今日からしばらくは山口と兵庫の二足の草鞋。旅の始まりに御旅山を選んで登ってみた。
御旅山
二足の草鞋となって最初のハイキングに御旅山を選んだ理由は3つ。兵庫の拠点からめっちゃ近かったこと、低山で歩きやすそうだったこと、そしてなんたって名前がいいじゃないの。
御旅山。旅に出て無事に帰る。これが今日の僕のミッション。
灘のけんかまつり 広畠練り場
まったく土地勘のない中でどうやって御旅山を見つけたかっていうと、まずはYAMAPで近隣の山を検索、次にヤマレコでよく歩かれてるルートを調査。最後にGoogle Mapsで登山口近くの駐車場を検索した。Google Mapsからは「灘のけんかまつり 広畠練り場」に車が置けそうだ。
車のナビに住所を入れて広畠練り場に行ってみた。山肌に延々桟敷が続く。なんかすごく良い感じじゃないの。山登りっぽい人たちが車を停めて登っていくので僕もここに停めさせてもらった。
御旅山に向かう道は練り場の左かららしい。結果、この舗装路は車で登れたけれども、御旅山は低山なので練り場からスタートするのがいい感じだった。
松原八幡宮の手前に車が数台停められるような駐車場があったので「灘のけんかまつり 広畠練り場」を見下ろしてみた。手前にも向こうの丘にも段々になった桟敷席がすごいぞ。
「灘のけんかまつり」は日本三大荒神輿の一つで、毎年10月14日・15日に行われる松原八幡神社の秋季の例祭とのこと。灘の七地区からから屋台が、年番地区からは三基の神輿が出され、早朝から「潮かき」を済ませた三基の神輿が下に見える練り場で壮絶なぶつかり合いを行うそうだ。
10月15日、覚えてたら見に来よう。
松原八幡宮 御旅所
練り場から舗装路をあがって「松原八幡宮 御旅所」にやってきた。坂の途中に駐車場もありトイレもありちょっとしたキャンプスペースもあり、登山者にとって優しい山のようだ。
御旅山の名前の由来となった神社様なので、僕のこれからの旅が成功に終わりますようにとよくよく願掛けをしておいた。
※ 家に帰って気が付いたのだけど「御旅所」ということは神様の休憩所。松原八幡宮様の本宮が別の場所にあって、秋の大祭(灘のけんかまつり)の際に神輿に乗った神様が本宮からここに移られるということだ。まいったな。
御旅山の名前に誘われてきたが神様はここにおられない。うーむ。そのうち本宮にもお参りしておこう。
御旅山
団体さんが「松原八幡宮 御旅所」の左から御旅山に入って行かれたので、僕も左から入山することにする。
御旅所の左には「御旅山自然マップ」があった。
ヤマレコのログを見ると御旅山の山頂を通り越して隣の甲山もまとめて回ってらっしゃる方が多い。少し考えたが今日の僕のミッションは「旅に出て無事に帰る」なので「御旅山だけでいい」ことにした。
その代わり山頂近くの”カエル岩”に回ってくることにする。一つには単純なピストンがつまらないから。もう一つの理由は後述。
御旅山自然マップを見てそこそこ歩くイメージを持ったのだけど、絵にあった第一鉄塔はすぐだった。
しかも第一鉄塔から見える禿山山頂の東屋。あれが御旅山に違いない。
近いぞ。
ちょっと近すぎるんじゃないのーーーーと思ったのだが「いや、今日は旅に出て無事に帰るミッションだからこれでいいのだ」と歩を進めることにする。
実際、御旅山山頂まではめっちゃ近い。しかも低山。
でもすんごく気持ちよかったよ。
3月末。この時期に山で桜に会うと嬉しいね。
写真に見える第二鉄塔はスルーでOK。スルーでOKなんだけどルートもよく見てないので一応鉄塔下まで行ってみた。結果スルーでOKです。
御旅山は頁岩の上に溶結凝灰岩とか流紋岩が乗ってるらしい。その溶結凝灰岩を叩くと火山豆石が出てくる(いいサイズの豆石が出てくるのは珍しい)らしく、これを知ったのは下山後だったので後の祭りなんだけれども。
ちなみに姫路近辺の山を調べようと宮脇書店(なんと宮脇書店は全国チェーンだった!)に行ってみたら地元の山の書籍が一つもないんだよ。宮脇書店さん、まじでこういう地元フェアはやった方がいいよ。
これは地層が好きな人の本。ちなみに兵庫百名山もなかった。
こういうのは一店舗に一冊置いておいて欲しいわ。
さて、第三鉄塔手前あたりから吹奏楽の奇麗な音が聞こえてくるなあと思っていたので、ちょいと岩に登ってみたら眼下に姫路市立飾磨高等学校を発見。春休みの、しかも日曜にも関わらず練習してるんだね。いいぞ若者。頑張れ。
第三鉄塔を越えると山頂まではもうすぐ。白砂の休憩所ってのは僕が適当につけた名前。きれいだったんでね。この先は階段になる。
足元の高さも山頂までの距離もたいしたことのない階段。写真を残した理由は、下りで使ったカエル岩からの合流がこの地点(左に細い道が見えます)だったため。
