角島大橋を歩いて渡って角島に上陸。北東の牧崎と北西の夢崎にも行ってきました。
先に歩いたルートを示しておきますね。
県の離島ホームページを見ると角島は以下のように説明されています。
夢崎と牧崎の両岬が牛の角に似ていることから角島と名付けられたと伝えられ、古くは平城宮址出土の木簡や「万葉集」にもその名が見えます。
山口県/離島・角島
うーむ、上空からの地図を見ることのできる今なら「牛の角みたい」でも良いのですが、平安の昔に誰がこの島の形を把握できたのか。不思議ですねえ。
ちなみに万葉集の歌はこちら。
角島の迫門(せと)の稚海藻(わかめ)は人のむた荒かりしかどわがむたは和海藻(にぎめ)
「角島の瀬戸のわかめは、他人には荒々しくてなびかなかったが、私には優しく素直であった」という歌で角島特産のワカメと若女(わかめ)がかかってます。二枚目の歌ですね。
牧崎へ
さてさて歩いてまいりましょう。角島大橋を渡ってからも峠の頂点までは橋梁が続きます。
瀬崎漁港を左に見ながら谷を越え、峠に到達すると高架がありました。
ずいぶん立派な高架だけどどこに続く道なんだろうと調べてみると、北東の岬牧崎につながる道だとわかりました。
高架に上がれる道がすぐ右にあります。これを行ってみることにしました。
角島はほとんど日陰がなく道路の照り返しもあってまあ暑い。いや熱いです。
牧崎の手前の山だけは日陰があって楽でした。
「山を抜けるとそこは牧場だった」ああ、なんて牧歌的。離島の牧場って良いじゃないですか。草も食べ放題だなーなんて思ったりして。そういえば牧崎の牧は牧場の牧だな。案外、角島の角は島の形からじゃないのかもね。野生の牛が死んだときに残した角の骨とか。見島にも牛がいるし。
牧崎
たどり着いたら「北長門海岸国定公園角島牧崎」の看板。角島も国定公園だったんですね。この看板のそばには駐車場もトイレもあり整備されていました。
岬へはここから入っていきます。
公園だからなのか簡易な灯台代わりなのか、牧崎の岬には街灯がぽつんとありました。夜はいい雰囲気かもしれませんねえ。
海まで行って水に手を付けようと思ったのですが、牧崎の端の端は岩がゴツゴツしていて、ここでこけると無事では済みそうにないのであきらめました。
でもまあここまで歩いてくれば「俺は牧崎に行ったよ!」と公言しても差し支えないでしょう。
牧崎の岬周辺は周遊路になっているので景色を眺めながら国定公園の看板まで戻ってきました。
さて真夏の太陽の下、角島大橋のたもとからここまで5.6㎞。橋を渡る前に買ったペットボトルのコーヒーがあと300ml。本土まで戻ると10㎞コースです。
そういやここまで自販機1台も見なかったなあ。
やばいなー。
夢崎行くか戻るか
小学校のほうに向かえば自販機の一つもあるだろうと最初の高架まで戻ってくると、やったぜ。
高架を渡ってすぐに自販機を発見ですよ!地獄に仏とはこのこと。残りのコーヒーをすべて飲み干して、500円硬貨を自販機に投入!
ちゃりーん
500円が返ってきます。おかしいなあ。
ちゃりーん
これ新500円硬貨が使えんやんけー!!!! もうコーヒー飲みほしたぞー!(考えてみれば千円札を入れればよかったのですがもう思考停止をしていたんだと思います)たまたま出てきたおばちゃんに両替をお願いしました。
立:橋から牧崎まで歩いてきたんよ。
お:そりゃ大変じゃったねー。
立:夢崎まで行こうか迷いよるんやけど。
お:暑いけえねえ。
立:何キロくらいじゃったっけ?
