山口県北部の絶景「塔の岩」に行ってきました。
いったい誰なんすか「塔の岩はゆるゆる楽勝のハイキングコース」なんて噂を流したのは!
でもまあ、塔の岩からの景色は噂にたがわぬ絶景だったしまいっか。
塔の岩の登山口への行き方
塔の岩は萩の阿武川ダムの上流にあります。佐々並川にかかる赤い橋(大藤大橋)を渡り、坂を登って最初のトンネルを抜けたところが登山口になります。携帯がつながらないので地図を落としていったほうが良いですよ。
山口市から向かうなら国道262号線を萩へ。ナビは最短の県道10号線を指すと思いますが、県道10号は普通車の行き違いも厳しい酷道なので絶対に乗っかっちゃダメです。
県道10号は草が押し寄せたり落石の跡があったり木の枝が垂れ下がってたり「ホントに県道かよ」と黄色のガードレールを恨めしく思うような道です。
ええ、乗っかっちゃいましたw
昔、阿武川温泉に行くのにいい道を通った覚えがありましてね。あれは市道と360号だったのかなあ。今回もそのつもりでわき道に入ったもんで失敗しちゃいました。
みなさんは、例え大遠回りであっても262号線を萩まで進んでから阿武川を登っていくのが良いと思います。
最初に書きましたが、塔の岩の登山口は佐々並川にかかる赤い橋(大藤大橋)を渡り、坂を登って最初のトンネルを抜けたところにあります。トンネルを抜けた左が親水公園の入口になっているのですが、この親水公園は今、クローズドのようなので道の横の広場に車を停めちゃっていいと思います。
※このトンネル、令和5年11月6日まで補修工事が入ってまして平日の8:30~17:00は通れません。週休二日で作業されてるとのことなので塔の岩に行くなら土日にしましょう。
さて駐車はこれでOKですが登山口は?結論から言うとトンネル横の林道、車を停めた向かいの山に向かっていく道が登山道になります。
トンネル出口付近は携帯の電波が通じません。幸い僕はYAMAPで検索した履歴が残っていましたので地図を見てジャイロ機能で進むことができましたが、皆さんにはオフライン地図を事前にダウンロードしておくことをお勧めします。
塔の岩へ
事前の調べで「塔の岩はゆるゆる楽勝のハイキングコース」と聞いていたので、上は半そで飲み物はペットボトル1本程度で入ったのですがこれがなかなか。ほぼ日陰の道なので水分は問題ありませんでしたが…
ひたすら林道
最初は事前の調べ通り緩い感じでスタートします。
黄色のガードレールを見て「県道なのかなー」なんて気楽に林道を上がっていきました。ガードレールの左下に沢がありまして結構な水量を保って滝みたいなところもあります。
コンクリの割れ目からセイタカアワダチソウが伸びてるところもありましたが、取りつきはまだこんな感じで。こんな山奥まで整備されて昔は林業が栄えてたんだろうなあと思わせます。
ある程度歩くとコンクリが終了して野道に変わりました。この先で山に入っていくんでしょと思わせますが、塔の岩はここからが長いんです。コンクリが砕けてガレになった道、再びコンクリ道、またガレになった道が延々。古い林道あるあるですね。
再びコンクリ道に出たあたりで橋が架かっていました。これを見れば林道がまだ奥まで続いているのは明らかなんですが「果たしてこの道が塔の岩に続くのか」の疑問が再燃しまして、携帯を取り出して地図を確認してみました。
ここは電波が通じました。よかった。ちゃんとルートに乗っかってる。
じゃあ大丈夫だなと進むと今度はやぶ。こぐほどの藪ではありませんが、なにせ「楽勝」と聞いていましたから半袖です。野草が肌にからみ、引っかき、そこに蜘蛛の巣が追い打ちをかけるというなかなかの惨状。
いくら「楽勝」でも夏山は長袖必須ですよね。分かってます。僕が悪いんです。なんかこう本当に整備されたハイキングコースってのを想像しちゃったんです。
塔の岩を目指すときには大きな分岐が2つありますがここはそのうちの一つ。やぶを抜けた後に広場が現れまして、ここでコンクリ道が直進と右に分かれています。
直進のコンクリ道はすぐに朽ちて藪に入っていくようになるので間違える方はいらっしゃらないと思いますが、ここは右に進むのが正解です。
感覚的にも佐々並川は右ですから道もだんだん右にずれて行かなきゃいけないはず。現地ではそんな感覚で右の道をチョイスしました。
