カラーバス効果*1か引き寄せの法則*2か分からないけど、ここ数か月のうちに二人の方から「松岳山は登ったことがありますか?」と聞かれた。よくよく聞くと二人とも山陽小野田市の厚狭*3の出身で、松岳山は遠足で登った思い出の山ということのようだ。きっと良いところなんだろう。二人からお薦めされたのなら僕も松岳山に呼ばれている気がする。
行ってみよう。
松岳山への入り方
本当は僕も遠足よろしく厚狭の市街地から歩きたかったんだけど、生憎の雨なので松岳山正法寺さんまで車で行くことにした。
松岳山正法寺さんへは、国道2号線から県道225に入り、厚狭駅の前を過ぎて、右手にウェスタまるきを見つけたら、まるきとコメリの間を山側に入る。写真の看板から住宅街を過ぎて左に曲がるところがあるが、ナビがなくてもこっちだろうと想像できる曲がり角だ。あとはほぼ道なり。松岳山正法寺さんに登っていく分岐には看板があるので迷うこともない。
その先は道が狭いのでちょっとビビるよ。
「松岳山正法寺の歴史」の看板を見つけたらほぼ登山口入口。この先に進んで松岳山正法寺さんの駐車場に車を停めさせてもらっても良いかもしれないけど、僕はこのカーブの脇の広場に車を停めさせてもらった。
松岳山 登山
松嶽山正法寺さんの参道が素敵な感じなのでここから行くことにする。
松岳山正法寺さんへ
先の看板の向かいが松岳山正法寺さんへと続く参道になっていて、大岩に松嶽山正法寺と刻んである。ここからスタート。
この日は大粒の雨が降っており、岩がむき出しの参道は滑りそう。こけちゃうと大変なのでここは慎重に。
このワイルドな参道がしばらく続くのかなと思っていたら、思いのほか短い距離で正面高い位置に松岳山正法寺さんが現れた。
出迎えてくれた吠えるワンちゃんを適当にあしらい、階段を上がってまずはお参り。手を合わせて仏様にお山にお邪魔することを報告しておいた。
僕が手を合わせると途端に吠えるのをやめるワンちゃん。こいつはなかなか賢い番犬だ。
お参りを終えてお寺の内外を拝観。こんな山奥にというと失礼だが綺麗な造りのお寺様だった。また真言宗だけに不動明王様が祀られていたが、僕はなぜかこの不動明王様が怖くなく、だいぶ煩悩の数も少なくなってきたのかなあと感じる。まあ、願掛不動様なのでお優しいのかもしれないが。
松岳山 登山
遠くにお寺の方が見えたので「お山にお邪魔しまーす」とお声がけして山に入っていく。
松岳山へは正法寺さんの本堂の右にある石段を上がっていく。と言ってもこの時点では道が分かっているわけではなく、多分、これでしょという適当な判断だ。他に道もなさそうだしね。
石段を登りきる手前右手に梵鐘が現れた。松岳山正法寺梵鐘は県指定の有形文化財。南北朝時代の1363年、大中臣弘義によって造られた銅の釣鐘だそうだ。
石段を登りきると広場があり、右手に昭和の建立の熊野権現社。こちらでもお山にお邪魔することを報告しておく。
広場を歩いていたら百度石を見つけた。これはお百度参りのカウントするやつだね。後ろに古い石垣も残ってるので、元々ここに本殿があったのかもしれないな。
さて一通り広場を歩き回って、百度石の左奥も探ってみたものの、山頂に向かう道が見つからず困ったねこりゃと。
百度石から振り返ると厚狭の街への景色が開けていて「今日は雨も降ってるしこれで良しにして山を下りようかなあ」と思っていたその時!
熊野権現を見上げた右手にピンクのリボンを発見!
近づいてみると比較的新しいリボンで、その先の踏み跡もハッキリとある。さっきお参りしたときにどうしてこのリボンに気が付かなかったんだろう。まいっか。他にリボンもないのでこれに違いない。行こう!と進むと、すぐに八大龍王の石碑と「この先300m」の看板があり、道が間違っていないことを教えてくれた。これで安心だ。
熊野権現社からの入口は狭いが、ほどなく広い山道へと出てきた。
足元は粘土質でたまに岩も顔を覗かせているので落ち葉の積もっていないところは滑るが、踏み跡は明瞭。また、雨が降っている割には日の入りの良い明るい道が続く。一人でも怖くない道だ。
わずかな登りを終え尾根に出ると霧が道を覆っていた。ブレアウィッチプロジェクトみたいだ!と一人ではしゃいでしまった。
松岳山 山頂
尾根を歩いているうちに八大龍王のお社が現れ、さほど登った感もないまま松岳山山頂に到着した。
八大竜王というのは釈迦の説法を聞いたという護法の龍のこと。釈迦の誕生の際に甘露を降らせたとも言われ、洪水を止めるなど雨水を司る龍神様。人里近い低山では山頂に祀られていることも多く、これまでに何度も見たお名前だ。
お社の裏には「八大竜王 風雨和順 五穀成就 諸人快楽」と刻まれていた。「風も雨もふさわしい時期に起こり、五穀が豊穣に実って、みんながハッピーでありますよう八大竜王様にお願い申し上げます」というところだろうか。
今の時代にふさわしいお祈りだなと、僕も山口県に災害が起こりませんようお見守りくださいとお願いしておいた。
松岳山山頂には「松岳山 標高323.7m」の看板がいくつかあったが、三角点については特に意識していなかったために見逃してしまった。家に帰って調べたら松岳山には2等三角点(基準点名も松岳山)が設置されていたようだ。
いや失敗、失敗。
今日のルート
松岳山へは松岳山正法寺さんから入る。お堂の右手の石段を登り、熊野権現社の右を入っていく。広く明るい山道を300m歩けば山頂の八大龍王のお社に着く。山頂は林に囲まれ景色はないが、妙に気持ちの良い場所だ。お弁当を持ってピクニック気分で歩くのも良いかもしれない。
ところで、山を下った後に再び正法寺さんに寄って無事を仏様に報告したのだが、このワンちゃん、今度は全く吠えることも近寄ってくることもなく、軒下で雨を凌いでいた。手を合わせる人には吠えないように躾けられているのかもしれない。賢いね。護法の犬だワン。
S君、Fさん、松岳山のお薦めありがとう。いい山だったよ。
*1 カラーバス効果
特定のものを意識し始めると関連情報が自然と目に留まりやすくなる状態をカラーバス効果という。
「今日のラッキーカラーは赤」と聞いて赤色を意識していると、普段よりも赤色のモノがたくさん身の回りにあるように感じてしまうが、実際には身辺は何も変化しておらず、本人が無意識のうちに情報を取捨選択している状態。
*2 引き寄せの法則
特定の物事を常に意識していると、これが無意識・意識的にかかわらず本人の言動を支配し始め、他人をも動かし、自分が望むような結果になるという眉唾な法則。
会う人ごとに「山口県の山に登ってましてね」と言ってれば「松岳山は登ったことがありますか?」と聞かれてもそれほど不思議じゃないね。
*3 山陽小野田市の厚狭
厚狭は旧山陽町の中心地で山陽新幹線の駅もある。旧山陽町は旧小野田市の山側に位置し、いわゆる平成の大合併で旧小野田市と合併(2005年3月22日)し、山陽小野田市の一部となった。