僕の頭には夢崎まで5㎞のイメージがあります。往復で10㎞を足すと今日は20㎞コース。冷たい飲み物が手に入ったので行けるんじゃね?と気が大きくなっていました。
そこに車で登場したおばちゃん2号。
お:あんたー。夢崎まで何キロくらいかいね。
2:4キロくらいじゃろ。
お:歩くんて。
2:倒れたら車で迎えいっちゃげるよw
立:マジっすかwww
片道4㎞と言われると全然行けちゃいそうな気がします。朗らかなおばちゃんたちにおちょくられていっちょう行ったるか!という気になりました。
夢崎へ
「県道行ったほうが近いよー」とのおばちゃんたちの言葉に従い北側の県道を行くことにしました。
この道、とにかく日影がない。
角島灯台に行かれたことのある方ならだれもが通ったことのある県道。わずか4㎞の道なのに遠い。とにかく日陰がない。
ほうほうの体でしおかぜの里角島へ逃げ込みます。ちょっと早いけどお昼を取って涼むことにしよう。
味噌汁がうめー。みそ汁の塩分が体の隅々にいきわたる感じがします。なんならこの辺りで折り返して帰っちゃおうかなーくらいに思っていたのですが、人間お腹が満たされると元気になるもの。
体も冷えたし再出発じゃ。
夢崎
角島灯台に来るの久しぶりだわー。せっかくなんで上まで登ろう。
角島灯台
ここまで歩いてきてさらに灯台の階段100段ってのはきつくて息が切れますが、この階段のなんと趣のある事よ。窓もなんか雰囲気が良くてさー。やっぱり上がってよかったなって思えるんですねー。
灯台の上は風が強くてあっという間に汗が乾いていきます。体が冷えると元気が出てきて、せっかくここまで歩いたんだから灯台だけじゃなくて公園も行っちゃうかーって気になりました。
今日は上げ下げが何度もある日です。ま、それだけ暑かったってことなんですけど。
女の子が2人で自撮りをしてたんで「並びの写真とろっか?」と声をかけちゃいました。ナンパじゃなくて親切心。山とか観光地を歩いてるとよく自撮りしてる方いらっしゃいますけれども、せっかく友達と山口に遊びに来たなら友達との写真を思い出に残していってほしいから。
で、写真を撮った後に「撮りましょうか?」って言ってくれたので「じゃあ君はこっちに」みたいなwww ナンパじゃないよ親切心。なんかノリノリで4枚撮ってくれた中の1枚です。
夢崎波の公園と夢崎明神
さて、それでは灯台の下の夢崎波の公園へ。
夢崎波の公園は何枚か撮ったけどまともなのはこれだけ。まいっか。
公園を抜けて海に近づくと不思議な景色が見られます。グロみたいな石に囲まれた夢崎明神さま。
漁の終わりに1日の感謝として石を積んでいったものがこの形になったそうです。
海に向いた鳥居の景色があまりにも奇麗でそっちを撮りがちですが、ご本尊はこちら。きっと鳥居をくぐって海の側から参拝するのが正式なんだと思います。
夢崎はこのくらいで良いでしょう。
角島大橋まで戻るぞ
もしかして角島灯台で待っていればバスが来たのかもしれませんが、ま、歩いて帰れるだろうってわけで夢崎を後にしました。角島大橋まで歩きます。
帰りは県道を通らずに尾山港から瀬崎漁港へ。島の南側の海沿いの道です。もう峠を登り返す力はないなと思ったから。
これ去年買ったワークマンのストレッチパンツなんですが、ちゃんとまくり上げた時用にボタンとゴムが隠されてんの。知らんかったわ。
ひざ下が出るだけでも涼しく感じます。
海の際なのに風がなくて、このあたりからへばりまくって日陰から日陰へと伝いました。港町だから道が平たんで自販機がいたるところにあるのが救いです。たまに座り込んではシャツの裾を上げてお腹を冷やし、買ったばかりの冷たいポカリを首にあてたりわきに挟んだり。
もう真夏の10㎞越えはやめようと誓う僕なのでした。
いったん終わり。
伝承鬼の岩
海沿いを歩いているときに角島の伝承を見つけたので最後に書き加えておきます。
昔々、島戸の高坪山(本土側です)には悪さばかりする鬼たちが住んでいました。
村人は困り果て住吉の神様に相談したところ、神様は鬼と賭けをすることにしました。
「一晩のうちに角島と島戸を陸続きにできたらお前たちになんでも望みのものをやろう。その代わりできなかったらここから出ていくんじゃぞ。」
これはたやすいことと鬼たちは頑張りあやうく角島は陸続きになりそうになったのですが、慌てた神様は夜明けの一番鶏の鳴きまねをして鬼をだまし負かしたということです。
この時に鬼が投げた大岩が鳩島だそうで、写真の「鬼の岩」は勢いあまって角島まで投げてしまった小岩だというお話し。鬼のパワーすごすぎやろ。
ちなみに角島大橋は2000年11月に開通。鬼でもできなかった陸続きと思えば人間の力も侮れませんな。
というわけで角島大橋に続きます。