その右の道がこちらで、軽トラならギリ通れるかなってくらいの綺麗なコンクリ道が再び現れるんです。昔の林業って本当にすごいっすよね。こんな山奥まで道を通しちゃうんだもん。
さて、このあたりでやっと沢を離れて山に入っていきます。
実は沢沿いのコンクリ道を歩いている間、ずーっとメマトイに悩まされていまして。あ、メマトイというのは小さな羽虫です。山を歩いていると目とか耳の周りにブンブン寄ってくる虫がいるでしょ。あれです。秋口の沢沿いを歩いたことのある方なら経験があると思いますがあいつら本当にうっとおしいですよね。
山に入ってからずっとのそのメマトイに悩まされていたので、サングラスで目をカバー、黄色の手ぬぐいを頭にかぶり帽子で押さえて耳をカバーというどうせ誰も見てないから日本兵スタイルをとっていたのですが、やっと、沢から離れるここで、やっと、このスタイルから解放されるはず…
と思っていたのですが
どこまで行っても湿地というか日陰というか、やつらずーっと目と耳にまとわりついてくるんです。これには参りました。
そういえば夏の終わりって一番メマトイが元気な時期ですよねえ。日本兵スタイルを続けるしかありません。
そうこうする内にやっと山道っぽいところに出てきました。いわゆるハイキングコースってこういう道だと思うんですよね。めっちゃコース整備されたなんとか名山みたいなやつ。
ちなみにこの林道は昭和60年に川上村の○○整備事業の一環として植林がなされ作業路が整備されたようです。そんな看板があったんですけど「○○」のところは見えませんでした。さーせん。
塔の岩ハイキングコース
塔の岩を目指すときに2つ大きな分岐があると書きましたが、ここがその2つ目。
軽自動車が通れそうなコンクリ道がまだ上に続いていますが、道の傍らに「塔の岩ハイキングコース←」と書かれた道標がぶら下がっています。
この矢印が微妙でコンクリ道の方向とも合ってるもんですからいまいち分かりずらい。
木と木の間にピンテがかかってますし多分こっちに行くに違いないと思いますが、沢に降りた先の道がいまいち見えなくて不安です。
コンクリ道を少し登ってみると、沢の向こうに道が続いてそうなのが見えましたので「ヨシ!」と覚悟を決めて道標に従って沢側に降りることにしました。
これで正解です。
沢を渡って登りが始まりますと思っていたよりも良い道。こいつはいかにもハイキングコースです。
再び現れた塔の岩ハイキングコースの道標で左に折れいったん小山に登ります。ただ明るいのはここまでで、この先はずっと日陰の山腹めぐりが続くことになります。
山腹巡り
この写真はかなり良いほうですが、山腹めぐりの道が細く道の傾斜に体を持っていかれそうになりますので要注意。このあたり木が張り出して通りにくいところもあります。暗いのでサングラスはいりません。キノコだけはたくさん見ることができます。
そこそこ距離がありますが変化に乏しいので写真はこの一枚だけ。
塔の岩近し
山腹めぐりが終わりに近づくと炭焼窯跡(なんでこんな山奥に?)が現れ、次にキエビネ平。キエビネ平の看板には盗採禁止と書かれていました。それらしき花は咲いていませんでしたがキエビネってラン科の植物らしいです。
ここまでくると塔の岩まではもう少し。
山際が見えてきました。ここまでけっこう歩いてきたのでもう一山越えれば佐々並川が見えてくるはずです。
最後はどのくらい登るのかな?と思っていたのですが、この丘を登ればもう塔の岩なのでした。
塔の岩
塔の岩から見えるのは萩の山々と阿武川ダム上流の佐々並川です。山の向こうには日本海も望めます。
ビデオのほうが雰囲気つかめるかなと思ってX(Twitter)の投稿を載せておきます。
「塔の岩はゆるゆる楽勝のハイキングコース」ではありませんでしたが景色は噂にたがわぬものでした。
メマトイがうざいだの道が細いだの暗いだのとあーだこーだ書きましたが、この絶景を見ちゃうとこれまでのうっぷんなど霧散して自然と笑顔になってしまう僕なのでした。
以上、塔の岩からのレポートでした。
それじゃまた来週。
追記:塔の岩近くのキャンプ場
塔の岩から阿武川を下っていくと阿武川温泉があります。阿武川温泉にはキャンプ場、売店、温泉施設にレストラン、バンガローも完備。ひと風呂浴びてハイキングの疲れを癒して帰るのもよいでしょう。
詳しくは下記の記事で。