石屋形羅漢山摩崖仏

石屋形羅漢山摩崖仏

最近、摩崖仏に呼ばれている気がする。仏さんも寂しいんだろうか。ここに来い。記事にしろと言われてる気がする。いえ、頭がおかしくなったわけじゃなくて、なぜか偶然に摩崖仏に出会うんですよ。マジで。

偶然、石屋形羅漢山を知る

美祢市観光マップ
美祢市観光マップ

国道435号線を特牛方向へ。美祢社会復帰促進センターを越え県道267号線を右に折れてしばらく進むと、道沿いに石屋形羅漢山摩崖仏の看板が見えてきます。

前日、狗留孫山を登った帰りにたまたまここを見つけまして、摩崖仏という言葉が気になりましたので、翌日、これを見るためだけにやってきました。

たまたま見つけるというのが、なにか呼ばれている気がするんですよね。

石屋形羅漢山摩崖仏の看板
石屋形羅漢山摩崖仏の看板

石屋形羅漢山摩崖仏
昭和51年4月13日指定
山頂近くに群立する高さ10m近くの砂岩の自然石に数躯の仏像が線彫りされている。
この仏像は、円満な顔、すなおな衣紋の線、ふくらみを持っていながら、ややとがりのある蓮弁などから、室町時代初期(1336~)頃のものと思われる。
仏像は、一号壁より六号壁の位置に線彫りされ、如来、菩薩、明王などである。
摩崖仏は、山口県下では大変めずらしく、江戸時代(1600~)のものはあるが規模が小さいものがほとんどである。
この摩崖仏は、制作年代やその規模の上から本県の代表的なものといえる。
山麓にあった羅漢寺にゆかりがあると伝えられている。

美祢市教育委員会

摩崖仏はいくつか見てきましたが、たいてい江戸や明治のもので室町というのは聞いたことがありません。楽しみです。

石屋形羅漢山登山

石屋形羅漢山登山口
石屋形羅漢山登山口

登山と書きましたが、石屋形羅漢山の頂上(見晴らし台)までの高低差は60m、登りの所要時間は15分程度のハイキングコースです。

羅漢山摩崖仏観光休憩所
羅漢山摩崖仏観光休憩所

取りつきからコンクリートの階段を20mも上ると、すぐに休憩所が見えてきます。その横にはトイレもありました。

下りの際に気が付いたのですが、この休憩所内の壁には摩崖仏の絵が掲げられていますので、予めここでイメージをつかんでおくと良いかもしれません。

整備された登山道
整備された登山道

休憩所からは山肌を巻くように登っていきますが、シダの張り出しや落ち葉を清掃された跡があります。

社会復帰センターの方が清掃されたような看板もありました。

展望所と摩崖仏の分かれ道
展望所と摩崖仏の分かれ道

大きな岩を左上に見ながら「あれがそうかな?」と登っていきますと展望所と摩崖仏の分かれ道に来ました。

ここまでくると摩崖仏のある大岩が目の前に見えますが、先に展望所を見たいので左をチョイス。

石屋形羅漢山頂上
石屋形羅漢山頂上

先ほどの分岐を左に20m程登ると頂上が見えてきました。

展望所の名の通り、頂上は草や木が刈られ坊主になっています。

石屋形羅漢山頂上からの景色
石屋形羅漢山頂上からの景色

頂上にはベンチがあり、その上に立てば豊北方向の山々が見えました。標高260m程度の山ですので眺望が良いとは言えませんが、今日の主目的はピークハントではないので問題なしです。

