新型コロナのオミクロン株が猛威をふるい、山口県では1月7日から岩国市・和木町にまん延防止等重点措置が適用されてしまいました。遠出も怖いなーということで近場の美祢市の雁飛山を攻めることに。
行ってみたらこれが思いのほか良い山で、歩く距離は短いんだけども鉱物も獣感もありワクワクが止まりません。
雁飛山(上田代ルート)の行き方
雁飛山へは上田代ルートと西畑ルートの2つがありますが、YAMAPで他の方の軌跡を拝見して、多少土地勘のある上田代ルートから入ることにしました。
雁飛山上田代ルート登山口への行き方は極めて簡単です。まずは道の駅おふくへ。
道の駅で体調を整えたらJR美祢線を越えて、新美祢カントリークラブへと向かいます。
新美祢カントリークラブは潰れちゃってて、今は一面太陽光パネルで覆われてます。親父が元気な頃にラウンドしたのを思い出すなあ。
で、ここまでが土地勘のあるところ。ここからしばらく走ると道沿いに雁飛山登山口の看板がありました。
雁飛山登山
美祢市雁飛山会
車の通行はここまでです。
これより奥には駐車場、車の回転場はありません。
頂上まで約3㎞です。気を付けて登って下さい。
なるほど。雁飛山の登山口は車を停めるところがないんですね。しかたがないのでUターンして、400mくらい手前の待避所に車を置きました。
雁飛山登山口から400mくらい戻った坂の途中にある待避所です。
このスペースなら少なくとも個人所有の場所ではないでしょうし、交通の邪魔にもならないでしょう。
とは言え、道の脇なのであくまで自己責任の駐車になります。
一応ダッシュボードには、日付と目的、連絡先を書いたボードを置いておきました。
雁飛山(がんびさん)登山
雁飛山という字面から「かりとびやま」と読みたくなりますが「がんびさん」です。インターネットで検索すると「がんぴさん」とか「がんぴざん」とルビを振ってらっしゃる方もいらっしゃいますが、国土地理院には「がんびさん」で登録されているようなので、ここでは「がんびさん」を正としておきますね。
登山口から見る雁飛山。角度的には右の山です。
上田代ルートの登山口から舗装路を入っていくと、すぐにこのルート唯一と言っていい分かれ道に当たります。
写真には写っていませんがため池の堤体へと進む直進の道、その左が写真のようなY字路です。
山道っぽく見える写真左側の道に心惹かれますが、ここは右手にチラッと見えるピンクリボンを信じることにしました。
半信半疑ながら右へ進みますと、徐々にため池へと近づいていくようになります。それにしても綺麗な堤体だなあ。これは手入れが行き届いてるわ。
山側にイノシシの掘り返し跡が見えましたが、ため池横までは車でも入ってこれそうな道でした。
こりゃため池管理用の道だったか?でも行けるところまで行ってみるか。と進んでいると
雁飛山登山道の道標を発見しました。カンが当たってた。良かった。
ここから枯れ沢を右下に見つつ山道へと入っていくようになります。
枯れ沢の中に石の祠を見つけました。水神様かな?水は大事だもんね。遠巻きに手を合わせて入山をお伝えしておきました。
ところで、この辺りのガレがなかなか鉱物っぽくて興味深いんです。石については興味ない人も多いでしょうから後でまとめますね。
水神様から少し上がったところに砂防ダムがありました。黄色い看板には「昭和41年度治山事業」とあったように記憶していますが、ほんまかいな。
僕とあまり年齢が変わらないのに綺麗な形のままですねえ。新しいものにも見えるくらいです。
砂防ダムを越えるといよいよ林の中に入り、枯れ沢の横の細い道をゆるゆると登るようになります。
あちこちにイノシシの掘り返しがあり獣感バリバリの山です。ここらは道の全面が掘り返されていました。
やつら、岩の裏や木の向こうに隠れてるかもしれませんから、杉の枝を拾って歩く先を払いながら進みました。
この写真の道の先に鹿が居ました。目が合って互いに動けず。ゆっくりと動き始めた鹿はすぐに速度を上げ、テンテンテーンと左の山を駆け上がって行きました。
四つ脚って凄いなあ。あんな山を簡単に登っちゃうんだもんね。
緩い坂はここで終了。この看板から右に進むとやや傾斜が上がります。
四つ脚のパワーに感銘を受けた僕は、太めの打ち枝を手ごろな長さに折って簡易のストックを作りました。
足でバランスを取りながらパワーもかけて登るってのはつらいのです。手も使った方が当然楽です。
そこそこの傾斜を登ると一旦開けた場所に出てきました。
この坂が意外に楽だったのはもちろん簡易ストックのおかげ。
広場から稜線に登るまでが一そうの急傾斜で、ここにはロープが用意されています。ただ、距離は短いのでストックがあれば登れます。
どちらかというとこのロープは下り用ですね。下りは足元のガレが崩れて滑りますのでロープに頼った方が楽です。
ところで、この坂を登っている最中、右後方から「ピギーッ!」という呻き声が聞こえてきました。イノシシです。
反射的に振り返りましたが、突っ込んでくるやつは見えません。
数歩上がって大きな木の裏に回り込み、ジッと我慢。
