、この林の向こうの竹林に陽が透けて見える景色を見ることが出来たので良しとしましょう。

文珠堂にやってきました。
この文珠堂の山門にかつての屋代村村長のお名前が彫ってあるのに気が付き、やはり周防大島は屋代島なんだなーと認識を新たにしました。これについては所感にて後述しようと思います。

さてその文珠堂がいかなるものかと言えば、これが結構由緒正しきお寺さんでした。看板から一部抜粋します。
文珠堂
文珠堂の説明看板
大同元年(八〇六年)、弘法大師(空海上人)が唐から帰途、瀬戸で難航、三浦流に上陸され、松尾寺奥の院のこの地に文珠菩薩の尊像を刻まれ本尊として当堂を建立されたといわれている。
羅漢山の竜岩寺と石門にあるが、俗に文珠様と親しまれている。
日本三大文珠は大和国(奈良県)阿部の文珠、丹後国(京都府)切戸の文珠、そして周防国(山口県)のこの岩屋の文珠である。
日本三大文珠の一つとは、さすがかつての瀬戸内の交通の要所ですな。ものすごく昔ですが、4つ目の有名な「もんじゅ」に若干絡んだことがありまして、感慨深いものがあります。

あまり時間もありませんので、文珠堂様には頭だけ下げておき、14:19 文珠堂正面右横の階段から入山します。

階段を上りきった正面に大岩があり、その下の洞穴にお地蔵様(詳細不明)がありましたので、頭を下げて、左に巻きます。

草の茂る坂を上がるとコンクリの道と合流し、ほどなく写真のような山道となります。

取りつきは散歩道のようでしたが、徐々にガレてきます。
何度か折り返して左に沢の音が聞こえるようになりました。

文珠堂から400m上がったあたりに小さな滝と切り返しがあり、このあたりから直登に近くなります。

もとは整備されていたであろう土止めの木が折れ、木の手すりも緩んでガタがきていました。
足元を慎重に上がっていきます。

頂上に近づくにつれガレも消え、空も開けてきます。僕の好きな絵面です。

先ほどの明るいところを折り返すといよいよ頂上近くです。

開けました。ああ、この4~5枚で伝わるでしょうか。この快感。
文珠山山頂

頂上について一番最初に目に飛び込んでくるのは文珠山展望台です。
嵩山の展望台もそうでしたが、こちらの展望台も非常によく清掃が行き届いており塵一つありませんでした。これは町の方のご苦労でしょう。大変気持ちよく使わせていただきました。ありがとうございます。
また、追記ですが、展望台の裏手にはトイレもあります。こちらも綺麗です

展望台の左手前に小山があり、これが山頂になっています。

文珠山展望台から南には今日行こうかどうしようか迷っていた嘉納山が見えます。一つ山を越えた向こうなので今日はもう無理そうですね。

文珠山展望台から北には岩国基地が見えます。ガスっていますが晴れていれば広島の宮島も見えるそうです。

少し西に視線を移しますと小山の向こうに、朝、渡ってきた大島大橋が見えます。ここは晴れた日であれば素晴らしい眺望の得られる展望台であることに間違いありません。
この日の天気予報は晴れでしたが、高層に雲が薄くかかっており風はやや強め。登りで火照った体を冷やすには良いのですが、景色を楽しむにはやや残念な日でした。
また次回、嘉納山を目指すときに楽しませてもらうことにしましょう。
文珠山下山

登山・下山ともほぼ同じルートを通りましたので、下山時の写真は一枚のみ。
わずかな違いとして、登山時は文珠堂横の石段を登りましたが、下山時は文珠堂裏のコンクリート道から降りてきたというだけです。

文珠堂下の駐車場まで戻ってきましたが、そう言えばここに分岐の札がありました。左に行くと文珠の滝(千載の滝)というのがあるようです。
嘉納山をあきらめたので時間は少々あります。行ってみましょう。

道なりに進むと山側から水の出ているところが何か所かあり、滝というか沢の音がずっと聞こえています。木々で覆われて確認はできませんでしたが、おそらく道路下の深いところに沢があるのでしょう。
さて、わずか100m程度進むと山側に写真のような小滝がありました。分岐点で見た看板の写真からすると多分ここが文珠の滝ということで間違いないでしょう。
見つけることができたので満足です。では今日のハイキングコース図をどうぞ。

ハイキングコース図の赤い縦線の部分が、文珠の滝(千載の滝)になります。
16:28 駐車場まで戻って下山完了。家に戻るにはちょうど良い時間となりました。
周防大島(屋代島)の所感
周防大島は瀬戸内で3番目に大きな島で、かつて瀬戸内の交通の要所であったこともあり、景観とともに歴史的な見どころが多かった印象です。
また地理的には、生まれてからずっと「周防大島」だと思い込んでいた島が、国土地理院の地図上では「屋代島」として記載されていることにコペルニクス的転回を覚えました。
町名も周防大島町、本土との間にかかる橋も大島大橋。しかし、国土地理院上は屋代島なのだそうです(!) 町名と字が違うなんてのはよくある話ですが、周防大島の場合はでか過ぎで笑うしかありません。
さて、周防大島は日本一高齢化率の高い島としても有名でして、かつて「島に移住した若者には家と船と当面の給料を支給」等の施策を打っており密かに大丈夫かなーと考えていたのですが、なかなかどうして観光の島としての生き残りを賭けていることを感じました。
周防大島のマラソンレースや自転車レースなど派手なイベントの開催は近年聞くところですが、山の展望台の清掃が行き届いているところなど、人の見ていない部分にも観光課または地元のじいちゃんばあちゃんの思いが感じとれました。
その観光面で言えば、夏の片添ヶ浜は広島からの車で埋まっているようですし、嵩山のハンググライダーのランチャー台もインスタグラムの映えスポットとして有名になってきており、実際、ひっきりなしに県外の車が山を登ってきていましたので、近県にも「周防大島良いところ」というのが伝わっているのでしょう。
ちなみにランチャー台はそこそこ危険でもちろん禁止札も立っています。今回、僕もランチャー台でおちゃらけてしまいましたが、町としては痛しかゆしなのだろうと思います。
危険なことほど面白い。それは間違いありません。どうか皆さんも適度な危険で怪我や事故のないように観光を楽しんでくださいね。
周防大島、いや屋代島。朝から2つの山しか登れませんでしたがまた遊びに行きたいと思います。
待ってろよ、じいちゃん、ばあちゃん、嘉納山。
ちょっと気に入ったので、この本をまた載せておきます。