オリンピック休暇の最終日に岩国市玖珂の蓮華山を歩いてきました。夏登山のせいか標高576.4mにしてはきつかったのですが、下りに見つけた滝があまりに美しく良いもの見たなーなんて呑気に構えてたら蜂に刺されちゃいました。まいったねこりゃ。
取り合えず山で蜂に刺されたときの応急処置を含め、今回も珍道中をまとめてみたいと思います。前半は蓮華山の珍道中、蜂が気になる方は後半をお読みください。
蓮華山 今日のルート
蓮華山にはたくさんのコースがありまして、現地での呼び名も異なっていたりしてややこしいので、先に今回歩いたルートをご紹介しておきます。
Gから左に伸びているのが「市の迫滝コース」で、今回僕らはこれを下りました。市の迫滝コースには見ごたえのある滝がありますが、コースが急なので登りで使うと恐らく死にます。
また地図のSから左に伸びているのが「室ヶ迫コース」で、僕らはこれを登りました。こちらはゆるゆるですが景色がありません。また現地に行くと室ヶ迫コースのことを本コースと書いている看板もあってややこしいのです。
SとGの間には比叡神社がありますが、初めて行くとつい道の良いSの方に進んでしまいます。Sから伸びる室ヶ迫コースはYAMAPのコース図にも載っておらず、沢もあるために「これが滝コースじゃないのかなあ」と道中ずっと混乱する、なかなかに初見殺しの山でした。
蓮華山登山-室ヶ迫コース(本コース)
先月、玖珂の竜ヶ岳を歩いたときに地元のおじさんから薦められたのが蓮華山で、今回は後輩の升井君が登山口を調べておいてくれました。
国道2号線から眺めると蓮華山は分かりやすく山頂はあれだろうなーと推測できますが、登山口となるとよく分かりません。とりあえず比叡神社近辺をうろうろしている内に見つけたのが上記の蓮華山の看板です。
比叡神社があって右からが本コース、左からが滝コース。その途中に林道(舗装路)が走っていて2つのコースと「廾」の字に交差しています。
今ならこの地図でもよく分かるのですが、初見ではなんのことやら。取り合えず書いてあるままにPマークに進みますと、谷津上自治会さんが集会所の駐車場を開放されていました。
※ 念のため近所の方にお声がけをし停めて良いことを確認しました。
看板から駐車場に行くまでの間に登山道の道標があります。これだけ立派な道標を見つけると、先ほどの地図のことなど忘れてしまいます。「登山道って書いてあるんだから山には続くだろ」ってことで、これを起点に山に入っていくことにしました。
道標に従って進むと、すぐに舗装路があぜ道に変わります。比叡神社を右に見ながら進むつもりだったのですがおかしいなあ。まあ他に道もないしと大して気にせず直進することにします。
あぜ道を進んで行き林にかかると整備された林道につながりました。これだけ立派な道なら迷っているとは思いませんね。まあ、実際に迷っているわけではなく、道を間違えているだけですからw
先に書いた「廾」の字の交差にやってきました。ここを左に取れば市の迫滝コースにも進めるのですが、僕らはこれまで歩いてきた道に間違いがあるとは思っていないので当然直進します。というわけで、無事(?)室ヶ迫コースを進むことになりました。
室ヶ迫コースは(市の迫滝コースに比べれば)傾斜が緩いのですが、思ったよりも道が狭く、周りの木々や下の沢に目をやっていると足を踏み外しそうになります。
足元にはこぶし大から少し小さめに割れた頁岩が転がっています。枯葉はそれほどかかっていないので滑ることはありませんが、大き目な石に乗ると足をくじきそうになりますので、気を付けて進みましょう。
道が無くなったかなと思ったら沢を渡るようなっていました。沢にはちょろちょろと水が流れていましたので、タオルを浸し首を拭って一休み。ここから少し登りがきつくなります。
そしてやっぱり狭い道。ここいら辺りは慎重に歩く必要があり、馬鹿話もできません。一応、これが「本コース」ってメイン的な名前の付いたコースなんですけどね。
岩を登って再び沢を跨ぐところに木の橋(写真左上)が用意されていたのですがほとんど朽ちていました。落ちると怖いので橋の下を渡ります。
沢を離れるといわゆる山道に入ります。蓮華山の中腹辺りはいくつかのコースが交差しているのでどっちに進んでよいのやら。升井君がYAMAPで道を調べてくれますが、そもそも最初のコースを間違っているのでよく分かりません。取り合えず感覚的に山頂方向かつ登っている方向に進むことにしました。
ひよどり越えと書かれた看板を発見。これはYAMAPに載ってたな。山頂は左となっているので道標通りに進みます。
