【山口県百名山】滑る堂ヶ岳、あの爺ちゃんは大丈夫か!?

【山口県百名山】滑る堂ヶ岳、あの爺ちゃんは大丈夫か!?

今週も単独行なので簡単な山を探して堂ヶ岳に行くことに決めました。堂ヶ岳は山口県百名山の一座ですが、人手の入ったハゲ山なので割と楽勝だろうって算段です。

以前、石柱渓に行ったときに堂ヶ岳の登山口にはアタリを付けておいたのでのんびりと出発しました。

堂ヶ岳への行き方

堂ヶ岳に行くとなると皆さん豊田湖の方から入られると思います。でもねー山口市から行くと豊田湖を回るってのは結構遠いんです。なので今回は美祢市の於福(おふく)から入りました。

石柱渓の看板
石柱渓の看板

おふくの道の駅から雁飛山の裏に回れば県道38号を通って石柱渓に抜けることができます。石柱渓の入口に立つ看板を越えてすぐ左の坂道を2㎞ほど進めば堂ヶ岳の登山口です。いずれの道もそれほど狭くはありません。鹿が道の真ん中にいるかもしれないのでスピードは抑えめに。

今出集会所入口
今出集会所入口

駐車場の話をしましょう。堂ヶ岳登山口の看板を50mくらい過ぎたところにIMADEの看板がありまして、そこを山手に入ると今出集会所があります。

今出集会所
今出集会所

今出集会所の入口の坂は狭いのですが奥に駐車場があります。今出集会所はGoogle Mapsに出てくるので道が分からなければ参考にされてください。

さて、あいにくどなたもいらっしゃらなかったので「堂ヶ岳に登ってきます。駐車場をお借りします。山口市,立石」と書いたボードをフロントにおいて山行開始です。

堂ヶ岳登山

一度通り過ぎた登山口まで戻ってきました。

堂ヶ岳登山口
堂ヶ岳登山口

先ほど車で通り過ぎた堂ヶ岳登山口に戻ってきました。この登山口から正面に見える一部ハゲた山。あれが堂ヶ岳です。
このときは山が分からないので、多分あの山かなーもっと向こうかなーと思いながら出発しました。期待が高まる瞬間ですね。

堂ヶ岳とりつき

登山口からしばらくは舗装路が続きます。

舗装路
舗装路

道のわきが割と広くなっていまして、ここまで乗り込んで車を停めても良かったかなと思いました。ま、その場合はピストンで帰ってくる必要がありますけれども。

堂ヶ岳のルートは事前に調べていたのですが、どうやらここから登って、山頂から稜線を西に向かい神社に降りてくるのが一般的みたいです。
一応、僕もそれで行こうと決めていたのですが、諸々ありまして今回はピストンで降りてきました。

猪ゲート
猪ゲート

舗装路が尽きると開きっぱなしの猪ゲートがありました。このゲートの前にも車が回転できるくらいのスペースがありますので、ここに車を停めるのもありですね。ピストンならね。

赤い岩
赤い岩

猪ゲートをくぐって進むと足元の岩が妙に赤っぽいんです。普通にイメージする赤土なんかよりもはるかに赤味が強くて、これはなんだろうなーと思っていたのですが、その内にちょっと他所ではお目にかかったことのない岩が現れました。この赤い岩は堂ヶ岳の特徴の一つだと思います。

赤白に分かれた石
赤白に分かれた石

がれの中から赤と白に分かれた石を拾ってみました。何某かのイベントで地層がここで分かれたのだとしたら…小さな石にも大地の胎動を感じられて面白いと思いませんか。
こんな石が普通にごろごろしてるんです。

この石、簡単に割れるなあ。なんか見たことあるぞ?

思い出した!これ砕屑性堆積岩の赤色泥岩だ。たしか、豊田ホタルの里ミュージアムでお土産にもらったやつと同じだぞ。石の見分けがつくとなんだか嬉しい。やっぱお土産はもらっとくもんだな。

嬉々として進んでおりますと右手の藪から人が現れました。山で人に会うのは久しぶりのことでビックリです。
立石:こ、こんちわー!

