山口市黒川と陶・鋳銭司の分水嶺にあたる黒河内山を歩いてきました。黒河内山までの道は細いものの踏み跡は明らかで、迷いそうな場所にはいい感じでピンテがあります。稜線も明るい山でした。
黒河内山登山
前から行ってみたかったけどなぜか外していた黒河内山。ヤマレコで確認すると黒河内山の登山口は山陽自動車道黒河内山トンネル入口付近にあるようです。行ってみましょう。
2号線の四辻交差点を山方向に折れて直進。高速の橋梁手前を左に折れて進むと、その突き当たりが黒河内山登山口でした。アクセスはよく迷うところもありませんが、四辻交差点から入ってすぐの舗装路が狭いので気を付けて。
妙見山
まずは妙見山に入ります。登山口から車でも上がれそうな道が続きます。
この先になにがあるのかなと思ったら鳥居が出てきました。あ、これ参道だったのね。
鳥居の左の柱に天明八戊申四月とありました。天明八年は1788年。江戸時代ですね。第11代徳川家斉(とくがわいえなり)の頃のもののようです。ほんまかいな。めちゃめちゃしっかりした造りやぞ。
鳥居をくぐり土の階段を登っていくとお宮さんが登場。グーグルマップで確認すると妙見宮のようです。
はて。妙見様といえば北辰信仰、武神、山口県だと大内のお殿様を連想します。土地の名前も陶だし、まあ大内とつながってもおかしくはないか。鳥居とお宮の時代は別なのかもしれません。
※ こちらのお宮は黒河内トンネルの造成時に移したという話もあるそうです。
こちらの妙見宮を見たことで妙見山の名前の由来が分かりました。「お山にお邪魔します」と手を合わせて、左から山に入っていきます。
妙見山は183mの小山ですがなかなかの急登で、山に入ってすぐは山腹を右に左にと折り返す細い道が用意してありました。木々の隙間を直登できそうに見えるのですが、初めての山ですし単独行ということもあって安全にリボン通りに進みます。リボン通りならロープの補助もあるしw
振り返ってみると、この日歩いた中で一番の難所はこの妙見山の取りつきだった気がします。細い道を踏み外すとそのまま滑って落ちていっちゃいそうでwww
妙見山の手前に景色の開けたところがありました。眼下に伸びているのは山陽自動車道。黒河内山トンネルを出て山口南ICに向かう方向です。黒河内山トンネルを出たところで山陽自動車道と山陽新幹線が交差しているのも見て取れます。
妙見山山頂はこの展望ポイントからすぐです。
妙見山山頂(183.8m)には山桃の大樹がありました。7月頃には熟れた実が絨毯を敷き詰めたように地面を覆いつくすそうです。手前の石碑はなんだろうな。わかりません。調査不足です。すんません。
妙見山山頂に景色はありませんが山桃の大樹が神秘的でいい感じがします。散歩であればここで折り返してもいいかな。僕はこの妙見山山頂の雰囲気が好きです。
後妙見山
さて次。妙見山の後ろに控えるから後妙見山。なんて分かりやすい名前でしょう。でも、読み方は意外で「あとみょうけん」じゃなくて「うしろみょうけん」なんです。
そんなわけで後妙見山(うしろみょうけんさん)に向かいます
妙見山山頂から奥に進む道は一本しかないのでこれを行きます。ピンテもこっちに来いって言ってますし。
後妙見山に向かう途中、景色の開けたところから再び写真を撮ってみました。手前を横切る高架は山陽新幹線で、木の陰に隠れてますが向こうに進むのは山陽自動車道です。先ほど見た景色からだいぶ右に流れてきているのがわかります。
足元に季節を終えた椿を見て、ロープの補助を得て、ちょいシダが出てきたら後妙見山の山頂はもう近い。
こちらが後妙見山の山頂。後妙見山山頂には木組みのテーブルや椅子がありました。椅子に座ってコーヒーを一服させてもらいます。癒されるなあ。
そう言えば黒河内山系には自主的に登山道の保守を進めているおじさま方がいらっしゃるという記事を読んだことがあります。ありがたいことです。サンキューおじさま方。
後妙見山からは火の山連峰や福西山・亀尾山が見えました。海の霞の向こうには大分県の国東半島も見えます。やはりハイキングは天気がいい日に限りますね。
火の山連峰を見て後ろを振り返ると次に進むべき山が見えました。あれが黒河内山かな?
