鳳翩山、難しい漢字ですが、ほうべんざんと読みます。
鳳翩山には西と東がありまして、山口市内から山を眺めた時に誰しもが「あれが鳳翩山だよ」と指させる山、それが西鳳翩山です。
なぜ皆が指を指せるのかと言いますと、以下の理由が挙げられます。
- 比較的高い山で市内からよく見える
- 山頂に乱立した電波塔が特徴的で分かりやすい
- 美祢に行く時「鳳翩山経由でいく?」と口にする
実際、山口市に住む成人で「鳳翩山」という言葉を発したことがない人はまず居ないはずです。
それだけメジャーな西鳳翩山ですが、なぜか登山道は人気がないんです。
いったい、なぜなんでしょう。
その秘密を探るべく、自ら西鳳翩山にハイキングに行ってきました。
山口市内から西鳳翩山登山口(吉敷畑)まで
そもそも人気がないために西鳳翩山単体の登山口の情報が少ないんです。
なので、ここでまとめておきますね。
国道435号を登る
んもう、せっかく説明しようと思ったのにガスってるよ orz…
普段だと西鳳翩山の頂上に乱立する電波塔が鮮やかに見えるんです。
これ既に、暗雲立ち込めるってやつですかね。
うーむ。
国道435を旧道に曲がる
吉敷の交差点から国道435号を登ってきました。
国道435号というと市内の人にはむしろ分かりにくいかな。
「鳳翩山を越えて美祢に行く道」です。そのまんまですねw
登坂車線が終わって合流するあたりが吉敷畑バス停で、その先に写真のようなパイプラインが道をまたいでいます。橋の手前のとこです。
このパイプラインをくぐったらすぐ右に曲がってください。
閑話休題:国道435号線について
すみません、西鳳翩山登山口に行く前に国道435号線にかかわる話を少しさせて下さい。おじさんの与太話です。
パイプラインをくぐって右に曲がるってのは、つまり435号線の旧道に入るわけでして。
今はトンネルもできて美祢まで綺麗な道が通っていますが、僕が学生の頃はこの旧道しかなくてですねえ。秋吉台にドライブに行くなんてぇ時に、フルサイズのバスが反対からやって来ると行き違いが大変だったんです。
国道435号は、山口県山口市(吉敷西交差点=国道9号)から美祢市を経由し、下関市(特牛交差点=国道191号)に至る一般国道である。
国道435号-Wikipedia
1991年(平成3年)- 鳳翩山トンネルの開通により国道435号は鳳翩山トンネル経由のルートに切り替えられ、旧道は山口県道309号佐々並町絵美東線と山口市道・美東町道(現:美祢市道)となった。
平成5年7月に秋吉台で開催された第35回自然公園大会にご成婚直後の皇太子殿下と皇太子妃殿下にご臨席をいただき、また平成6年11月には山口県長門市の仙崎漁港で開催された第14回全国豊かな海づくり大会に天皇皇后両陛下にご臨席をいただいています。
いずれの大会も山口市から日本海方向に向かうもので、国道435号線が急ピッチで整備された背景にはこうした行幸があったのだと、おじさん的には記憶をしています。
陛下が通るところに道ができる。まさに現人神ですね。
※ ちなみに平成23年に開催された第66回国民体育大会(おいでませ!山口国体)では、宇部空港から国体のメイン会場である維新公園までノンストップで行ける道が整備されました。県内のどこに行くにも便利になっており陛下にはまことに感謝しかありません。
その時の様子はこちら。
http://roadbeginner.blog6.fc2.com/blog-entry-237.html
さておじさんの昔話を終えて、話を元に戻しましょうね。
西鳳翩山登山口へ
旧道に入ると50mも進まないうちに西鳳翩山登山口の看板が見えるので、これを曲がります。
西鳳翩山登山口の看板からはほぼ一本道。分かれ道を気にせずメインを進んでください。
西鳳翩山登山口
どん詰まりが西鳳翩山吉敷畑登山口になっています。
詰めれば車が4台程度停められるスペースがあります。
「クマ注意!!」の看板横のゲートを開いて登山道に入っていきます。
鍵はクルッと回せるフリップラッチです。
中に入ったらゲートも鍵も閉めておきましょう。
さー、これでクマ対僕の金網デスマッチの開始です。
西鳳翩山登山道
吉敷畑登山口から油の峠まで
ゲートをくぐると彼岸花がお出迎えしてくれました。
広場の奥から入山していきますが、この時点から既に人のあまり入らない鬱蒼とした感じがありました。
駐車場に車を停めた時から水の音が聞こえていましたが、割と大きな川が登山道沿いを流れています。
石積みで護岸がされており、苔むした岩に年代を感じさせます。
地理的には吉敷川の源流の一つかもしれませんね。
この登山道、今日の一番乗りは僕だったようで、気をつけておかないとでっかい蜘蛛の巣がそのまま顔にかかります。
すぐに小枝を拾って体の正面でくるくる回しながら進むことにしました。
左50m先に小菜の瀧があるようです。
50mとはすぐ先ですね。行ってみましょう。
小菜の瀧へ向かって20~30m進んだあたりの写真です。木々が倒れ行く手を阻んでいました。
左手前方に瀧は見えるので、木を乗り越え進んでみたのですが、滝つぼまで行けるような道が分かりません。
うーん、ギブアップ。
ギブアップして戻る途中に撮った小菜の瀧の遠景です。
対岸にもう少し良い道が見えたので、最初の石積みのところで渡って、左から回っていけば滝の下に出られるのかもしれません。