御同輩とランデブー
御同輩とランデブー

藪から突然現れたこの方、お年は70代半ばでしょうか。失礼ながらこの記事では爺ちゃんと呼ばせていただきます。いやしかしこのお年でバリエーションルート開拓とはお元気でいいっすなあ。

爺:前に登ったときには右の道があってね。
立:そうなんすね。
爺:藪になってたよ。

なんてしばらく立ち話をした後に、本道をご一緒させていただいたのですが

爺:ゆっくり登るのでお先にどうぞ。
立:じゃあ山頂でお待ちしてます。

と促されたので、適当なところでお別れし先行させていただきました。人にはそれぞれペースがあるもんね。

昔は重機が通っていたと思われる道
昔は重機が通っていたと思われる道

堂ヶ岳には小さな沢が流れていまして、その沢で土石流が起きないように山の一部を伐採されているようです。なので木の切り出しが行われてた道が今歩いてるガレってわけ。

一応、ここまでを取りつきとしておきます。

堂ヶ岳登山

重機が通っていたであろう道の正面には、頂上付近までハゲた山があります。あれを直登だときついなあと思っていたのですが、ちゃんと登山用の看板がありました。

堂ヶ岳登道(歩道)入口
堂ヶ岳登道(歩道)入口

この看板には以下のように書かれています。

登山のお客様へ
木材の搬出のため、架線が張られています。大変危険ですので、作業中の場合は遠慮せずに必ず作業員に声をかけて下さい。

スオウ架線(株)

看板から推測するに今も作業は行われてるんですね。お邪魔します。

はげ山を行く
はげ山を行く

伐採が進んだ斜面を登っていくのですが、山腹の傾斜が強いうえに日にさらされた土が乾いているので足元が崩れ滑りまくります。間違いなく手をつくことなるので手袋をつけました。

林を左に
林を左に

伐採地の左端にはところどころピンテが見えるので、最終的に左に寄っていくと道標がありました。ここから林に入りますが、ちょっと山腹を振り返ってみましょう。

伐採地を振り返る
伐採地を振り返る

なかなかの傾斜であることがお分かりいただけるかと思います。滑らないところを適当に選んで上がってくる必要がありますが、山口県内ではあまりこういう登り方をするところはありませんね。面白いです。

あれ、この時点では爺ちゃんが見えてたはずなんだけど写真に写ってないなあ。まいっか。林の中に入ってきます。

林の向こうに正面ハゲが見える
林の向こうに正面ハゲが見える
正面ハゲに抜け出た
正面ハゲに抜け出た

伐採地を登り終わって林を左に進むということは、堂ヶ岳登道(歩道)入口で正面に見えた禿げ上がりの直登に近づいていくということになります。

結局、あの正面ハゲ登るんかいー!と思ったのですが、ここからは右手の林に折り返しでした。ちょっと安心してコーヒー休憩をとります。

先ほどの爺ちゃんはでっかい熊鈴を付けていたので、音が聞こえてこないかなーとここで耳を澄ましてみました。伐採地の斜面の途中までは爺ちゃんの姿が見えてたので、音くらいは聞こえても良いはずなのです。

できればつかず離れずで進みたかったので爺ちゃんを待ってみたのですが音が聞こえてきません。頂上で会いましょうって言ったので頂上で待っていればよいかと進むことにしました。

林の切れ目
林の切れ目

林に折り返し登ったところは尾根になっていました。この尾根を左に上っていくと再び林の切れ目が見えてきます。おっとあれは!正面ハゲの崖に違いありません。行ってみよー!

崖横を進む
崖横を進む
正面ハゲからの景色
正面ハゲからの景色

正面ハゲからいい景色が撮れました。重なり合っているのでどれがどれとは自信がありませんが、豊田湖の向こうに華山、狗留孫山。右には一位ヶ岳とか天井ヶ岳とか白滝山とかそんな感じだと思います。

下関の山々を一望。堂ヶ岳からの眺望はここ正面ハゲの上が一番良いです。このタイミングで堪能しておきましょう。

崖を離れて林の中へ
崖を離れて林の中へ

正面ハゲから山頂へ向かうには、崖を離れて再び林の中を行くことになります。

もうすぐ山頂
もうすぐ山頂

空が切れてもうすぐ山頂かなと思わせるところには、まばらな木と広葉樹の落葉があります。これは低山の山頂手前にありがちな風景ですね。鹿なんかがたむろしていそうな景色です。

あ、この間の傾斜は決して楽なわけではなく、むしろ最後の最後は急先鋒です。山頂付近だからと言って決して楽には歩かせてくれない山でした。

堂ヶ岳山頂

林の隙間から堂ヶ岳の山頂が見えてきました。

堂ヶ岳山頂に到着
堂ヶ岳山頂に到着

堂ヶ岳の山頂は十メートル四方立木がなく山頂広場のようになっています。残念ながら周りが木に覆われているために眺望はありません。
なので景色を楽しむなら正面禿の崖。あそこが一番いいのです。