違います。三越山でした。
三越山
後妙見山からはいったん下り、木札のある鞍部を直進。ゆるゆると登っていき、最後にシダを上がれば三越山です。
木札に描かれた地図もありがたい。今、後妙見山から下りてきたところなので位置関係が把握しやすいんです。帰りは植林帯を通って谷川道に出てみることにしましょう。
ところでこの木札のところで左の横尾根山に進む道がいまいち分かりませんでした。分岐点はここじゃないのかなー。まいっか。先に進むことにします。
木札の道標からゆるゆると登っていくとベンチのある広場に出てきました。さっきの分岐ってここのことなのかな? 感覚的に三越山に向かうのは右だと思いますが、横尾根山も見てみようといったん左に進んでみました。
先ほどの木札によればこちらの道を15分ほど歩けば横尾根山とのこと。なのですがなんかシダの張り出しが微妙で、まあシダは良いとしてもなにやら前方からガサガサとうごめく音が聞こえてきて…
ん?やばいか?
単独行ですし、君子危うきに近寄らずでじんわりと撤退し本道に復帰しました。
本道に戻り、しばらく進んでロープの張られた日当たりの良い道を登りきれば三越山の山頂に到着です。
三越山山頂にも木の机がありました。生きててよかったと座り込んでコーヒーを一杯。ここも落ち着くなあ。
ま、イノシシなんかいつどこから突進してきてもおかしくはないんですけどね。
とりあえず生を実感しながら景色を堪能します。
三越山からも秋穂方向への景色が開けていました。後妙見山で見た景色と比較すると少し位置が高くなっていることがわかります。
高度が上がったことで小郡も見えました。木々の隙間からズームで撮った写真は山口南警察署です。
さて次のお山。あの稜線はいかにも山口市街地から見る分水嶺。次こそ黒河内山でしょう。
黒河内山
実はバレンタインのチョコレートで体が重たくなっていまして、ハインキングなら三越山までで十分かとも思ったのですが、ここまで来て黒河内山に行かない手はありません。
三越山からは少し下がってあとは登り。その登りなんですが三越山の手前よりははるかに緩くて、林道歩きのイメージなもんでテンポよく足を運べます。
このあたりの道は明らかなんですが、ポイントポイントにピンテが小気味よく出てきましてね、この感覚がまたいい感じ。
で、登り切ったら稜線分岐。
稜線分岐の道標には降り口の名前しか書いていなかったのですが、なんとなーく右に進めば黒河内山。このあたりの選択はもう感覚でしかないんですけど、こっちこっちって呼ばれる気がします。
この分岐から黒河内山山頂はすぐです。
黒河内山山頂はちょっとした広場になっていました。
黒河内山山頂
今日のメインですので黒河内山山頂は別途章立てしてお届けします。
黒河内山山頂はちょっとした広場になっていて、小さなパーティがお弁当を広げて食べるくらいのスペースがあります。きっとリーダーがあの石に座っちゃうね。
黒河内山山頂の木の幹に温度計がかけてありました。山頂の気温は4℃かな。この日はアンダー2枚にヤッケを羽織っただけの恰好でしたが、いま登ってきたばかりですし、山頂には日差しがあり風もないので寒さは感じませんでした。
そしてこちらが標高424.40mの黒河内山の三角点。等級は二等で冠字選点番号は仁6。基準点名はなんと荒神山です。「荒神山」ってめっちゃ格好いいお名前じゃないですか。地名ともリンクしませんしなんか伝説とか伝承とかありそうな気がします。※ 誰か教えてちょ。
調べてきました。
おっと10日くらい前に登られた方が新しいプレートを設置されてますね。フォントが綺麗で格好いいっす。
黒河内山にルビが振ってあるのが見えますね。くろこうじやま、くろこうじさん、ま、これはどちらでも良いんですが、確かに国土地理院地図を見ると黒河内山には「こうじ」ってフリガナが入ってるんですよ。「こうち」でも「こうぢ」でもなく「こうじ」。国土地理院が言うならこれが一応正式名称でいいか。
なんですが、黒河内山の下の山陽自動車道のトンネルのwikiを見ると「くろこうちやまトンネル」って書かれていたり、国交省中国地方整備局では「クロゴウチヤマトンネル」でも名前が通ってるようだったりするんです。いったい正解はどれなん?
