【山口県百名山】遠岳山で出会った爺ちゃんは生きているか?

【山口県百名山】遠岳山で出会った爺ちゃんは生きているか?

萩市阿武町の道の駅横にオープンするキャンプ場「ABU CAMPFIELD」を内見ついでに遠岳山を歩いてきました。
遠岳山の山頂手前で藪から出てきた爺ちゃんと合流したのですが、あの爺ちゃん、ちゃんと山を降りたかなあ。心配です。

遠岳山の入り方

出発前にちょっと調べたら遠岳山は阿武町の才ヶ峠から入れる様子。191号線沿いにパーキングがあるとのことなのでそこに車を停めさせてもらいましょう。

191号線沿い才ヶ峠のパーキング
191号線沿い才ヶ峠のパーキング
遠岳山の看板
遠岳山の看板

才ヶ峠にはめっちゃ広いパーキングがありました。パーキングからは遠岳山へと向かう看板も見えます。キップの不安なく車を置いておけるってのは良いっすねー。ダッシュボードに行先と連絡先を置いて出発しました。
191号を渡り、遠岳山の看板を見て、才ヶ峠を越えて20mも進めば、看板通り左に入っていく道があります。

クマ出没注意!の看板
クマ出没注意!の看板
遠岳山登山口
遠岳山登山口

車道を入っていくと正面にクマ出没注意!の看板。ここは二股に分かれていますが、右は下りなので取り合えず左へと進みました。
これ正解。クマ出没注意の看板から左へ進んでカーブを回ったところに「遠岳山登山口」の道標があります。

微妙な分岐を右に
微妙な分岐を右に

車が通れそうな野道をずんずん進んで行きますとまたまた二股が登場。左は良い感じの山道。右は白いガードレールがあって林道に続く雰囲気。
歩いてみたいのは左ですが、感覚的に遠岳山は右。ちょっと迷いましたがガードレールのある右をチョイスしました。

綺麗な林道
綺麗な林道

一部コンクリートで舗装されたこの林道は古いもののようです。杉林や石垣のある森を抜けると日当たりの良い道に出てきました。
いつまで経っても登りに変わる気配がない林道。このまま麓を回って191号線に戻るのか、やっぱり道を間違えたか、あそこは左が正解だったかと考えあぐねる頃に遠岳山登山口が現れます。

遠岳山登山口
遠岳山登山口

なんだ、ジムニーならここまで来れたじゃないか。

遠岳山登山道

遠岳山登山口
遠岳山登山口

遠岳山登山道は、ガレガレの針葉樹林から広葉樹へと植生が変わっていく面白い道です。可愛らしい道標に見守られてスタートしました。

登山口から8合目まで

まずはガレガレの林道
まずはガレガレの林道

遠岳山の麓はかつて植林帯があったのかもしれません。今も下草はある程度刈られているようで、斜面を転がったガレが道を埋め尽くしていました。

林道横の沢は岩だらけ
林道横の沢は岩だらけ

林道の下は大岩がゴロゴロとした沢。これらの岩は砂防ダム(昭和61年度治山事業)でせき止められていました。林道はこの砂防ダムの工事のために作られたものかな。

沢を渡って
沢を渡って
沢を登って
沢を登って

林道の終点から沢を渡って登るとちょっとした広場に出てきます。ここからは沢を離れて山に入ります。

植生が変わりました
植生が変わりました
お、稜線きたか?
お、稜線きたか?

林道から沢、山道とダラダラとした登りが続いてきましたが、ここに来てロープが登場。そして何やら横一線に空が見えます。これは稜線かそれとも、、、
ただの日の入りが良い山腹でした。

爺ちゃん現る!

山腹に出て山頂方向の写真を撮っていると何やらうごめくものが目の端にとまりました。イノシシかクマか。山の中に一人っきりなのでもうヤバい感じしかしません。

ガサゴソ、ガサゴソ
ガサゴソ、ガサゴソ

木に隠れながら目を凝らすと、ヒトです。ヒト。ヒトが左の斜面をかき分けて登ってきてます。なんちゅーとこ歩いとんのよ。
ヒトと分かれば安心です。「こんにちわー」と上から声をかけてヒトから見えそうな場所に移動。2度目の声掛けで目線を上げたヒト。どうやら爺ちゃんっぽい。

登山道まで上がってきて速攻で座り込む爺ちゃん。僕も爺ちゃんの横に座りました。

立石 こっち道があるんすねえ
爺様 いや山ん中、2時間半歩いた

爺ちゃん、迷ってんじゃねーかwww

爺様 わし参道を歩くのが趣味でのう。こっち山頂?
立石 うん。こっち山頂。
爺様 こっちは?
立石 才ヶ峠
爺様 でっかい工場があるところ?
立石 そうそう。
爺様 子どもが遠足で使う道じゃ。
立石 そうなん?爺ちゃんどっから来たん?
爺様 ため池の横から神社を探しての
立石 (奈古駅から海に入った方かな)
爺様 2時間半歩いた

