龍護峰(りゅうごほう)の標高は425.5m。カルスト台地で有名な秋吉台国定公園の最高峰ですが、登山口となる秋吉台家族旅行村の標高が216mですから、実質200m程度を登る低山ハイクとなります。
森を抜けると草原の丘、山へと続く一本道、見渡す限りのカルスト台地、まるで映画の主人公にでもなったような気分のこのコース。合ハイなんかにもお薦めです。
ではさっそく。
秋吉台の展望台へ
龍護峰への登山口が秋吉台家族旅行村にあるというのはあらかじめ調べておいたのですが、最初に、敢えて秋吉台の展望台にやってきました。立ち寄ったのはカルスター(Mine秋吉台ジオパークセンター)です。
んー。カルスターって言っても地元の人も分かんないかもね。秋吉台の展望台のとこに新しくできた黒い建物、観光案内所兼軽食喫茶みたいなところです。
秋吉台といえばカルスト台地を見ることのできる山口県のメジャーな観光スポットです。こういう観光案内所って、大抵ウォーキングマップを置いてるじゃないですか。
ね、ほら、狙い通りにTrekking Mapをゲットですよ。左下あたりに龍護峰への道が載っています。秋吉台は見どころが多いために、地図としては左下に小さく掲載されているだけでしたが。
Akiyoshidai Trekking Mapを見て大方の位置関係が分かりました。僕が撮った上の写真で言うところの、白い建物の左上のでっぱりが龍護峰です。
中腹まで森があって、その上は、なだらかな丘が続くイメージ。ふむふむ。歩き始める前にイメージを持っておくのは大切なことですね。
だいたいのイメージが湧いたので、秋吉台の看板の娘のマネキン人形なっちゃんにウザがらみしてから秋吉台家族旅行村に向かいました。
秋吉台家族旅行村
龍護峰の登山口となる秋吉台家族旅行村にやってきました。ここは山口県民キャンパー御用達のキャンプ場です。ケビンもあったりするのですが、建物横で火を使ってはいけない(と昔聞いた)ので、僕は泊まったことがありません。
某ブログにて秋吉台家族旅行村の駐車場代が500円必要と読んだので、管理棟に駐車料金を支払いにやってきましたが、今は無料とのこと。ラッキー。
ちなみに今の時期、キャンプ場には県外の方を受け入れていないとこのことでした。秋吉台家族旅行村は良いところですので、コロナが収まってから是非いらしてくださいね。
さて、管理棟にて龍護峰に登る旨を伝えたところ、ハイキングマップを頂きました。先ほどのAkiyoshidai Trekking Mapよりも龍護峰に焦点が当てられ、登山ルートが詳細に描かれています。
ぐるっと一周回って来るだけなのでルートはだいたい頭に入っているのですが、管理棟から登山口への最初の方向だけが分かりません。
管理人のお姉さんに訊ねると、わざわざ外まで出て来てくださいまして、
この(管理棟の裏の)広場の向こうの道を右に進んでくださいと、懇切丁寧に教えてくださいました。
これが、秋吉台家族旅行村の管理棟裏の高原広場です。もうこれだけで美しい。
では参りましょう。
龍護峰登山口から中腹
11:30 先ほどの広場からゆるーいゆるーい舗装道を散歩気分で歩いていきます。
前日は東鳳翩山を歩いてきましたので、前日の疲れや足の張りを解くべく今日のテーマは「クールダウン、ゆっくり歩く」です。
ほどなく龍護峰への登山口を見つけました。
最初は桜だかスモモが植えられた果樹園の山肌をてろてろと登っていきます。坂は緩く息が切れることはありません。
道も良く農園を歩いているような感覚です。
300mくらいで休憩所に到着。「ドコモ 秋吉さくらの森」だそうです。
サンキュー、ドコモ。全然疲れてないけど一服しよう。
そう言えば、この先のルートにこうしたベンチやテーブルは一つもありません。いえ、必要だと言っているわけではないのです。もし必要な方がいればここで使ったほうが良いよというだけの話です。
あ、それからルート上にはトイレがないので、最初の管理棟ですませておいたほうが良いです。為念。
「ドコモ 秋吉さくらの森」にはベンチがあり景色も良いため麓方向に目をやりがちなのですが、実はこのポイントが”龍護峰への分岐点”です。
秋吉台家族旅行村から直で龍護峰に向かうルートの場合、分岐の看板が木で隠れています。この分岐、一服していてふっと山の方に目をやった時に気が付きましたから。見過ごすところでした。
この記事の最初の方で示した「麓から眺めた龍護峰」を覚えていらっしゃいますでしょうか。ここが中腹の森です。上の写真よりも暗いところもありますが、総じて生物感の薄い森に感じました。
山口市より西は鹿、北は猪がいるイメージがあるのですが、カルスト台地は森が少ないので生物感も薄いのかなーなんて思ったりしました。
龍護峰中腹の森が終わると一気に視界が開け、丘と空が見えてきます。映画の幕開けのようです。
龍護峰への丘
見渡す限り自分一人です。後ろは森。上は空。丘に向かう一本道。
あの丘の上に檀れいさんが金麦を持って立っていても全然不思議に思いません。
その先の道も素敵。僕らが昔、心に思い描いた「ハイキング」とか「ピクニック」ってのはこんな感じですよね。なんだか足の運びが軽快になります。
丘をこーえー 行こうよー
くちーぶえー 吹きつーつー
空はすーみー あっおーぞらー
まっきーばを 指してー
うたおー、そうこうしているうちに頂上が見えてきましたね。手前の石灰岩柱がいかにも秋吉台っぽい感じで良いでしょう?
