前記事で秋吉台大正洞コースを歩いて長者ヶ森駐車場までやってきました。長者ヶ森駐車場ではPV撮影かなにかをやっていまして、セキュリティの兄ちゃんに長者ヶ峯へ誘導されて迷子に。そこからコース復帰後に帰り水を歩いたらさらに迷子になりました。
秋吉台の帰り水は危険です。生きて帰れてよかった。
長者ヶ峰で迷子に!?
秋吉台大正洞コースは前記事を参照いただくことにして、長者ヶ森駐車場から見回すと、長者ヶ峰の横の名もなき山が不思議なくらいに整地されてたんですよ。
前は道っぽいのなかったのになあ。気になったので休憩所の横から長者ヶ峰に向かいました。
不思議な整地に向かって歩いてましたら、セキュリティのおじさんが慌てて飛んできましてね。
駐車場内の撮影部隊を見たときにはカメラを回してる風ではなかったのですが
立石「あれ?入ったらまずかった?」
セキ「いや、ダメとは言えないんですが…」
立石「ああそっか。これからドローン撮影?」
セキ「いや、それも言えないんです…」
ダメと言われれば戻るつもりなのですが、どうにも歯切れが悪い。
あーそっか。もしかして僕、パパラッチか何かと思われてる? アイドルを撮られたくないとか、そういうことね。
そっかそっか。
立石「ただの山歩きだよ。あの山見たら大正洞に降りるからさ。」
僕も「ドローン撮影の邪魔です」なんて言われたら遠慮するのですが、そうでないなら国定公園内のどこを歩こうと文句言われる筋合いはありません。
セキュリティさん達はトランシーバーで連絡を取ってまして、長者ヶ峰の中腹に着くと僕の監視は別のセキュリティさんに引き継がれました。
今度のセキュリティは若いお兄ちゃん。きっと駐車場が見えなくなるまで僕に付き添うよう指示を受けたのでしょう。黙って後ろをついてきます。
二人黙って歩くのもつらいので二言三言話しかけてみると、あんがい話好きな兄ちゃんで、撮影の内容は明かさないものの受け答えの感じは悪くありません。
言葉がやや片言に聞こえたので
立石「山口の警備会社かい?」
と聞くと、いや、こういう特殊な警備は専門の会社が請け負うのだと。何が特殊かは言えないけど、自分らは神奈川から来てて12月9日から14日まで山口に居る予定。自分はブラジル生まれの日系三世で、祖父は鳥取生まれなので中国地方には特別な思い入れがあるのだ。山口にはプライベートでまた来たいと思っている。
なんて話をしてくれました。
うむ。日系人にとって生い立ちや故郷というのはかなり大事なんだろう。そういうプライベートな話から人間関係を作ってくるあたりにラテンの血を感じさせる。
ラテンの兄ちゃんは「こちらに進めば大正洞に出られます」と僕が撮影エリア外に出て行くよう、曲がり角までエスコートしてくれました。
うん。ありがとう。でもその道は間違ってるんだ。まあいいや。君は君の仕事を完遂した。お疲れさん。アディオスアミーゴ。
あ、そうそう。長者ヶ峰の横の名もなき山は、スキー場かはたまたラリーのSSができそうなくらいに整地されていましたが、結局、何のためなのかは分からずじまいでした。
さーてこの間違った道からどうやって元のコースに戻るかねえ。
エスコートされた道はあきらかに間違っているので、なんとか先ほどの山の反対側に出てコースに復帰しなきゃいけません。
駐車場に戻るとアミーゴに迷惑かけちゃうしなあと途方に暮れていると、山の裏側に登れそうな道を見つけました。
あれを行ってみましょう。
道かと思ったのですが、どうも来春の山焼き用に森の間際を刈り取っただけの感じです。
方向的にはまあまあ合ってるし、行くしかないな。
道があるようなないような感じになってきたので一度山に登ってみましたが、写真のように行き止まりでした。
まあ方向が合ってりゃその内にたどり着くだろうと、もう一度、森の間際まで戻りまして、方向感覚だけを頼りに歩いていましたら野道に復帰できました。
あまり踏まれていませんが明らかに人道です。轍も見えます。これなら大丈夫。
往路の最後に分かれ道がありましたから、そこに合流する道でしょう。たぶん。
ほらね。これを右に折れれば往路に復帰です。
記事の最後に出てくる地図で言いますと、この分岐は長者ヶ森駐車場近くの山をぐるっと一周したところ。
迷ったと言うほど迷っていませんし、アミーゴも面白かったからまいっか。
帰り水で本当に迷子に
往路と同じ道を歩いても面白くないので復路は帰り水を通ってみることにしました。
あらかじめお伝えしておきますが、帰り水は大正洞コースには含まれていません。
僕が通ったルートも危険極まりないので、お勧めしません。