堂ヶ岳 588.3m
堂ヶ岳 588.3m

ちなみに堂ヶ岳山頂から西の峰に進むルートにはピンクのリボンが見えましたので、山頂から進む方向は迷うことはなさそうです。この写真の向こう側が西峰方向への入口になります。

堂ヶ岳の二等三角点
堂ヶ岳の二等三角点

堂ヶ岳の山頂には僕の大好きな三角点もありました。

堂ヶ岳の二等三角点、標高は588.32m、基準点名も堂ヶ岳で、冠字選点番号は呂12です。呂さんは下関一帯の二等三角点や美祢から宇部あたりの三等三角点を調べた人で、これまでに何度か目にした気がします。華山とか狗留孫山も呂さんの調査です。
狗留孫山の三角点は立派でいいですよ。あれは必見です。

堂ヶ岳下山

山頂で15分くらい休憩していたのですが、例の爺ちゃんが登ってくる気配がありません。耳を澄ましてみるのですが、熊鈴の音も聞こえてこないのです。

うーん、もう西峰に行きたいけど「山頂で待ってる」って約束したしなあ。

あれ、でも、そういえば割と早いタイミングで爺ちゃんの熊鈴の音をロストしたよなあ。まさか伐採地あたりで滑って転んでたりしないよなあ。うーん。

うーん…ピストンするか。

というわけで同じ道を通って降りることにしました。

下山時のことの顛末

結論から言うと、件の爺ちゃんには崖からちょっと登ったあたりで再開できました。

爺:お、早いね
立:なかなか来られないんで(笑)
爺:あー心配かけたね
立:いえいえ
爺:景色をね
立:あー、あそこ景色いいっすもんねー
爺:そうそう
立:あの尖がったのって華山ですか?
爺:あれはねえ・・・

と、この辺りの山のことを教えてもらいました。爺ちゃんベテランさんじゃん(笑)軽くお話を終え、こりゃ大丈夫だなと辞してそのまま下山に入りました。

その後、僕自身がロスト(笑)

人の心配をしてる場合かって話で、気持ちよく尾根筋を降りてたら伐採地に曲がるところをロストしたみたいで、適当なところから伐採地に戻る羽目になりましたw

気持ちいい尾根筋
気持ちいい尾根筋

立派なピンクテープがあるので安心して降りていたのですが、あれこんなに長く尾根筋歩いたっけ?って途中で気が付きまして。一人でロストってなかなかドキドキです。

伐採地に復帰
伐採地に復帰

あの尾根筋はYAMAPにも載っていないルートですが、たぶん爺ちゃんが最初に探していた右ルートなのだろうと思います。十分にピンテもありましたし、いくらでも歩いていけそうな感じがありましたもの。
どこに出られたんだろうなあ。

さらばハゲ山、いや堂ヶ岳
さらばハゲ山、いや堂ヶ岳

さらば ハゲ山 堂ヶ岳。滑ったり、心配したり、ロストしたりと、堂ヶ岳は実に楽しい山でした。最近、クマに襲われた方のビデオを見ましたが、堂ヶ岳は人手が入っているので獣感もなく鹿の糞をちょいちょい見る程度の山です。危ないのは滑る足元だけ。気楽に行ける山だし、次は西の峰を目指そう。

堂ヶ岳 今日のルート

堂ヶ岳の登山口は石柱渓の近く。車を停めるなら登山口近くの今出(いまで)集会所さんがお薦め。帰りに近所のおじさんとも話したんだけど「道が分かりにくいって人もおってねー」とのお言葉から地元ウェルカムを感じさせる山でした。

堂ヶ岳 今日のルート
堂ヶ岳 今日のルート

登山道に入ってからは適度にピンクテープがあるので道は間違えようがありません。僕はピストンの下りを間違えたけどねw まあでも尾根筋も歩きやすいので復帰は苦ではありません。

そこそこ人手が入ってますし、今の時期であれば虫もいないのでギリギリ半そで長ズボンで行けるんじゃないかと思います。枯れ枝がありますから長ズボンは必須です。

あと間伐した斜面が滑るので手袋もあったほうが良いと思います。今回の山行、僕はなんでもない下りのガレで尻もちを1回つきました。そういうときも手袋をつけていれば岩から皮膚を守ってくれます。
手が傷つくと途端にテンションが落ちるからね。転ばぬ先の杖で手袋は大事。

さてさて、駐車場から山頂までの距離は2.5㎞、時間は1時間程度。ずっと登りがきついのですが、正面ハゲの崖から豊田湖越しの景色は抜群で、これだけでも行く価値ありだと思います。

堂ヶ岳
堂ヶ岳

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