山口市下小鯖の柊地区にある壁石にハイキングに行ってきました。石の規模感はなかなかのものですし、山口市街への景色もありました。柊の壁石はもっと評価されても良いと思うんだよなー。
壁石がある山口市下小鯖柊は中国自動車道の山口ICがあるところ。市内からとても近いんです。
そして今回ご紹介するハイキングコースは片道700m、獲得標高150mという緩々コース。
そんな緩いコースなのにゴールの壁石がとても居心地のいいところで、心まで晴れ晴れとするんです。
壁石には役小角(えんのおづぬ)と思わしき像が彫られています。役小角というのは大むかしの呪術者で修験道の開祖ともいわれているお方です。
小鯖地域づくり協議会さん編集の地域資料から壁石の項目を書き出してみましょう。
壁石
おさば/小鯖地域づくり協議会
山口付近に修験者の小グループがあり、大座山を拠点として修業に精進した事が察せられ山伏修行には適地であったと思われる。
壁石に修験者とおもわれるほりこみがあり、かかわった10人の名前がきざんである。
大座山や壁石は修験場とのこと。なるほど、それで登った後に凛とした気持ちになれたのかー。
壁石は隠れたパワースポットに違いありません。
さっそく行ってみましょう。
山口市柊の壁石ハイキング
去年のことなんですが、”俺も昔は山やってたんだぜおじさん”から「山口ICから入ったところにも面白い山があるよ」というお話を聞いていたんです。
「壁岩っていうのがあってね。摩崖仏が彫られてるの。」
おじさんからの情報はところどころ間違っているのですが心を躍らせる部分があります。こうした情報の断片をつないで、この日曜に柊の壁石に行ってきました。
壁石への行き方
壁石に向かうには柊神社さんを目指すと簡単です。とりあえず道中の写真を載せておきますね。
山口市内からの道と262号線がぶつかる山口IC近くの柊交差点を直進。交差点を渡ったらすぐに右に曲がります。
中国自動車道沿いに進み最初の高架下をくぐります。曲がる場所には「柊神社まで300m」の看板が出ています。高架下をくぐったら左に進み、一本目のT字路を右。
実はこの道は萩往還なので歩いたことがある人も多いはず。
柊神社
萩往還を50mも防府方向に進めば左手に柊神社さんが出てきます。今回目指す壁石は柊神社さんの裏山といっても過言ではないので、まずは柊神社さんをご紹介しておきましょう。
柊神社さん、拝殿の屋根など一見すると新しいお社に見えます。が、裏に回って本殿を拝見すると年代を感じさせる造りでした。
由緒書きを見ると柊神社の創建年代は不明なるも宝暦8年(1758年)に毛利宗弘の二女誠姫が再興したと書かれています。やはりかなり歴史がある神社さんでした。
また柊神社は境・柊地区の鎮守であり、社後に柊の自然林があることから「柊」の地名もここから起こったと記されています。
鎮守というのはその土地を鎮め守る神様のこと。余所者の僕は「今日は裏山にお邪魔いたします。ひとつよしなに。」とご挨拶をしてから壁石へと向かいました。
壁石登山口へ
萩往還をさらに30mほど防府方向に進みますと、足元に「壁石」と書かれた小さな道標があります。
ここを左。
で、曲がった先がどう見ても個人宅なんです。ここを直進しちゃうと、人の家の庭を通るようになります。これは違うよなあ。
ピンポンして聞いてみるかどうしようかと行ったり来たりを繰り返していましたら、畑のあぜ道に「壁石入口」の道標が転げているのをみつけました。
ああ、そういうことか。きっとこの畑を左に行ってお宅の裏を山の方向に進めば良いのでしょう。
あぜ道に転がっていた「壁石入口」の道標を本来あるべき場所に置きなおし、矢印が示す方向へと進むことにしました。
壁石ハイキングは自然がいっぱい
ここから山のお話。壁石までのハイキングコースはまあまあワイルドでネイチャー感がありましたよ。
お宅の裏を通り過ぎると無事にそれらしい道にあたりました。矢印が示していた方向に間違いないのでこれで山に入っていけます。
落ち葉の積もった道をしばらく進むと、猪除けのトタンと鉄塔巡視路の案内杭が出てきました。
この案内杭のところは右に行けそうな道も見えますが、ここは直進。山を目指しました。勘でしかありませんが正解でした。
落ち葉の積もったふかふかな道を進んでいきますと、再び鉄塔巡視路の案内杭。
ここも左に進む立派な道があるのですが、直進しました。ここも勘ですが正解でした。
さて、どちらも山の方向を向いているこの二股はどっちに行きましょう。困ったら両方行くしかありません。
右はいったん開けたところに出るのですがそこから下っていきます。ちょっと違うかな。
左はぱっと見で膝高のシダが嫌な感じ。でも踏み跡があるのでこれを信じて進んでみることにします。結果的に左が正解でした。