うん。それさっき聞いたwww

爺様 神社こっちかのー
立石 分からんけど山頂の方なら一緒行こか

呉越同舟
呉越同舟

というわけで呉越同舟で山頂を目指します。
先ほどの会話はかなり端折ってますが、爺ちゃんとは座り込んで10分くらい話しました。お年を伺うと84歳とのこと。2時間半彷徨って獣道を上がってくるたーなかなかの健脚じゃありませんか。
もう足が上がってないのか頻繁に木の根っこに躓いてましたが、コケないのは偉い。

爺ちゃん進む
爺ちゃん進む

巻き道になるとバンバン進んで行くからね、すげーよ爺ちゃん。あとたまにピンクテープガン無視で直進しちゃうからホントすげー。

立石 爺ちゃん、こっちだよ
爺様 左に入る道があれば神社があるんじゃけどのー

神社への固執もすごい。

爺ちゃんとお別れ
爺ちゃんとお別れ

もうすぐ稜線につく9合目付近で爺ちゃんが戻ると言い始めました。どうも山頂方向には神社がないと判断した模様。

立石 危ないけえちゃんと登山道で帰りいよ
爺様 ため池で家内が待っちょるけえのー
立石 いやいや。才ヶ峠から回り込んでも変わらんて
爺様 途中で曲がれる道があるかのー

説得しきれたかどうかまったく自信はありませんが「それじゃ気を付けて」と互いの無事を祈って爺ちゃんとはここでお別れ。
僕は山頂へ。

山頂へ

ピンクテープのまばらな林を抜けるとすぐに稜線です。

稜線到着
稜線到着
山頂近し
山頂近し
キタ――(゚∀゚)――!!
キタ――(゚∀゚)――!!

稜線からは右にも左にも行けそうですが、ピンテの見える左に進めばあっという間に空が開けました。

遠岳山山頂

遠岳山山頂
遠岳山山頂
大島と櫃島(ひつしま)
大島と櫃島(ひつしま)

遠岳山山頂について最初に見つけるのは、可愛い猫の絵が描いてある看板。その看板の向こうには海に向かって開けた景色。目の前に見えるのは萩六島で、手前の大きいのが大島、右が櫃島(ひつしま)。奥に肥島と尾島もうっすらと見えます。すべて溶岩台地の島です。

二等三角点 奈古山
二等三角点 奈古山

期待していなかったのですが遠岳山には二等三角点もありました。基準点名は奈古山。なるほどこのあたり昔は奈古村だったか。冠字選点番号は仁11。山口県の二等、三等ではお馴染みの『仁』さんです。よう頑張ってますね。

山頂を踏んでコーヒーを一口、タバコを一服 ( ̄Д ̄)y-oO
あの爺ちゃん、家内が家内がって言いよったけどちゃんと登山道を下ったかなあ。足上がってなかったけどコケてないかなあ。たぶん水も持ってないよなあ。飲みかけのコーヒーでも渡したほうが良かったんかなあ。
んー。まだ間に合うか。

山頂には別の降り道も
山頂には別の降り道も

荷物をまとめてダッシュで来た道を降りようとしたら山頂にはもう一つ登山道が!アブねえ自分が道間違えるところやった。いやこっちの道も綺麗でめっちゃ気になる。
気になるけど自分が薦めたルートで爺ちゃんが唸ってたら寝覚めが悪いわ。
ピストンじゃ、ピストン。

爺ちゃん。生きとるか―。
おーい、生きとるか―。

下山時はお薦めしておいた才ヶ峠ルートを「爺ちゃん、おるかー。」と声掛けしながらスイープしたもののその姿は見えず。単に僕が追いつかなかっただけで無事に山から降りてるなら良いんだけど、また獣道に進んでたりしたらお手上げです。
今んとこニュースにはなってないようなので大丈夫だったと信じたい。
80過ぎたら単独登山はやめよう。マジで周りが心配するわ。

今日のルート

遠岳山 才ヶ峠ルート
遠岳山 才ヶ峠ルート

才ヶ峠から遠岳山山頂までは一本調子のダラダラ登りです。麓の林道は白のガードレールを頼りに進めばOK。登山道に入れば一本道なのでほぼ迷うところはありませんが、稜線手前の林はピンテ少なくやや注意。山頂からは海に開けた景色を堪能できます。
爺ちゃんと絡んでも2時間くらいで往復できるお散歩コースです。

ちなみにルート中の赤丸が僕と爺ちゃんが出会ったところで、爺ちゃんはため池から入ったと言っていたので、多分西から入って2時間半彷徨ってたのかなあ。後で検索してみると遠岳山の西の中腹には確かに高嶺神社さんてのがあって、爺ちゃんがこれを探していたのなら、僕らが会った場所からはけっこう外れてます。山頂方向に進むのもそこから左に曲がるのも外れ。
やばいよ爺ちゃん。

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