山頂に近いところで下山コース案内図を発見。ここで初めて自分たちの上がってきたコースが「室ヶ迫コース」であることを知りました。適当だよね(笑)
- 室ヶ迫コース…一般道。沢沿い、ガレ場あり、展望なし
- 市の迫滝コース…尾根道。急坂、岩場あり、展望地あり
だそうです。室ヶ迫コースは確かに展望はなかったなあ。これを見て帰りは市の迫滝コースにしようと誓ったのでありました。
山頂に向かう道には道標がありませんでしたが、リボンもあるしこっちだろと進むことにします。これは正解です。
蓮華山 山頂
家に戻ってから知りましたが蓮華山の山頂にはかつて城と神社があったようですね。残念ながら城郭らしきものは見つけられませんでした。
蓮華山山頂に着いて最初に気がつくのが2つの祠。横から拝見しましたが、銘がないようなので取り合えず手を合わせてお山にお邪魔していることを報告し、下山の無事をお願いしておきました。
蓮華山山頂は三方向を木が覆っているのであまり景色がありません。唯一開けているのは玖珂の街の方向で、中山川ダムが見えましたのでそこから二井寺山や大黒山、竜ヶ岳が同定できます。
蓮華山の三角点は広場の端の木陰にひっそりとありました。二等三角点なので升井君が2の字を出してくれてます。あ、そうそう。誰かがこっそり置いたワロックがあったので三角点の上に移しておきましたよ。
蓮華山 西峰
蓮華さんの山頂には西峰展望台への道標があります。
道標には「南北見晴らし良好 約400m 10分」とあります。その程度の距離であれば行かない手はありません。
途中に分岐があります。この分岐からは末貞コース、夫婦岩コースへと降りて行けるようです。升井君は手を上げていますが西峰展望台へ進む道は明らかでした。
ほどなく蓮華山西峰展望台に到着。確かに南北に開けていて、表は竜ヶ岳から氷室岳、さらに遠くの銭壺山、ギリギリ端っこに高照寺山等が見えます。
裏は物見ヶ岳から小五郎山、寂地山、冠山などが見えます。双眼鏡が用意されているので遠くの山もよく見えます。軽くお菓子でお腹を満たして下山に入りました。
蓮華山下山-市の迫滝コース
市の迫滝コースはハード
蓮華山西峰から蓮華山山頂を経由して登りの時に見つけた下山コースの看板のところまで戻ってきました。
下山は市の迫滝コース(右)の道を取ることにします。看板に「急坂、岩場あり、展望地あり」と但し書きがあるのが気になりますが。
ほほう。これが噂の急坂ですか。確かにズルっと滑ると行っちゃいそうですね。
ほどなく急坂終了。登り方向から見返すと、今降りてきたのは「尾根コース」のようです。ここを右に取れば「一般コース」。うーん、看板があるのは良いのですがコース名の付け方がバラバラで頭の中でつながりません。これ初見殺しですね。
頁岩ですかね。下側に綺麗な面が出来てきてるのが面白いです。
もう少し下ると比叡神社への道標が出てきました。この辺りから植生が変わってしばらくシダの道が続きます。今日は半袖で歩いてるのでちょいと嫌な感じです。
市の迫滝
シダの道を進んでいる間に沢の音が聞こえ始めました。
山肌に出てくると水音が大きくなります。まず小さな滝を見て、沢沿いを降り切った先に大きな滝があるのですが、この辺りの道がひどいんです。
こぶし大のガレの上に枯れ枝や枯葉が積もった急坂で、しかもあまり踏まれていないのでどこでも歩けそう。そして気を付けて降りているつもりが、石車に乗って何度も転びそうになります。倒れる方向を間違えると沢まで行っちゃいますよ。
怪我無く何とか沢の下まで降りてくると、市の迫滝の観音由来の看板がありました。
慶応のころ旅の僧が村人の難儀を救おうとして奉持していた観音像を安置したいと時の庄屋 豆田家へ願い出た。庄屋は自分の持ち山で蓮華山中腹に滝のある幽玄なこの地を選び勧進されたのが観音さまの始まりと伝えられております。
市の迫滝の観音由来 の看板
この看板の奥に観音堂があり更にその奥に滝がありました。大きな滝です。蓮華山で最も感動的なところ。必見です。
市の迫滝が素晴らしい
市の迫滝はかなりの落差があり山口県でも見るべき滝の一つではないかと思いました。が、それ以上に素晴らしかったのは、左手の岩穴に安置された観音像がまるでライトを当てられたかのように光って見えたことです。神々しい観音様を拝んで、滝を見上げ。何かこう神秘的な場所でした。”幽玄なこの地”という表現は正鵠を射ています。行く価値ありです。
こんな素晴らしい市の迫滝ですが、比叡神社から市の迫滝へ向かう途中の橋が写真のように壊れています。黄色のコーンが置かれていてない方の端は渡れますが、あまり気持ちのいいものではありませんね。市の迫滝コースがあまり踏まれていないのはこのせいかもしれません。残念です。
蜂に刺されたー!
