桂木山の古名は止星山と四条山です。太古に北極星が降ってきたという伝説から止星山、これがなまって四条山になったとのこと。
また桂木山の山頂には妙見宮が祀られています。これは大内氏の妙見信仰によるものです。
妙見菩薩は北極星や北斗七星を神格化した方角や導きの仏様ですが、戦国時代には北斗七星のひとつ破軍星がもてはやされ、その影響で妙見菩薩も軍神としてあがめられたとのことで、各地で連戦を続ける大内氏が、前述の星降る伝説にあやかり、妙見宮を建てたと考えれば合点がいきます。
桂木山への入り方
なーんて堅い話はともかくね、なにか良い風景を見たいなと秋の休日に美祢市の山を歩いてきました。
桂木山へ入るにはまず白糸の滝を目指します。白糸の滝については別記事にまとめましたので、まずこちらをどうぞ。
白糸の滝を見終えたら、遊歩道の階段を登って滝の上の沢沿いを上がっていきます。
舗装路に出てきましたら、すぐ左手に桂木山登山口の看板がありました。
うむ。わかりやすい。
正面にはキャンプ場があります。急ぐわけでもないので、少しだけ右奥のキャンプサイトも見に行ってきました。
草が伸びているので整備が行きわたっているとは言えませんが、広場にはトイレ・炊飯塔・シャワールームが完備されており、気軽にキャンプが楽しめそうな雰囲気はあります。
桂木山登山開始
さて、前置きはこのくらいにして、ぼちぼち行きますか。
先ほどの看板に従って、キャンプ場を越えると再び登山道入口の看板に巡り合います。
車止めのロープを越えて入山。しばらくは右下に沢を見ながら舗装路を進んでいくようになります。
右下の沢では山葵を育てているようです。清流なんです。
舗装路は山葵の作業小屋までで、ここから山道に入っていくようになります。
右と左に道が見えますが、ラミネートされた紙の小さな道標があり右に進むことがわかります。
山に入ってすぐはよく踏まれた緩い坂です。右下にシイタケの栽培のための組木などが見えます。
よく枝打ちされ、間伐された林の中を進んでいきます。道沿いのシダも刈り込んであるのではないでしょうか。明るい道です。
やがてガレてきました。
ずっと右下に沢を見てきたのですが、これを渡り左手に沢を見ながら登っていくようになります。
このあたり木が何本か倒れて沢を跨いでおり、「それがしは」と修験道の方が出てきそうな感じがありました。僕、怖がりなんです(笑)
途中で沢そのものを上るところもあります。水の量が分かりませんし、雨が強く降った週は桂木山は避けたほうがいいかもしれません。
木止めの階段を見つけると沢とはお別れして山登りが始まります。
ごろたから手ごろな石まで、ゴロゴロしてる登山道です。登りは良いですが下りは石車に乗らないように注意が必要。
あともう少し進むと赤土が混ざってくるので滑ります。これも下りは注意です。
まったく間違いようのない一本道なのですが、ケルンらしきものが積まれていました。
手頃な石がそこら中にあるんでね、積みたくなる気持ちも分からないではないんですが、これじゃ「賽の河原」ですよ。
蹴り崩すわけにもいかないし、なんか微妙な心持。むしろ何かあったのかと心配になります。
登りは足上げるのが面倒だし、下りは膝に負担がかかるし、個人的にはあまり好きではないのですが、きつそうなところは木止めの階段が設置されています。
それにしても空が開けてきました。これは頂上が近い?
と思ったら稜線でした。
間違いようのない看板が立っています。金子建設さんありがとうございます。
稜線に出ればあとは楽勝かな~と思っていたら、最後の最後に空に続くような階段です。
いや、階段苦手なんだけどね…
桂木山山頂
見えていたのは桂木山山頂の妙見社様でした。
二社いらしたのでそれぞれに手を合わせ、先ずは登ってきたことをご報告。山頂をウロウロするので先に謝っておきます。
三角点を見つけたのですかさず撮影。
山頂から少し降りて妙見社様と鳥居を撮影。青い空がバックで格好いい。
この妙見社様が見守っていらっしゃる風景というのが、こちら秋吉台です。薄緑のところ全部が秋吉台。
少し右に目をやると如意岳、左に目をやると遠くに西鳳翩山なんかも見えます。
表の景色を見てから振り返ると、うわー日本海が見えるんだ!
写真はズームしていますが、仙崎から青海島まで見えてます!
ここから一山越えれば三隅町なので、日本海が見えるのは当たり前といえば当たり前なのですが理性と感覚ってのは大きく違います。
美祢市から日本海が見えるなんて!
想像もしなかった景色、ホント言葉に尽くせません。
桂木山山頂の動画
あまりの感動にビデオを撮ってしまいました。
しかも興奮して思わず声入れをしてしまいまして、これで僕もユーチューバーデビューですかね~(笑)
今日のコース
今日のコースは白糸の滝の駐車場から桂木山のピストンです。地図はあえて引きにして如意岳や秋吉台が入るようにしてみました。厚東川も表示されていますね。
白糸の滝に限らずこのあたり一帯の河川や湖沼は、瀬戸内の宇部市に流れ出る厚東川の源流だったりします。
大内氏が勢力を広げる前は長門守護職であった厚東氏が美祢一帯を治めておりまして、厚東川の名前はその名残ですが、察するに厚東氏を破った大内氏がその威光を一帯に示すために、桂木山に妙見社を建てたと考えるのが理にかなっていそうです。
また大内氏が拠点とした山口市から見ると美祢市は北にあります。北の守護神玄武も北極星に関連しますから、妙見様を置くことで神仏的にも北からの脅威に備えたというのが、桂木山妙見社建立の理由でしょう。
なかなか楽しかったです。また来ますね。