うわ!こいつめんどくさ!って思った?いや思いますよね。僕も山の名前なんてのは決まってるような決まってないようなどうでも良いかってところもあるんです。
立石:金峰山(みたけさん)の登山口どこっすかね?
地元:きんぽうざんかね?
なんて地元の方に言われちゃったり
地元:最近、金山(かなやま)の開発やってるんだよね
立石:きんざんですか?
地元:いや、子供のころからずっとカナヤマだけどな
だったりしますから。
地元読みはともかく、ここは国土地理院に合わせて”くろこうじ”と読んでおきましょう。
はい。みなさんもご一緒に。”くろこうじさん”!
2023/03/12追記
荒神山の歴史を調べた今、黒河内山(くろこうじさん)という呼び名は荒神山(こうじんさん)のダブルネームじゃないかなんてことも夢想してます。
ま、そんな山の名前はともかくとして
黒河内山からの景色はこれまで変わらず秋穂方向のみです。黒河内山は山口市黒川と陶・鋳銭司の分水嶺にあたるので、山口盆地側も見えれば最高なのですが残念ながら林にさえぎられて山口市街地の景色はありませんでした。
天狗岩山
どこかに山口市街地側が見えるところはないかなーと黒河内山山頂を降りて稜線伝いに歩いてみるのですが、どこまで行っても林が邪魔して景色の開けたところがありません。
ギリ林の隙間からとったのが上の写真ですがどこなのかさっぱりわからないですよね。こうなったら景色のあるところまで歩いてみるしかない。
山口市黒川と陶・鋳銭司の分水嶺を稜線伝いに進んでみました。なんとも気持ちの良い稜線なんですが、でもどこまで行っても山口盆地側に景色の開けたところはありません。
そうこうしているうちに天狗岩山に着いてしまいました。
天狗もいなけりゃ岩もない。なんだこりゃの天狗岩山。
天狗岩山から先に進めば景色の開けた魚切山に行けることはルート図から分かりますが、魚切山から陶峠に下りたなら今回車を停めたところまで大遠回りです。ま、そんなわけでこのあたりでギブアップ。
稜線を戻って下山に入ります。
黒河内山下山
下山は木札のところから谷川道に降りてみました。登りで紹介したところはすっ飛ばして下りは簡単にまとめます。
時間帯によるのかもしれませんが植林帯は山影に入るので結構暗め。土がむき出しになった道は急傾斜で丸太も転がっていますから躓かないように注意が必要です。
また谷川道まで降りるとガレやグリがごろごろしてるので足首をやられないようにも注意が必要。
うーん。知らない道は好きなんですが、山歩きの楽しさからいうとピストンで後妙見山に進んだ方が良かったかも。
谷川道の本道(たまにピンテがあるのですが林業用のものだろうと無視して本道をいきました)を降りると休憩所がありました。
この休憩所を過ぎて舗装路が出てくると坂の向こうに高速が見えてきます。
自動車道の高架をくぐれば元の駐車場に到着です。
無事駐車場に到着しこれにて黒河内山ハイキング完了です。
お疲れちゃん。
今日のルート
今日は山口市黒川と陶・鋳銭司の分水嶺にあたる黒河内山を目指して、妙見山、後妙見山、三越山、黒河内山、天狗岩山を歩いてきました。黒河内山までの道は細いものの踏み跡は明らかで、迷いそうな場所にはほどよくピンテが巻かれているという小気味の良い山でした。黒河内山から天狗岩山の稜線歩きも明るい陽が入って気持ちがよかった。
道や休憩場所を作ってくれたおじさま方に感謝です。
ありがとうございました。
帰り道に黒川側から撮ってみました。トンネルの位置から推測すると左奥が黒河内山かな? 今回、裏から入ってるのでちょっと微妙です。詳しいおじさま、教えてください。