さて、最初は膝高だったシダですが、やがて股下あたりに迫ってきます。
この時点ではどちらの道が正解なのか本当は分かっていないのですが、なんだかシダを踏み抜いているうちに冒険感が出てきちゃいましてねぇ。
どうせここまで来たら引き返せないし、行けるところまで行っちゃえーみたいな。壁石はどこじゃーみたいなハイキングハイになりました。
これが夏だと蜘蛛の巣や虫が気になったり、秋だとヘビが気になったりするのですが、2月のこの時期は足元さえ気を付けていればあまり鬱陶しいこともありませんもんね。
で、ずっとシダの中を山奥に進むのかと思っていたら、50mくらい進んだところで踏み跡は左に折れ、若干シダも沈静化。そこからは山腹を上がっていくようになります。
山腹をえっちらおっちら上がっておりましたら、突然目の前に庭園風の広場が現れました。
一枚岩が地表に出ていて植生が育たないのかもしれません。こいつはラッキーです。
ここまでまだ400mくらいしか進んでいないのですが、道が合ってるのかどうか若干の気疲れが出ていましたので、明るい広場で休憩を取れるのはナイスです。
暖かいコーヒーで一服し広場から山頂方向を見上げてみます。
山頂方向にいくつか岩が立っているのが見えますがどれが壁石なのかは分かりませんね。
コーヒーでほっと一息ついて、落ち着いて広場を見回してみると登ってきたところにピンテが1枚下がっているのを見つけました。道は合ってたようです。ああ、この安心感。やっぱり休憩するってのは大事やね。
さて、休憩を終えて壁石探索を再開します。
先ほどの広場をぐるっと歩いてみると左手に進んでいけそうな道がありましたので、そこから山頂方向を目指すことにします。
このあたりはたまに石積みの粗野な階段がでてきましてかつての登山道に違いないことが再確認できます。
中腹に岩が張り出したところがありまして、振り返ってみると大内界隈が一望できました。
景色を横切る道は中国自動車道で、その向こう(写真真ん中)に見える茶色いビルはホテルアルファワンです。
左に見える山は面貌山で間違いないとして、右に見える川は仁保川かな。となると正面中段に見えるのは姫山ですね。
頭の中で地図と風景がリンクしていきます。この瞬間が楽しいんです。
岩を登るところにはロープが垂らしてありました。写真で見るほどの傾斜はないのでロープなしで登れますが、下りは滑り落ちないようにありがたく使わせてもらいます。
そこからもう一度シダの道を越えて、最後のロープに手をかけると噂の壁石が見えてきました!
この景色が徐々に開けてくるのはけっこう感動的ですよ。一人インディジョーンズ気分になれます。
柊の壁石
ざっと見た感じ柊の壁石の高さは3m、幅は10m程度あります。山口の市街地を向いた壁石は、明るい日差しを受けて輝いていました。
事前に調べた通り壁石には修験者(役小角かな?)が彫り込まれていました。
この像、修験者にしてはいい笑顔をしてらっしゃいます。彫像があまり崩れていないので時代は比較的新しいのかもしれません。
修験者の左には二月七日の文字が見えます。おそらく右には年号が彫られていると思うのですが読めません。最後の文字がわずかに「寅」と判別できるくらいです。
一方、彫像に関わったとされる修験者10名のお名前ははっきりと読み取れました。右から順に平治郎、各五郎、忠左エ門、伊勢松、正左エ門、藤助、岩吉、水吉、乙吉、徳治郎です。
彼らの名前が平易な漢字で書いてあることや、浅い線彫りにも関わらず判別可能な程に残っていることからも年代の浅いものだろうと思われます。
次は壁石自体に興味を持ちまして上に登ってみようと右往左往したのですが、あまり良い道もなくて結局あきらめました。
いやしかしこれ実に立派な壁石ですよ。修験者も彫ってあって雰囲気がいい。
こんなに素敵な史跡なのに柊の壁石は山口県でも山口市でも史跡・名勝・文化財等に指定されていないんです。地元の方も大事にされて壁の前の草を刈ったりと綺麗にしていらっしゃるのに。
もったいないなあ。柊の壁石はもっと評価されるべき、山口市内外に知られるべき場所だと思うんですよねえ。
そうだ。山家さんならこの写真を見れば登りたくなるんじゃないかな。
自然と歴史を巡る冒険の旅、山口市柊の壁石に登るなら夏でも秋でもなく今の時期が一番いいと思います。景色もあり雰囲気もいい山口の隠れパワースポット、柊の壁石。お薦めだなあ。
モンベルでのお買い物のついでにハイキングなんていかがっすか。わざわざ遠くまで行かなくても、すぐ近くにシューズを試せる素敵なコースがありますよ。
参考文献:おさば
山口市立図書館の郷土史のコーナーで小鯖地域づくり協議会さんが作られた観光マップを発見。
マップから柊地区、柊神社、大座山、萩往還の位置関係が分かります。
マップには壁石が取り上げれており、写真とともに説明が付されていました。