お待たせしました。蜂の話しです。
市の迫滝から壊れた橋に下ってくる間に沢を渡る場所がありました。割と大きな岩がゴロゴロしていて、渡るべきかそのまま降りるべきか道を見失うようなところです。
一旦立ち止まって道を見極めていたら、後ろにいた升井君が大声で「痛いっ!」と叫びました。その声に振り返ると升井君が手首のあたりを見ていました。
「めっちゃ痛いです!」と悲しそうに言いますが、周りには覆うような葉も垂れ下がった枝もなく、痛がっているのが腕なので、まあヘビじゃないなら大丈夫だろうと安堵していたら、今度は僕の手首に激痛が走りました。
立石「痛てええええ!」
升井「蜂です、蜂!」
升井君が走って逃げ始めたので、僕も慌てて別方向に。後から聞くと僕の腕から蜂が逃げていくのが見えたと。更に横に立ってた枯れ木の洞から数匹の蜂が出てきていたとのこと。
巣のすぐ横に立ってたんじゃあ刺されても仕方ありませんね。
蜂に刺されたら
蜂に刺されたらまずは退避。次に水で洗って、爪などで毒を絞り出し、氷で冷やして、薬を塗ると良いようです。
1.先ずは離れた場所まで退避
蜂に刺された時の対処法を知っていようがいまいが、蜂と分かればその場には居たくもありません。当然逃げます。
巣から2~3mが奴らのテリトリーで、本当は刺激しないように体を低くして慌てず騒がずに逃げたほうが良いらしいのですが、僕らはとにかく一目散に逃げました。
幸い追っては来ず、沢の先で升井君と無事合流。互いに痛みのあるところを見ると、針はなく皮膚に穴が空いていました。
2.水で洗って毒を絞り出す
何にやられたか分からないと不安ですが、蜂と分かっていれば少し余裕です。どんな蜂だった?と聞くと良く分からないけど大きかったと。それほど腫れてないのでスズメ蜂じゃないんでしょう。
「うひひ^^この前買ったポイズンリムーバーがあるよ」
蜂毒は水溶性らしく本当は先に水で洗った方が良いのですが、この時点ではそんなことは知りません。取り合えずポイズンリムーバーを取り出して毒を吸い出しました。吸引力がどうかなーと思っていたのですが、刺された傷からまあまあ血が出てきたので毒抜きの意味はあったのではないかと思います。
3.氷で冷やして
アナフィラキシーショック怖いねー*1なんて言いながら駐車場まで戻って一安心すると、刺されたところがジンジン痛み始めました。ネットで対処方法を検索して水で洗い冷やしたほうが良いことを知り、取り合えず余ってた麦茶で傷を洗って、サーモスから氷を取り出して傷に当てておきました。
ちょっと広がってきてますが、冷やすといい感じです。
4.抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗る
薬は持っていなかったので、街まで降りてドラッグストアでお薦めの軟膏を買って塗り込みました。今後はこの薬もリュックに入れて持ち歩くことにします。
その後の状態
こうしてできることはしたのですが、翌日まで刺されたところに痛みが続くのでした。翌々日にはちょっと痒いかなという程度に落ち着いたので、対処としてはまあ悪くなかったのでしょう。ちなみに一週間経った今は、刺された穴が広がってポッコリ開いています。穴の周りが膿んだのかな。まあ傷も乾いてるので時期にふさがるでしょう。
いやーしかし、蜂に刺されるなんて小学生の時以来で、久々にあのビリっと電流が走るような痛みにビビりました。できれば刺されたくないものですが、刺されてもちゃんと対処できれば、予後は大したことないことことが分かりましたので、次回以降は安心です。
*1 アナフィラキシーショック怖いねー
蜂毒のアナフィラキシーショックは体質次第らしいです。刺されてから5分~15分で発疹やめまい、嘔吐、痙攣などがなければ大丈夫とのこと。一方、こうした症状が出ると更に15分程度で死に至るようです。刺されてから死に至るまで30分しかないことを考えると、山深いところで蜂毒のアナフィラキシーショックを起こせばどのみち救急は間に合いません。まあ、その時は寿命と諦めましょう。
それでも体に入る蜂毒の量を少しでも減らすために、適切な処置は覚えておいた方が良いですね。というわけでポイズンリムーバーをいくつか載せておきます。転ばぬ先の杖。持っておいた方が良いと思いますよ。
それではまた来週。ばっはっはーい。