そこまでして滝を見たいわけでもないので、先ほどの分岐に戻って西鳳翩山登山道を行くことにしました。
岩がゴロゴロした坂を上ると、またまた鬱蒼と草の繁る林に出ました。
道は踏まれてるんですが、左右の草が自分の肩くらいまであって、今にも獣と遭遇しそうな嫌な感じがあります。
実際、この先で鹿とは違う獣の比較的新しい糞を見かけましたし。やや恐怖を感じる山です。
で、この登山道のこのあたりに電柱が立ってるんです。ぽつーん、ぽつーんって。
道に趣がないっていうか。鬱蒼とした森に住む獣に怯えてる自分がバカみたいっていうか、なんだかちぐはぐなもの感じました。
鬱蒼ゾーンを抜けると杉林ゾーンです。
先ほどの小菜の瀧とは別系統の沢がありまして、この先はしばらく沢登りとなります。
右下に沢があるのですが、あたり一帯が谷状になっているので、大雨の際に上から石が転がり落ちてくるのでしょう。
登りは大丈夫でしたが、下りは気を付けないと浮き石に足を取られます。
当然ですが上に行くほど沢が小さくなっていきます。
途中何度も沢を渡り右に左に行くようになります。
苔は思ったほど滑らず楽しいゾーンでしたが、週中に雨が降ったら登るのはやめたほうが良いかもしれません。
どのくらい水量が増えるのか想像がつきませんし。
ここは記憶にある限り山中で唯一開けていて心が休まる場所でした。
小さな沢を登りきったところで、そろそろ巻き道に入るのかなと思わせる絵面です。
甘かった。前の写真のカーブを曲がったところから別の沢に入っていっただけでした。
意味ありげな石積み、沢の向こうの洞窟、沢の周りの広場。
ここらあたりは昔々、人が住んでいたのでしょう。
ところどころ人工的なものがありました。
再び杉林を越え、いくつか小さな沢を越えて、このあたりから水と別れ山に登るようになります。
油の峠
と思ったのもつかの間、木々の間を抜けると舗装路にぶつかりました。
最初に東鳳翩山縦走路と書かれた道標を見つけ、その反対に回ると西鳳翩山頂上と記してありました。
この舗装路を行けということやね。
登山口からここまで約1時間、休憩なしで上がってきたので道路際に座り込んでコーヒーとタバコを一服しました。
いや藪と沢のコンボはやばいです。そこらへんから獣がひょっこり出てきてもおかしくないと思いましたもの。
無事でよかったとほっと一息。
油の峠から西鳳翩山山頂まで
油の峠から舗装路を歩くこと20分、NTT方便無線中継所を越えたあたりの写真です。
舗装路だから当然道は良いのですが、安全すぎるのもつまらんなあと思っていたら
カーブを曲がったところで右上に電波塔を発見。
お!格好いい!
頂上か。
西鳳翩山山頂
なんかすごい数の電波塔があります。
更にカーブを曲がるとおじさんが無線をやってました。
今日出会ったのは道端で休憩中の僕を追い越していったバイクのおじさんと、この無線おじさんだけ。
「ここからだと大阪くらいまで飛ぶよ」ですって。
車の上に取り付けたアンテナがクルーっと回ってました。趣味の人ですね。
もう少し上がありそうなので坂道を上がってみると、どうもあの建物のあたりが一番標高が高そうです。
柵沿いを回って建屋の向こうに行くと三角点がありました。
結構見通し良いと思うのですが三等でした。
西鳳翩山山頂の電波塔は山口市内からばっちり見えるわけですから、こちらからも山口市内が一望できるはず。
はずですが、思いっきりガスです。
まあ、登る前から分かってましたけどね。
西鳳翩山の登山道が人気のない理由
さあ、お待たせしました。西鳳翩山の登山道がなぜ人気がないのか、その理由をまとめてみます。
1.道がよくない
道が荒れてるから人気がないのか人気がないから道が荒れるのか。卵が先か鶏が先かみたいな話ですが、とにかく人が歩いてないので道がよろしくありません。
小菜の瀧はたどり着けませんでしたし、蜘蛛の巣にはかなり難儀しましたし、藪は獣に遭遇するんじゃないかと恐怖しました。
沢やガレは山の特徴ですから問題ない(それでも嫌いな人は嫌いだと思いますが)として、登山道としてはあまり整備されてないと感じました。
下りは迂回路を使いたいなあと思っても、大遠回りの舗装路しかないというのも不人気の理由の一つかもしれません。
2.風情がない
鬱蒼ゾーンに電柱があってこれちょっと違うなあと思ったのですが、最後の登りが舗装路というのもいただけません。
山道を1時間頑張り、あがりの30分が舗装路では山頂へ向けてのワクワク感がスポイルされてしまいます。
あと山頂まで車で行けるのであれば、西鳳翩山単独をわざわざ登る酔狂な人間が少ないのは、まあ当然と言えば当然の話ですね。
3.東鳳翩山の人気に負けている
東鳳翩山は新日本百名山にも選ばれハイキング・トレッキング愛好家にも人気のスポットです。道も大変よいのです。
東鳳翩山から西鳳翩山への縦走路もあるため、東から登ってついでに縦走で西を見ておこうという方は多いでしょう。
僕も東鳳翩山は良い思いでばかりだったりします。
してみると、わざわざ西を単独で上がらないよというのはこれが一番大きな理由なのかもしれませんね。
それでも僕は西鳳翩山を応援してます
山口市民が誰しも知ってる、みんな大好き鳳翩山
がんばれ、がんばれ、西鳳翩山
西を単独でって酔狂な奴はたまにいるよ。
僕みたいにね。
西鳳翩山は通勤途中に見えましてね。
毎朝、あの山上ったぜーと一人でニヤニヤするのがたまりません。