石屋形羅漢山摩崖仏

石屋形羅漢山摩崖仏
石屋形羅漢山摩崖仏

お待たせしました。先ほどの分岐点まで戻り、正面に進んで一段上がると大岩がコの字に並んでいます。この岩に摩崖仏が彫られています。

石屋形羅漢山摩崖仏の看板
石屋形羅漢山摩崖仏の看板

上記コの字の岩の並びが看板の左に描かれています。右手前から壁面一号、ぐるっと回って左手が壁面七号となります。

以下、休憩所で得た写し絵とともに写真を示します。

地蔵菩薩立像
地蔵菩薩立像
地蔵菩薩立像(写し絵)
地蔵菩薩立像(写し絵)

壁面一号
地蔵菩薩立像 高さ2.46m。右手に錫杖、左手に宝珠を持つ。足下は踏割蓮華である。

美祢市教育委員会
薬師如来像
薬師如来像
薬師如来像(写し絵)
薬師如来像(写し絵)

壁面二号
如来形の座像 高さ1.52m。後世の補刻の為最初の印相がはっきりわからないが、膝上に両手を重ね、薬壺を持つ薬師如来像と見てよいであろう。

美祢市教育委員会
壁面三、四、五、六号方向
壁面三、四、五、六号方向

壁面三号
上方の岩が大きく割れて落ちているが、その落ちた岩に不動明王の頭部がある。残った岩には絹索をもつ左手以下、脚部が見られる。

美祢市教育委員会

岩場の手前にロープが渡されており、この位置からは壁面三号がどの岩なのか判別できませんでした。また壁面四号、五号、六号には近づくことすらできず、いったん壁面から離れて山の上から撮影を試みましたが、木が邪魔であったり線も細いために判別不能でした。残念。

大日如来・阿弥陀如来(写し絵)
大日如来・阿弥陀如来(写し絵)

壁面四号 上部
阿弥陀如来像よりさらに高いところに、宝冠を頂いた像がある。座して両手を膝上で組んでいるが、岩の割れが甚だしく印相はわからない。左腕に臂釧があり、左肩から条帛をかけいる姿から大日如来と見てよいであろう。

壁面四号
中央に大きく阿弥陀如来の座像がある。高さ1.98m。面相は円満で肉髻は高く螺髪と思われる線がある。肩から納衣をかけている。下方の左右に二つの仏像が彫られており、右が観音菩薩、左が勢至菩薩である。このところはいわゆる阿弥陀三尊である。

壁面五号
岩が大きく割れているので、仏像の名は全くわからない。ただ、壁面下方になびく裾と、下げた左手が見える。なお、五号壁に沿うてその奥にも像があったらしいが、岩の剥落でわからない。

美祢市教育委員会
善光寺三尊(写し絵)
善光寺三尊(写し絵)

壁面六号
一光三尊式の光背の前に中尊阿弥陀如来。宝冠を着け両手を胸前に重ねる脇侍の二菩薩が並んでいる。善光寺三尊の像である。

美祢市教育委員会
観音菩薩を斜めから
観音菩薩を斜めから
観音菩薩(写し絵)
観音菩薩(写し絵)

壁面七号
高さ1.75mの菩薩の座像であるが、後世の補刻があり容像はよくわからない。右手に蓮華を持つ観音菩薩かと思われる。

美祢市教育委員会

石屋形羅漢山摩崖仏まとめ

石屋形羅漢山摩崖仏は室町時代初期の線彫り。砂岩が風雨にさらされたせいか、かなり線が細く肉眼でかすかに見えるかどうかという仏様群でした。

また、観覧者の安全または摩崖仏の保護のために岩の手前にロープが張られており、近づいてじっくり眺めることができなかったので現場ではモヤモヤ感が残りましたが、休憩所の写し絵を見ることでかなり救われました。

先にも書きましたが登山前に休憩所に寄られて写し絵を頭に入れておくと、岩の眺め方も変わってよいと思います。

登り15分、下り5分の低山です。摩崖仏に興味があれば是非どうぞ。

これまでの摩崖仏シリーズ

これまでの摩崖仏シリーズをまとめておきます。

せっかく呼ばれてるんだから、もう少し仏像のことを知ってあげないといけませんね。

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