ほどなく山頂へ。
御旅山山頂
御旅山の山頂は坊ちゃん嬢ちゃん兄ちゃん姉ちゃん小父ちゃん小母ちゃんでいっぱいだった。タイミングを見計らって山頂の立て看板と三角点を撮影する。
御旅山には四等三角点があり、標高は139.61m。この三角点の冠字選点番号は坪26で基準点名は妻鹿(めが)だそう。妻鹿というのはこのあたりの地名で交差点にも描いてあった。
ちなみに部号は「兵庫県1」!!! やったぜ!!! なんつって。部号は測量時期によるから近隣の四等はたぶんほとんどが兵庫県1なはず。まあ、なんでも1がつくと気持ちいいんだけどな。
さて、土地勘がないなりに山頂から街を俯瞰してみることにする。
まず姫路城は分かる。
真ん中あたりの茶色い低い建物の奥にあるのが姫路城(B)だ。姫路城が分かれば角度的に駅ビルのピオレが「白い門の字」で見えてくる。ということはピオレの手前がJR姫路駅(C)だ。
真ん中あたりの小山の上にアーチが見える。手柄山の展望台? 手柄山には水族館があったりその昔は遊園地があったりして姫路駅近辺からモノレールが走っていたそうだ。
さらに目線を左に移してみる。
市川というと千葉を思い出すが、御旅山の横を流れるのは”市川”という名前の川。市川の向こうに広がるのはたぶんだけど新日鉄の広畠工場で、今更ながらに新日鉄広畠って姫路だったんだなーと知った感じ。
取り合えず3日程度で仕入れた情報はここまで。
カエル岩経由で下山
下山はピストンじゃ面白くないし「旅を無事に帰るで”カエル”岩経由」とか洒落ようと思ったんだけどね、山頂で誰に聞いても「カエル岩は聞いたことあらへん」というお返事。あ、これはイントネーションもよく覚えてないけどニュアンスね。
誰も知らないと言われるとしゃーないので「山頂からの方向的にこっちしかないだろ」と思われる小道を下ってみることにする。いつものなんとかなるでしょってやつ。
わりと簡単に岩場に出てきて、あれこれ見たけどどうにもこの先が降りて行けそうにない感じ。んで横を見ると道があった。あ、ちなみにカエル岩は横から見ると蛙らしいです。振り返ってないので知らんけど。
で、記事の前半に「ここから階段」と書いた場所にたどり着きました。短い回り道だったけど楽しかったよ。やっぱ人生には多少のワイルド感がないとね。つまんないから。
あとカエル岩がカエルっぽいかどうかは甲山を回る機会にでも見ることにします。
実は見逃したことを残念と思ってるんで。
さあ、あとはピストンだ。
「さあ、あとはピストンだ」と思ったのだけど、第一鉄塔の手前から神社(に向かって)右の小道もあるらしい。
車を停めた場所から大幅にずれると帰り道が分からないけれども、神社に出るなら問題ないのでこの道を選択してみた。
これ、めっちゃ緩やかで小山一つスルー出来る優しいハイキングコースだった。
面白味はないけど奇麗な道で気持ちいいよ。
神社(向かって)右に出てきた。ちっちゃい寄り道だけど完全なピストンよりもこういうのが面白いね。「松原八幡宮 御旅所」さん(このときは御旅所とは知らない)に挨拶をして振り返り、山を下ることにする。
!!!
この時、かなり先を歩いていた姉さんが”練り場の桟敷”に消えていくのを僕は見逃さなかった。
松原八幡宮 御旅所手前のなんて言ったらいいんだろう、芝の広場の駐車場的なところから”鎖や警告もなく”普通に桟敷に入ることができた。先に言っておくけど、道になりに下っていくと何も問題なく駐車場に降りることができる。降口には鎖もなかったしこれは通り道と言って差し支えないはずだ。
各桟敷もそれぞれ工夫を凝らしており、草の繁殖を抑えたり、コンクリや鉄骨で強度を高めたり、売店かと思うような建屋もあったりと、年に一回の荒まつりにかける民間の意気込みを感じる。変化に富んだこの道も面白かった。
御旅山 松原八幡宮御旅所ルート
御旅山の標高は139.61m。松原八幡宮御旅所下の灘のけんかまつり広畠練り場からあがっても1時間ちょっとの行程だ。ヤマレコの累積登りは137m。YAMAPの記録は186mで、YAMAPは第二鉄塔からの一旦下りをカウントしてるのかもしれないが、まあ、いずれにしても大した距離でも標高でもない。
地元の人気の山なのだろう。下りでは小学校低学年の少年団とお父さんお母さんと多くすれ違った。それぞれに挨拶を交わし気持ちよくハイキングを終えることができた。
新しい土地でいいスタートが切れたように思う。
第一鉄塔のベンチで「恋の浜 緑の回廊マップ」を見つけた。兵庫と言えば六甲も気になるがこのマップの辺りから抑えていくのも良いのかなと思う。
出先を楽しむで。