そうそう遅ればせながら、秋吉台ってどんな観光スポットなの?という県外の方のために説明をしますと「石灰岩の台地です。あと長年の雨で浸食されて、台地の下に鍾乳洞が形成されています。」(超訳) その鍾乳洞が秋芳洞です。
それから「道を外れてドリーネと呼ばれるすり鉢状の穴にころげ落ちると、三葉虫なんかと一緒に石灰で固められることになります。」(適当)
龍護峰山頂
12:07 龍護峰山頂に到着しました。風が気持ちいい。
龍護峰は360度開けた景色が素晴らしいのです。しかもこの日は誰もいなくて、山頂に僕一人。動画を撮っておきましたので、山頂の風景をお楽しみ下さい。
これは龍護峰を登り切って正面の風景です。向こうの山は多分、美祢市の石灰石の採掘場ですね。国定公園から外れたところでは石灰石の採掘が行われています。
海底から隆起したサンゴ礁がこれら石灰岩の元になっていますので、採掘時にはたくさんの化石が出てくるそうです。
そのため美祢市の夏祭りの名称は「アンモナイト」となっていまして、盆踊りがめっちゃ渦巻いてそうな気がします。
そんなどうでもいいことを考えながら、セブンのマカダミアナッツクッキーを食べました。これめっちゃ美味しいんだ。
龍護峰から下山
12:43 下山開始です。というかこの景色も美しすぎると思いませんか。
中腹の森を上から見た図です。このまま駆け降りたい気分になりますが、ドリーネに捕まると何万年後かに人柱と呼ばれることになりますので注意が必要です。
下山途中にあるお鉢山です。空に抜ける道。また檀れいさんが飛び出てきそうな気がしませんか?
残念、飛び出てきたのは僕でしたw 自分のブログなのでちょいちょい出てきます。さーせんw
お鉢山(406m)頂上です。看板はどっか行っちゃったみたいですね。
お鉢山頂上からの秋吉台の眺めは抜群です。道がある限りどこまで歩いて行けそうな気になります。
ルート情報として、龍護峰から回ってきた場合、お鉢山から降りるところだけ急坂です。それ以外はいわゆるハイキングコースと言って良いでしょう。
そのお鉢山から降りる途中に看板を見つけました。「芝の補植作業中 秋吉台カルストTRAIL RUN実行委員会」
このコースは秋吉台カルストTRAIL RUNのルートにもなっているようですね。
6月初旬にも関わらず道は踏み固められていますし、道端の草は膝丈で邪魔になりません。
整備が行き届いているということです。素晴らしい。
振り返ると結構降りてきていました。写真に見える峰は「お鉢山」です。もう、その向こうにある龍護峰は見えません。
このあたり(後から考えるともうすぐ西の西山との分岐点)まで来ると、さらに山道が開け轍が見えるようになります。
高低の緩さに道の安心感、景色の美しさ、ここは合ハイ向きだなあと思います。
道の左に見えるのがおそらく西の西山でしょう。
西の西山分岐点に来ました。今日は無理をしないことがテーマですので西の西山は捨てて、家族旅行村に戻ることにします。
分岐点近くにドリーネ(石灰岩が雨で浸食されてできた穴。台地の下の鍾乳洞に繋がってる可能性があり、落ちたら二度と現世に戻ってこれません。)が見えます。
ルート中に他にもいくつもあるのですが、規模が小さかったり、柵に覆われていて近づけません。もちろん、このドリーネにも近づけませんが、割と大きめで見やすいところに位置していますので、ルート内では見どころの一つでしょう。
下りの森の入口にやってきました。登りも下りも森を経由しないといけないようです。
車の轍があることから分かるように、登りに比べるとこちらの森の傾斜は緩やかです。いや、どちらも緩やかなのですが。
光の入り方が強くなってきて、もうすぐ出口なのかなと思わせます。
正解でした。秋吉台家族旅行村の駐車場側に降りてきました。
13:29 龍護峰から下山完了。ゆるゆるコースでした。
秋吉台家族旅行村(下山完了)
下山口(前述写真の登山口)から秋吉台家族旅行村の駐車場横の道を上っていきます。
駐車場沿いの道を登っていくと杉の葉のゴジラがいました。管理棟までの道の途中にあるのですが、来たときは気が付かなかったなあ。
龍護峰の所感
前日の疲れを癒すために選んだ龍護峰のゆるゆるコースでしたが、映える景色が多く、むしろ興奮気味に歩いてしまいました。新型コロナの影響か登山者も少なく(今日は唯一ご夫婦一組とだけすれ違いました)、まるで映像の世界に一人入り込んだかのような錯覚にも陥りました。
このコースは傾斜も緩く、婦女子を伴ってお弁当を持ってピクニックに来ると良いのではないかと思います。是非、この風景を見せてあげてください。
僕はなっちゃんに振られたことだし、次は新しい彼女を見つけてから来ることにします。
それではまた。