そこのところを十分ご理解の上、お読みください。
帰り水へ
先ほどの分岐を下って行けば、秋吉台大正洞コース途中の最も低いところに往路でも見た帰り水の分岐があります。
帰り水へは左。ここから更に下って行きます。
看板の説明を要約しますと「谷状の地形の奥に深いドリーネがある。湧水があってそれがまた地中に吸い込まれることから帰り水と呼ばれている。」とのこと。
看板の文字がところどころヘンテコになっててGANTSみたいですね。これだけで不思議な世界に引きずり込まれそうです。
ところで、この帰り水に行く手前に転がっている石灰岩には花崗岩が入っていたり石英脈が見えたりします。
これは丘の上に顔を出した石灰岩には見られないパターンで、この谷あい辺りはマグマに近いところにあった石灰岩が地表に出てるのかもしれません。面白いなあ。
この看板沿いに進んだ後、帰り水に降りて行く道と谷沿いを回り込む道の分岐があります。帰り水を見に行くなら直進です。僕は谷沿いを回り込みました。
谷の下が帰り水です。ちなみに、この夏の大雨の時にはここに一時湖ができたみたいですよ。
今は水は溜まっていませんでしたが木々が茂っているので、水が豊富なのであろうことが分かります。
帰り水の観光ルートですが、写真左下の道を降りて、真ん中の道を上がってきて、谷沿いを回り込んで帰ってくるのが正解です。
繰り返します。帰り水だけ見て戻るのが正解です。
僕ね、帰り水って秋吉台大正洞コースに入ってるもんだとばかり思ってたんですよ。だって往路の途中で何度も帰り水に降りる道標があるんですもん。
なので帰り水から歩けばどこかに道はつながるはずって思うじゃないですか。
これが間違えの元。
帰り水から迷走
いよいよ迷走の始まりです。帰り水から登ってきた道と谷を回り込んだ道との合流点がここ。
この合流点から右に上がっていけそうな小道があります。直進もできそうに見えます。
なにせ帰り水と秋吉台大正洞コースはつながっていると思い込んでるわけですから、この時点では地図も見ませんし何も疑っていませんでした。
とりあえず方向的に真名ヶ岳にあたる右の道を上がってみるかー。
合流点から上がってすぐのところに打ち捨てられたポンプか何かが転がってました。
その先の道はあるようなないような。ぱっと見で登りが長そうなのと腰丈の茅とササがこの先に進むのを躊躇させます。
雰囲気がやだ。戻ろう。いったん合流点まで戻って今度は直進を選択しました。
踏み跡があるように見えるので、そのうちにちゃんとした道に出るでしょ。なーんて進んでたら
ササは胸丈、ススキは僕の頭よりも高いところにあります。でもなんとなく道はある風に見えるでしょ。なので藪漕ぎして進み続けました。
地獄台の山頂なんかもそうですが、ササの藪こぎはどこをどう歩いても道があるように見えるんですよ。それで迷っちゃう。
たまに道が開けたなーと思ったらドリーネのそばだったりして。
万が一足を滑らせて、ドリーネの底が抜けたら数十万年後に化石として発掘されちゃうよ。
ナウマンゾウの横に僕の化石。秋吉台の大秘宝展とかに展示されちゃうの。
こりゃさすがにやばいね。高いところを目指しましょう。
足元に注意しながら藪を漕いで、森の見える山の方にやってきました。
まあ高いところから見れば歩ける道も見つかるってもんです。
いやーそれにしても帰り水から藪漕ぎでまあ歩いたもんで、だいぶ向こうにしか道は見えません。
気持ち的にはまだ若干の余裕はあるのですが、戻るにしてももう一度の藪漕ぎはリスクです。
時刻は15時15分。
谷あいで陽がかげり始めてますし、これ以上のロストは本当にやばい。
右の山手にカルストロードが走っています。
一番近い人道のカルストロードに昇ることにしました。
足元に注意しつつ横移動。茅をつかみながら30mほど崖を登ってカルストロードに復帰しました。
横移動中は岩も多くてね。ドリーネに落ちないでよかった。
今日のコース
Sから赤丸までが大正洞コース。 大正洞コース は景色が最高で、めちゃめちゃ気持ちの良い道です。赤丸近くの周回が本記事前半の長者ヶ峯の迷子で、左上の分岐が帰り水の迷子になります。ちなみに白い道(242)が復帰したカルストロード。
秋吉台の藪こぎはドリーネがやばい。足元注意です。石灰岩はギザギザなので手元も注意。加えて、7月31日に秋吉台で熊の目撃情報があったそうで、もし事前にそれを知ってたら絶対に藪こぎはしなかったでしょうね。
帰り水、顧みず、省みず。いや、今回は向こう見ずでした。生きて帰るって大事だな。
秋吉台大正洞コースの記事