「肩の具合はどうですか。スケベ行きましょうよ、スケベ」という升井君からの誘いで莇ヶ岳に行ってきました。
莇ヶ岳(あざみがたけ)は島根県との県境にほど近い山で山口県百名山の一座です。標高は1,004m。山頂手前に設けられた鎖場が有名で山口県では人気の山の一つです。通称スケベ。いや、この通称は僕と升井君の間でだけですが。
莇ヶ岳への入り方
今回、僕らは莇ヶ岳登山口駐車場から莇ヶ岳へ入りました。莇ヶ岳登山口駐車場の最寄りのICは、中国自動車道の鹿野ICになります。
鹿野ICを降りて信号を左、国道315を徳佐方面に進むと道路沿いにチェーン脱着場がありますので、ここを待ち合わせにするとスムースに合流できます。この先はコンビニもトイレもありませんので、移動食の確保等は事前に済ませておく必要があります。
そのまま国道315を徳佐方面に進むと右手に上記の看板が見えますので、脇道に入っていきます。
この脇道はほぼ一本道ですが、石鎚神社さんを超えた先に一か所だけY字路があります。これを左にとれば、突き当りが莇ヶ岳登山口駐車場になります。
写真では林道小河内支線終点となっていますね。
駐車場は思いのほか広く、車は10台程度停められるのではないかと思います。
莇ヶ岳登山
莇ヶ岳 登り
それじゃ行きましょう。
駐車場の奥に莇ヶ岳登山口の看板があります。クマ出没注意の看板も。いざとなったら升井君に盾になってもらうしかないなあ。
あ、ちなみにこの辺り携帯の電波は探さないと拾えません。地図のダウンロードなどは事前に、また入山は誰かに伝えておいたほうが良いと思います。
コンクリとガレの転がった林道跡を登っていくと、左手に莇ヶ岳登山口の大きな看板がありました。
ここから山に入っていきます。
最初は林の中の九十九折りを上がっていきます。小さな梯子段なんかがあったりして楽しいところです。
山の端から空が見えるので尾根が近いのかなあと思わせますが、、、
尾根らしきところに出ると休む間もなく階段が始まります。これがまた結構急でしてね。
最初に莇ヶ岳の標高を1,004mと書きましたが、莇ヶ岳登山口駐車場は標高600mあたりにあるので、獲得標高は400m程度しかありません。しかし山頂までの距離が1km程度なのでほぼ直登なんです。
升井君は全然大丈夫でしたが、喫煙者の僕にはちょっと辛い直登。「や、休ませて」と途中のベンチでちょっと休憩を取らせてもらいました。
余裕の升井君は何かポーズを決めています。スケベなやつです。
このあたりから岩が出てきまして、写真のような道を上っていきます。
急登を登りきると、山頂への巻道と鎖場への分岐にたどり着きました。
升井「二の鎖・三の鎖って書いてありますね」
立石「一の鎖ってあったっけ?」
升井「見てないっすねえ」
まいっかと、とりあえず鎖場へ進みました。
莇ヶ岳 鎖場
道なりに進んでいると本道の右下に鎖の垂れ下がった岩を見つけました。
二の鎖場
いったん下に降りて鎖の付いた岩を見上げてみましたが、取りつくのも大変そう、落ちたら死んじゃいそう。
立石「んー無理っす」
升井「んー行くっす」
判断が分かれます。
升井君は「これ面白いっすねえ」とか言いながらあっという間に岩を登っていきました。登りきると「あれ?こっちに二の鎖ってありますよ」と。本道に戻って岩の上に出ると確かにここも二の鎖となっています。
上の二の鎖の岩には正面と側面に鎖が取り付けてありまして、升井君は嬉々として2つとも上り降りしてました。
すげーなお前。スパイダーマンだ。
僕も二の鎖に正面から取りついてみたのですが、最初の一歩が岩にかからない。股関節が固いのと、腕の引っ張る力が全然足りないようです。
そうは言っても登ってはみたい。横に回るとロープがあったのでこれで上りました。
二の鎖の岩の上にはお不動さんがいらっしゃいました。それでまたここからの景色が良いんですよ。普通ならヤッホーと叫びたくなるところですが、升井君、パワーとか言ってました。うーむ、スパイダーマンかと思ったら、中山きんに君だった(笑)
いや、すごいパワーだと思うけどさ。
三の鎖場
二の鎖を降りて先に進むと三の鎖場に到着です。
三の鎖は二の鎖に比べると距離は長いけど足のかかりは良さそう。でも滑ったら終わりだなあ。
途中の踊り場で待ち合わせて、ここから角度が急になります。