青色のものは着てないので木に隠れてりゃやり過ごせる*1と思うのですが、この時間が一番ヒリヒリします。
もう大丈夫かなと動き始め、慌てて稜線まで駆け上がりました。
セーフです。いつもだいたいギリギリセーフ(笑)
*1 青色のものは着てないので木に隠れてりゃやり過ごせる
イノシシの色覚能力については、同じ偶蹄類のウシ(植竹ら,1991)やヒツジ(Tanaka et al.1989a,1989b)などのヒトに近い色覚能力を有する動物とは異なり,青系(青・青紫と紫の一部)について明確に識別できるが,色が赤や黄緑に移行するにつれて無彩色との識別が難しいことがわかっている(Eguchi etal. 1997)。
イノシシは赤緑色盲で青色以外は認識できないってことですね。今日は緑のズボンにオレンジのヤッケを着ているので木の裏に隠れてじっとしていれば見逃してくれるんじゃないかなという期待からの行動です。仮にイノシシが突っ込んできたとしても、木が直撃から守ってくれる効果もあります。
逆に青色が見えるからこそイノシシは青色に対して忌避行動を起こすのではないかという説(獣害対策製品に多い)もありますが、色を使った豚の餌付け実験では青色に顕著に寄っていったという話もありまして、要は証明されているのはイノシシは青色を識別できるというところまでです。
山でイノシシに立ち向かっても勝てるわけがないので、無駄に興奮させるよりもやり過ごすほうが生存確率が高いんじゃないかなあなんて思ってて、山を歩くときはあまり青を取り入れないようにもしています。
先ほどの坂を登り切ったところがこの稜線。登って左手の風景が上の写真で、右手の風景が下の写真です。
雁飛山は右に登って行くのですが、あまりにも美しい稜線なのでしばらく左方向もうろついてみました。
先にピンクのリボンが見えたのできっと隣の山へとつながる道があるのでしょう。
(後で調べてみたのですが左の山には四等三角点があるみたいです)
ここからもなかなかの急登ですが、ストックがあれば大丈夫。
坂を駆け上がるときに前のストックは捨ててしまったので、新たに太いやつを手に入れました。
捨てたり拾ったりできるのが簡易ストックの良いところですね。
山頂手前で、西畑ルートへの道標を見つけました。
歩いている最中は先ほどの稜線が西畑につながるのかなと考えていたのですが、西畑ルートは思いのほか山頂付近での合流のようです。
西畑ルートとつながればすぐに山頂です。
こんな山奥に、なんでこんな綺麗な道があるんだろうなあ。素晴らしいなあ。
雁飛山(がんびさん)山頂
こちらの写真は山頂の開け具合を示すために後から撮ったもので、登って来た道とは逆側から撮影しています。
元旦登山のためでしょうか、山頂は綺麗に草が刈られ特に日の出方向は木も切られて景色が開けていました。
この日はガスってて遠くの山を同定することはできませんでしたが、一部開けた雁飛山の裏の景色から方角を想像しました。
右に湖のように見えるのは新美祢カントリー倶楽部跡に設置された太陽光パネルです。
視線を左に持っていくとわずかに豊田湖が見えましたので雁飛山の裏側は北西方向ということになります。
となると表は南東方向になるので、美祢の市街地方向を見ていることになります。
ゴルフ場の様に見える山の向こうの平らなところは石灰岩の採掘場ですね。
雁飛山から近くて分かりやすい山と言えば三角ハゲの花尾山や赤白鉄塔の如意岳ですが、角度的には左側の林にさえぎられて見えないようです。残念。
雁飛山の二等三角点、基準点名は「於福村」です。このあたりの地名、於福(おふく)を代表する山ということですね。
ちなみに冠字選点番号は仁33で、前回の日ノ岳に続き「仁」さん、頑張ってますね。
もうおっちゃんなので、下りは滑ってこけないようにゆっくりと降りました。
上田代ルートをちょっと引き気味で載せておきますね。駅のマークはJR美祢線の於福駅です。
雁飛山の鉱物
先にちょろっと書きましたが、雁飛山の登り口付近には面白い石がたくさん転がっています。
表面が黄土色の岩が崩れて転がっています。もろくて割れやすい岩のようですが、その割れ目は青みがかった白色をしていました。なんかこの青ってのが鉱物っぽいじゃないですか。
割れ目の表面はざらついてキラキラしてるようにも見えたんですけど、これはどういう種類のものなんでしょう。
実は雁飛山の近くには大和鉱山跡があります。銅の他、様々な鉱物を産出していたようなので、雁飛山にも妙な鉱物が転がっててもおかしくない気がします。
というか美祢市は県内であまり見かけない石が見られるので興味が尽きません。
もう少し先に進みますとガレの中に真っ白な岩が転がっていました。これは中途半端な大理石かなにかでしょうか。
いや石の種類よりも不思議なのはですね、この岩、白すぎるんですよ。周りの岩と比べると苔むしてないでしょう?
これはなんでなんだ。コケが嫌がるような成分でも含んでるのかな。不思議だ。
うーん、帰りに美祢市化石館に鉱物標本を見に行こう。
帰りに美祢市化石館に寄りました!