升井君が登り切ったのを待って岩に足をかけます。2度、3度と取っ掛かりを探しますが、どうにも登れる気がしません。はい。決断。僕には無理やね。
ここから横に逃げる道があるので、藪を漕いで崖の上に出ました。
上から見た鎖です。こんなんおじさんには無理やん。
最後の最後の緩いとこだけ登ってる風の写真を撮っておきました。
良いんだ。思い出だけあれば。
鎖場について追記 2021/05/21 莇ヶ岳付近を”石鎚神社”で検索すると、Google Maps上に3か所、石鎚神社の名を見ることが出来る。 一つは莇ヶ岳登山口駐車場に向かう林道小河内支線沿いにある石鎚神社、そして後ほど写真に出てくる莇ヶ岳山頂の小祠が莇ヶ岳石鎚神社、残る一つは「石鎚神社鎖場」で、我々が遊んだこの鎖場はどうも修験の場だったようだ。 石鎚神社について少し書いておくと、愛媛県西条市にある西日本の最高峰 石鎚山(標高1,982m)は、修験道の開祖 役小角(えんのおづぬ)が開いた霊峰で、石鎚神社は神仏習合の形で人々の信仰を集めている。 石鎚神社の名は新南陽の若山、秋穂の火の山でも見た。四国にほど近い山口県には石鎚信仰(山岳信仰、修験道)が結構残っているということなのだろう。 丸の中に石の文字を見つけたら「石鎚神社様だな…修験道か…」とつぶやくと通っぽくて格好良い。覚えておこう。 |
莇ヶ岳山頂
鎖場から莇ヶ岳山頂はすぐです。
莇ヶ岳山頂にはお宮さんがあり、その横の碑には石鎚神社兄見山開山と書かれていました。あれ、莇ヶ岳は兄見山って言うのか?近くに弟見山があるのは知ってるけども。
先に登られていた黄色いカッパの兄さんに挨拶をし、お話しを伺ってみると「弟見山と莇ヶ岳は兄弟峰。背の高い兄から弟を見ることができるので弟見山、兄を見上げる莇ヶ岳が兄見山」とのことでした。
なるほど。めっちゃすっきり。地元の兄さん流石です。
ぐるっと山頂の景色を動画に撮っておきました。親切な兄さんも映り込んでおりますがカッパで顔が隠れてるので許してね。
獲得標高400m、距離約1㎞。莇ヶ岳登山口駐車場から莇ヶ岳山頂までほぼ直登。山頂間際の鎖場は若くて勢いがないと厳しいかもね。まあ、僕が恐れなだけという話しもありますが。
莇ヶ岳山頂には避難小屋もありますが、今回のお話しはここまで。
莇ヶ岳はなぜ通称スケベなのか
ここから先はもう単なる馬鹿話です。
先月だったか升井君と車で移動中にこんな会話があったんです。
升井「岩登りたいっすねえ、岩」
立石「岩ねえ」
升井「9号線の方になかったっすか?」
立石「ああ、助ヶ岳ね」
行きたいと言われればじゃあ行こうってなるわけで、家に戻ってYAMAPで山の下調べをしたんですね。山はだいたいの位置で覚えているのでYAMAPでも問題なく下調べがついたわけですが、登山口を探すのに「助ヶ岳 登山口」でググっても一向に検索に出てこないんですよ。
不思議やなーと再びYAMAPを見て、やっと、莇(あざみ)やんけー!と気が付いたわけです。
僕、これまで字面で莇を助と覚えておりました。お恥ずかしい。
んで、
す、す、スケベは助がたけ~♪
いいえ違うの、あざみなの~♪
なんて歌までできてしまいまして、僕らの間では莇ヶ岳→助ヶ岳→スケベということになってしまったのです。
今回の動画の最後に「あれ、歌わないんすか?」と升井君の声が入っていますが、スケベとか、なんぼ僕でも地元の親切なあんちゃんの前じゃ歌えんよ。
ってなわけで、莇ヶ岳、あざみがたけ。大事なことなので2回言っておきます。
もう間違えないよ。スケベ。
後編はこちら
今度はブナ尾根ルートも楽しいですよ。
昭和にブナの木の伐採反対運動もありましたが伐採された過去、当時と今の価値観で見てはいけない時代背景です。
山口県側は伐採され針葉樹が猛威を振るう現在。現在では山口県側と島根県側の構成樹の違いなど、山そのものを楽しめると思います。登山道は歴史です。良き山ライフを。
おお!あの時の兄さんっすか。その節はお世話になりました。
ブナ尾根ルートってのもあるんですねー。めっちゃ参考になります。ありがとうございます。
んで、今んとこ百名山をこなすのに精いっぱいなもんですから、2周目で挑戦させていただきたいと思います。
また、山でお会いしましょう!!!
物語風な山の名前は信憑性に欠けますが
酵母菌の様に後の人に美味と伝わったお話です。
昔話は蘚山、蘇ヶ岳、蘇山、アサミ獄などなど。
大正生まれの人のお話、資料よりです。
いつかまた山で。